第八話-円卓会議-
皆の活躍により八賢者全員の復活が達成された。だが、ケイト以外の大賢者たちは制約があり、その地域からは動くことが出来ないので、映像を繋いでの円卓会議が開かれる。結界魔法を封じていた箱が再び役に立つ。ウィンダリアの城の一室を借りて、中央に向けて各画面を設置する。さながら某アニメのような感じだ。実際、ニゲルはどうしても映りたくないという理由で『Sound Only』となっている。
八賢者に加え、三層それぞれの代表でシン、ガルド、カジャの各王が、そして進行役としてフィデスの12人が席に着く。そして全体のサポートとして俺、カルムが後ろに控える。
「八賢者の皆様、ご協力感謝いたします。各王も尽力くださり、ありがとうございました。では、今後の方針をカルム殿に…」
「どうも。カルムです。地球人です。では、早速説明を…」
説明を終えると、ロードが話す。
「シルヴァさんは、何か知らないのかい?」
「私がわかるのは植物のある場所だけ。リコリスの方が発見しやすいんじゃない?」
風魔法の使い手だが、感知系の魔法は植物を通じてでないと使えないようだ。後で確認すると、自身の魔力を風に乗せ、植物に寄生させることでいろいろ出来るそうだ。
「天界は全部見てますけど、魔界とかはほとんど見れてないのですよ?」
光魔法の使い手は、光の届かぬ場所はやはり対象外らしい。
「俺も自分の領域意外はな~ 魔界と言えば、デフロスとニゲルの坊やはどうだ?」
ディールが静かな二人に話を振る。
「うむ。山脈の中心にいたのでは、足元の自国を見るのでやっとだったわ。俺は、感知能力は低い方だし」
「ぼ、僕は… 興味なかったし… 見ようともしなかったよ…」
デフロスは戦闘能力は高いが、補助系魔法は苦手らしい。ニゲルに至っては引きこもり系のようだ。
「ワシハ ジブンノ チョウセイニ テイッパイ ダッタカラナア」
最後にテンペストが答える。彼は老人だったが、動き難くなった体に嫌気がさし、ダイヤモンドでゴーレムを作り、そちらに体を乗り換えたそうだ。その代償として定期的な身体のメンテナンスが必須らしい。
「えっと… つまり、現状は大賢者たちですらわからないということですね?」
賢者たちが渋い顔をする。
「あ、お気になさらないでください。むしろ、全員一致の意見なので助かりました」
その言葉に反応し全員がこちらを見る。
「もし、敵が大規模な勢力なら、どこかで誰かが気付くはず。ところが、誰の感知にも引っ掛からずにいる。つまり、情報収集から拡散までかなりの少数で、なんなら個人で動いている感じですらあります。少数で動き、植物もなく光も届かず皆さんのいなかった地域。そういう場所の可能性が高いです」
なるほど、と皆が頷く。
「そういうことなら、今回送り込まれた兵の国の中にもいない可能性も高いかもね」
とロードが話す。
「む? その心は?」
「自分んとこの国力を低下させることになるからだろ。相手国の主力が留守とはいえ、自国の主力を投入した全面戦争だ。国が疲弊するのは目に見えてる。俺ならやらん」
デフロスの問いにカジャが答える。
「むしろ、あいつらはよく戦争を吹っ掛けてきたもんだ。洗脳のことは聞いてはいたが…」
「ただただ愚かだった、のでは?」
続いてのガルド王の話にリコリスが答える。見た目の麗しさに反し、なかなか辛辣だ。
「終わった話より、これからの話だ。結局、それらを除外すると何処が残るんだ?」
シンが王らしい対応を見せる。が、それ以外の場所もまだまだ範囲が広い。
「ムシロ ホシノ テンソウニ シュウチュウ スベキカ?」
テンペストが言うと、皆がそれもありかと考える。
「そういうわけにはいかないんです」
ここまで静かに見守っていたケイトが語りだした。
「敵の能力は高い。星の転移魔法に干渉されては、それこそ最悪の事態を招きます。ですので、最優先事項なんです」
わざわざ会議というエサを撒いたが、敵の魔法が干渉してきた様子はない。聞き耳立てたところを逆探知と思っていたのだが… なかなかうまくはいかないものだ。そもそも見当違いだった可能性すらある。さて、残る場所を捜索となるとかなり難しい。
「あ… たぶん、心当たり、あるよ…」
ニゲルが恐る恐る話した。




