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ワールドリンク  作者: さばみそ
第十章-八賢者復活-
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第七話-ニア・カジャ・シン-

ニア隊


ニアとルーはゼモニアへと飛んだ。新たに出来た入口はしっかりと整備され、付近の集落も改修された。高層アパートの案を提出してやったおかげで、住宅不足は少し解消されていた。ニアたちが到着すると、兵士たちが整列し城までの道を作る。どうやらこれは客をもてなすパフォーマンスの一つだったようだ。


「ニア… 似ている… 娘、なのか… ああ、ああああ…」

コルナークは人目もはばからず大泣きした。 「あの… お父さんですですか? お願いがあるんですが…」

「うん… おお、何だ? 何でも言うがいいぞ?」

「とりあえず、泣くのやめて封印解きに行きませんか?」

コルナークはショックで固まり、周囲は爆笑失笑、様々な笑いに包まれた。ルーもご機嫌である。


「文献を調べて、おおよその場所は掴んでいた。城の真上にあたる山がそれだ」

封印が解けると岩が勢いよく崩れ落ち、筋骨粒々の角刈の巨人が出現する。

「そなたが大賢者デフロスか? 私は…」

「黙れクソ王。お前に用はない」

一蹴されるコルナーク。再びショックで固まる。ルーはもはや真顔でスルーだ。

「新女王ニアよ。喜んで力になろう」



カジャ隊


光の欠片も通さぬ永遠の闇。時間の概念も消えたような世界。自分が地面に立っているかもわからなくなる程に感覚を狂わせる。それでも二人はお互いの存在を把握し、真っ直ぐ領域の中心へ向かって歩く。

「おや、空間が歪められましたね?」

「近づく人間を遠ざけるシステムだな。だが、結界のじゃあねーな」

「ですね。これは闇の魔法。封印されてる方はよっぽどの人見知りでしょうか」

カジャが大きく溜め息をする。

「最近、すげえ感じてたんだけどよ、どいつもこいつも俺をナメてるよな?」

怒りがこみ上げ、同時に魔力がどんどん高まる。

「ですねぇ。只の炎に出来るのはその程度。とでも思っているんですかねぇ」

更に上がる。まだまだ上がる。上限が見えない。

「全てぇぇぇ燃え尽きろぉぉぉ!!」

カジャが吠え、正真正銘の全力の炎を放つ。炎の光で闇は切り裂かれ吹き飛ばされ、辺りは焦土と化した。禁呪は禁呪でしか… そんな常識ごと結界も闇も燃やし尽くしてしまった。ロゼクスは落ち着いた顔で自身を氷の結界で守っていた。燃えカスの中から黒蛇が一匹這い出る。カジャが睨むと人の姿になる。

「ひいい! お助け~」

気弱そうな、片目が髪で隠れた青年。賢者ニゲルを確保した。



ロディエル隊


クラルの魔法でルクセリア上空を探索する二人。未だに手掛かりすらも見つけられていなかった。

「クソッ! 任せろと大見得張ってきたが、これだけ飛び回っても何も成果が得られないか」

「そんなに焦らないでください。予想の範囲内で…」

クラルの魔力が不安定になる。ずっと飛び回っていた反動だ。

「よし、焦っても仕方ないな。降りて休もう」

「いえ、まだ…」

「休むぞ!」

シンが押しきって休憩を取る。ちょうど下は草原地帯。寝転んで背伸びをする。

「ん~あ~… ふぅ… いい天気だなぁ…」

「そうですねぇ… のんびり空を見上げるなんて、ほんとに久しぶりですねぇ…」

柔らかな風の草を揺らす音だけが聞こえる。しばし、その音に聞き入る二人。

「そういえば、この星が出来た時ってよ、あの太陽は都合よくそこにあったのか?」

地球のように、人類が生きるのにちょうど良い場所に、ちょうど良い大きさの恒星が、ちょうどよく一つある。たまたまそんな場所に転移したのか? そんな場所を選んで転移する余裕があったのか?

「星が転移させられ、大賢者たちが再構成した。月人類が生きることが出来るように。ならばその時に太陽も!」

「行きましょう!」

二人は太陽へ向かって飛ぶ。正解だった。結界を解呪すると、光輝く鳥が現れ、光が収束して人の形をとっていく。

「よくたどり着いてくれましたね。愛しき我が子たちよ」

金髪ショートの女神はそう言って地上に降り立った。

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