第三話-風神シルヴァ-
再び村長宅に戻り、大賢者の風神シルヴァ様から話を聞くことになった。
「シルヴァでいいわよ。あぁ、そういえばあなた方もシルヴァでしたわね。でしたらシルお姉様にしてもらおうかしら」
何百年ぶりの会話なのだろうか。テンションが斜め上に上がっていて、皆取っつきにくそうにしている。皆、苦手なタイプの性格のようだ。
「あら、こういうのはお嫌いだったかしら。前回の時とは違うタイプが集まったのね」
!? 全員が一斉に注目する。
「前回とは?」
「前回は、もう1000年前になるかしら。世界各地でいざこざが増えて、世界中で大きな戦争になっててね~ 目覚めたユノくんが私たちの力を使って、喧嘩両成敗で戦争を続けられないくらいにボロボロにしたのよ。でも、みんな頑張って復興出来て、ほんとによかったわ~」
「星の力で戦争を止めたんじゃ…」
「私たちの力は、この星の力そのものと言っても過言ではないわね。それくらい大きな魔力って思ってもらっていいわ。そして、あのこが代表して力を行使して、争う人々に制裁を与えたの。前回はちょっとやり過ぎちゃってね。星の寿命が早まったのも、たぶんそれが原因のひとつね」
事実は小説よりも奇なり。後に美しい物語にまとめられたが、要は救世主サマがキレてやり過ぎてたってことか。まぁ、寿命は縮んだが、それが幸いして俺たちが集まれたわけだ。
「具体的に救世主の力ってなんなんだ? カルムのをでかくしたみたいな感じか?」
「カルムくんのとは、ちょっと違うかな。ユノくん、彼の力はそこにいない人の力も使えるの。召喚術に少し近いかな?」
シルヴァさんは封印されながらも、外の世界は見れていたらしい。木に封印された彼女は、世界各地の植物と感覚をリンクさせて、離れた場所も感知していたそうだ。俺のことも感じ取っていたらしい。しかし、あれほど強力な結界なのに外部から感知されない設定。その上に外部からの魔力供給。そして、そんな結界に封印されながらも外界と接触し続けていた力。どちらも規格外過ぎる。画面の中のサピエナ様も、もはや驚くことも出来なくなっていた。
「さて、いろいろ聞きたいことはあるでしょうけど、先ずはこちらからひとつ伝えさせてもらうわね。救世主ユノの魂は転生はしたけど覚醒はしていない。けれど、その力だけが無理矢理引き出されようとしている。ケイトちゃんだっけ? 早く助けてあげないとヤバいわね」




