第一話-八賢者復活会議-
八人の大賢者
一人は救世主ユノ。その魂は故郷のルベリアに封印。
一人は炎術師ディール。巨大な火蜥蜴となり溶岩の中に封印。
一人は水の御子ロード。一角獣の姿となり深き海中へ封印。
一人は風神シルヴァ。巨木となり故郷の森に封印。
一人は雷神テンペスト。金剛石の像として迷宮へ封印。
一人は岩の暴君デフロス。山脈の一部として封印。
一人は闇王ニゲル。漆黒の蛇となり闇へ溶け込む。
一人は天使リコリス。光の化身となり最も高き所より子らを見守る。
「以上が八賢者についての伝承を解読し、まとめたものになります」
「我らが長年かけてきた研究を一瞬で越えるか。天才の出現というのは本当に精神を蝕んでくれるわ」
「いやいや、俺のは他人の知識ですから。自分の力じゃあないですから。本物の天才が何を言いますやら」
「バケモン同士で謙遜し合うな~話し進めろ~」
怖いもの知らずのアレクが上手く突っ込んでくれたお陰で、次に進むことが出来た。サピエナ様、意外とねちっこいんだな…
「で、先程の解読文から推測される封印場所ですが、炎のディールはウルカニスで奉られている炎神で間違いないでしょう。ヴォードさんに村長へ取り次いでいただくようお願いします。
水のロードは海、この星の中心の海の中です。俺が適役でしょう」
「そこなら俺も手伝うぜ。呼吸器官を調整すればクジラ並みに潜れるぜ」
アレクが言う。すっかり人間離れしてしまったようだ。頼もしいかぎりだが、ケイトがどう思うだろうか…
「風神の巨木は世界樹。リドル村ですね。ここから一番近い場所になります。雷神は天界、ゼフィス領はカルネアの鉱山と思われます。岩のデフロスはゼモニア。ここは俺の魔法で転送可能です。国王とも直ぐに会えるはずです」
「国王と直通か… すっかり成長したねぇ…」
「ソーマ、野次らないで…」
離れている間にいろいろやらかしたせいで、当たりがキツくなったような気がする。実はこれが素だったりして… ちょっと困るなぁ
「闇のニゲルは魔界のノクスタット。ここは日の差さない暗黒領域と言われている場所。ここの可能性が大ですね。モルスメトス経由で向かうことになります。そして光のリコリス。これが一番の難関かもしれません。おそらくは天界の遥か上空にいることになる。そこに陸地は無い以上、今のところ見つかるまで飛んで探し回るしか方法はないかと…」
一通りの説明を終えると、皆が難しい顔になる。大まかな場所は判明したが、封印がそもそもどんなものなのかが不明だ。何処に誰が行くか、全員がかりか? 兵士たちも必要か? 移動手段は? 順番は?
決めねばならぬことは多い。
「先ずは、此処から最も近くて安全と思われる場所から行くしかないかのぉ… 」
「だな。なんとか封印が解ければ、他のやつの情報も聞けるかもだしな」
「場所の雰囲気から見ても、危険人物ではなさそうだね。僕らの先祖かな?」
「その後の順番は終わってみないと、ですな。『我が力を貸すに相応しいか試してやろう』的な展開、期待してしまいますな!」
「いや、勘弁してください… 毎回そんなんだったらしんどいっすよ…」
先ずは我らがリドル村。世界樹へ向けて四人の精鋭が出発となった。サピエナ様は仕事の都合で辞退となってしまった。そのおかげで
「例の映像魔法で逐一報告せよ!」
との命令が出てしまい、一晩かけて魔力の調達に奔走することとなってしまった。明日はゆっくり出来たらいいなぁ…




