第四話-世界同盟へ-
「いや、ダメだろ。行きたいなら、先ずは溜まりまくった仕事を片付けろ」
シーザインが一蹴した。そりゃそうだ。10年以上もニートしてて、娘がいたからと国をほっぽって迎えに行くとか無理だわ。国をこんなにしといて、どの面下げて娘に会うんだって話しだ。だいたい、連れて来たところで国民がどんな反応をするか… せっかくいい感じになってきたニアのメンタルが心配でならない。
「嫁だろうが娘だろうが、先ずは立派な王になれ。それから迎えに行く。順番を間違うな。クズ王の娘が幸せになれると思うな」
コルナーク王はぐずぐずと反論していたが、最後は半べそになりながらも仕事に向かっていった。ニアのためにも頑張ってほしい。ほんとに。その後、シーザインとこれまでの経緯と、今後の方針を話した。
救世主再誕の理由は天界のいざこざではなく、おそらくこの星に限界が迫ったためだろう。星を支える人柱の魔力が底をつく。そうなれば星は崩壊する。それを防ぐために柱の封印を解き大賢者たちの魔力の回復を、もしくは、大きな魔力を持った者を集める。そして、救世主の超魔法による星の転移を行う。そのためにも、この世界の国々は手を取り合わねばならない。
いずれイグナメリスと同盟を組むという約束を取り付け、俺は再び出発した。次の目的地はウィンダリアだ。中層最大の国であり俺も顔が利く。それに、いろいろと確かめたいことがあった。
再びウィンダリアへとやってきた。かなりの移動距離でストックの魔力も残りわずかなってしまった。戦争の中では無敵に近い能力ではあるが、それ以外の場面ではなかなかに使い勝手が悪い。俺自身の潜在魔力の低さが一番の問題だ。
その辺の問題の解決策も探しに来たわけなのだが…
街の入り口は封鎖され、部隊が配備されていた。まるで戦争にでも行うような様子だ。
「そこを飛ぶ民間人! 速やかに降りてこちらへ来なさい。さもなくば撃ち落とします!」
魔法部隊の小隊長の声が聞こえた。その声に従い、降りて歩く。レオンとアグラス様の姿もある。本当に戦争かと不安が過る。
「お久しぶりです。いったい何が始まるんです?」
そう聞くと、アグラス様が順を追って説明してくれた。
「あの爆発、は置いといて、そのしばらく後にな、上でとんでもないことがあったと噂になってな。そして、最近になって下で国が二つ滅んだ。さらに、その全てに絡んでる男が間もなくここに来ると垂れ込みがあったんだよ」
それはつまり…
「特級国際指名手配犯カルム・シルヴァ。お前を確保するためだ!」




