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ワールドリンク  作者: さばみそ
第七章-魔界モルスメトス-
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第五話-潜入-

宗教国家と奴隷国家、地球でも白い目で見られそうな国だな。しかし、噂と真実は必ずしも同じとはかぎらない。自分の目で確かめたいという好奇心と、能力の実戦運用を兼ねて、潜入を進言した。


「どうですかね? いろいろ試したいことがあるし、最悪、カジャの炎を使えば逃走も容易たやすそうですし…」


一同、渋い顔をする。やはり入国は困難なのだろうか?


「いや、入国は簡単だ。普通に入れるし出れる。ただ、俺たちはあの国が嫌いでしょうがない。近づきたくもない。なんなら、ここから炎を撃ち込んで燃やし尽くしてやりたいくらいだ」


そこまで酷い国なのか…


「何かあっても助けは期待するな。俺らは近寄らないし、手助けするにも下手をすればお前ごと焼いてしまうからな。とりあえず、自己責任で行ってこい」



それから準備を調えて、出発の手続きを取った。手始めに、神の国ファルサクルナへとやって来た。一応は近代国家っぽいので、長期滞在することになった場合を想定してだ。近くまでニアに送ってもらう。

「帰りは大丈夫?」

と聞く彼女に

「大丈夫。帰りは自分でなんとか出来そうだ」

と返す。実際、空間転移魔法は成功していた。距離は長いが、アレがうまく機能すればいけるはずだ。

「じゃあいってくる」

そう言って別れ、街へと向かう。街道が綺麗に整備されている。まるで参道のようだ。

というか、参道だった。街の入口は例えるなら鳥居のようで、門番の代わりに神官が立っていて、街の案内図を渡される。参拝やお祓い、入信手続きの施設、土産屋など、国全体がひとつの神社で観光名所のようだ。パンフレットに添って街を回る。街の人は、悪く言えば目がイッているが、みな活気に溢れている。

(これだけなら、それほど嫌な感じはしないけど… 文化の違いかな? こんな感じなら、戦闘にはならないか)

ふと、パンフレットに無い道が目に入る。パンフをよく見ると、不自然な空間がいくつかあることに気づく。気になった俺は、空間魔法で自分の周囲の屈折率を変化させ風景に溶け込み、その不自然な空間への侵入を試みる。


「ここは…!?」


そこはスラム街だった。表のきらびやかな建造物とは真逆の廃墟。人々もボロボロで目に生気がない。

(これが真実ってやつか…)

裏町を探索していると、違う入口から神官と兵士と、親子だろう若い夫婦と5才くらいの少年が入ってきた。なにやら揉めている。神官が、すがる夫婦を兵士が蹴り飛ばす。

(胸糞悪いもん見てしまったな)

背を向けて立ち去ろうとすると、そこには別の神官がいた。

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