第七話-真実-
俺たちはオフェロニス王の記憶を全て共有した。
それは王が集めた800年にも及ぶ膨大な量の情報だった。若い頃、王は禁呪とも違う特殊な能力に、この世界における自分の役割を確信し、こちらの世界では未発達だった科学技術にも手を広げ、延命と、記憶の貯蔵を行ってきたのだった。今の姿はその影響によるものらしい。
(若い頃は美男で有名だったんだぞ)
と不要なナレーションが入る。
《オフェロニス王の知識と記憶》
3000年以上も前のこと、ある星に存在した王国があった。その国の人々は魔法を扱う事が出来た。その力で隣接する星の人類を支配していた。その星の人々は神と崇められていた。
ナノマシン。いつからかはわからない。しかし、それは人々の中に存在し、魔法という力を発動させていた。そして、それはどうやら遺伝や輸血で能力を受け継がせることが可能らしい。
月日が経つと、星同士の人間が結ばれ子を成すことも増えた。すると、魔法を使える人間が隷属の星の人類にも出現し、増え始めた。神の星の人は神ではなくなっていった。
神の王国はナノマシンを研究し、封印する技術を開発した。そして、それを知った隷属の星の人間は神に反旗を翻す。隷属人類は全ての魔力を解放し、神の星を宇宙の彼方に吹き飛ばした。正しくは、星の地表を遠く離れた宇宙空間に転移させてしまったのだ。
神の星の人々は封印装置を起動したが間に合わず、超魔法の発動を許してしまった。封印が施されたのは、その後であった。
星の表面は、どこか遠くの宇宙空間に飛ばされた。幸い、海や大気も一緒に飛ばされた。星の人の中でも当時、最大の魔力と知識を持っていた大賢者と呼ばれる人物が8人。彼らもまた超魔法を発動し、海を置き、大地を並べ、大気を固定し、昼と夜を造った。世界を作り変えた代償として、その維持のために人柱となって各地に彼ら7人を封印した。それらの中心となって魔法を発動と封印を執り行ったのが、後の救世主である。
彼もまた自分に呪いとも言える魔法を施し魔力と魂を封印、星の危機があれば目覚め対処が出来るよう仕組んだのだった。
超魔法の基となった上位三属性、星、空間、時間の三魔法は禁呪とされ、秘匿事項とされた。そして、忌まわしい記憶は人々の記憶から徐々に消えていくこととなった。神の星でも、隷属の星でも…
現代。何故か稀に星同士が繋がり、転移して来る人間が出るようになった。また、この星の維持も限界が近いことがわかってきた。これは偶然なのか? 高度な機械文明の所持する科学技術と神の星の人々の持つ魔法力。それらを合わせて帰還せよというメッセージなのではないか? 誰からの? それはきっと、このナノマシンを造り我らに持たせた者。創造神と言うべき存在なのではないか? 私はそう思うのだ。
柱を探し、星の記憶を呼び覚まし、超魔法を再び発動させ、元の場所へと帰還するのだ。この星の、この世界の未来のために




