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ワールドリンク  作者: さばみそ
第六章-禍炎の都イグナメリス-
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第二話-ぎこちない旅路-

移動中は思ったより時間がありそうだ。何しろ、ただ落ちると思っていたのだ。速度が出ているとはいえ、ゆったりとした空中散歩になるとは思ってもみなかった。なので、ちょうど良い機会、ニアと会話を試みる。


「ニアちゃんって、魔力、マジでヤバいね。修行とかしてたの?」


街に入れば職質みたいなこともあるかもしれない。お互いを、ある程度は知っておかないといけないだろう。それに、普通に興味がある。


「あ、いえ、元々魔力だけは高くて。それが原因で… だったんですけ…」


最後の方は声が小さくて聞き取れない。しかし、何を言いたいかは理解出来た。


「…聞いたよ。お母さんのこと。でも、君が生まれる前にはわかっていたことじゃないかな。そうなってでも君を生みたい。君に生まれて来て欲しかったってことなんだろ。まぁ、親になったこともない俺が言うのもなんだけど、さ」


この程度の慰めの言葉は聞き飽きたかもしれない。でも、言ってあげたかった。せっかく一歩踏み出した少女のその想いは遂げさせてやりたい。そのために、少しでも助けになってあげたい。

(もしかすると、アリシアとダブらせているのかもしれないな)

そんなことが、ふと頭をよぎ


「ぁりがと ございま…」


やはり声は小さいが、後ろから感謝の言葉をかけられる。思わず少しニヤけてしまった。

(少しは前に進めたかな? )



そんなこんなで、目的地へ近づいてよく見ると、集落は都市であり、火山のふもとではなく中腹の盆地を利用している城塞都市であった。上空から街の近くに降りては危険と判断し、火山の影になるように、やや遠回りして降りた。ここからは歩きになる。しかし、ここまで一時間足らず。かなりの時間短縮になった。


「ちょっと歩くけど、大丈夫かな?」

火山岩をくり貫き整地された道。見た目より歩きやすそうだ。ニアちゃんも、コクりと頷く。


!?


ニアの結界が二人の周囲を包む。

「何か、来ます。敵意、持ってます」

ニアが呟く。わかるの?と聞くと

「普段から魔力は外に漏れでています。それを利用して、周囲の生物の反応を感知してます。少しの感情ならわかる、です」

俺は魔力はなくとも魔法に興味はある。たしかそれは聖属性魔法の分類だったはず。先の移動は風属性。複数の魔法を高出力で出せるとは、ますますハンパネェ…


構えていると、岩場の影から二人の男が姿を現す。

「おう! いいところで会ったぜ。身ぐるみ置いて消え失せな!」

細長い男が言う。

「痛い目みたくなかったら、さっさとしな。女は残ってもいいぜぇ」

丸い男が言う。

俺たちは顔を見合せ、呆れ顔で頷いた。

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