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ワールドリンク  作者: さばみそ
第五章-天空都市ルクセリア-
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第六話-残された者たち-

(何が起こっている?)


巨大な魔力が突然城内に出現し、パニックになっているようだ。あまりの力の大きさに目覚めたが、魔力にあてられたか気分が悪い。ケイトも気がついて目が覚めたが、怖がっているのだろう、ずっと震えている。

(部屋の外に出てもよいものか…)

迷っているうちに、何やら声が聞こえてきた。石… とか、炎帝… とか… これは一体…

そして突然表れた巨大な魔力が一瞬で消えてなくなった。気配を消したとか言うレベルじゃない。本当に消えた!?

ケイトに大丈夫と言って肩をたたく。その実、自分に言い聞かせているのだが。


バンッ!!


急に扉が勢いよく開く


「救世主はいるかっ?」


兵士たちが入ってくる。怒っているのが一目で理解出来る。ケイトを後ろに守るように構えると、兵士たちの後から、ゆっくりと入ってくる人物がいた。


「落ち着きなさい。救世主様が怖がっておられる」


たしか有力貴族が一人でマディラという名だったか。ドーガ王と同年代で恰幅かっぷくがよく、既に頭髪は全て失われている。会食でも一番落ち着いていて終始にこやかな人物だった。だが、その笑顔とは裏腹に、彼の発する気はどこか禍々しさを孕んでいる。この落ち着きよう、まさか彼がこのパニックの原因を?


こちらのそんな考えを見透かすような鋭い視線をぶつけてくる。武力では間違いなく俺が上だ。しかし、その視線に負けて、身体が硬直する。

(まさか武で勝っている相手に気圧けおされるとは…)

「ご無事でなにより。実は、今しがたとんでもない事件がありましてね…」

マディラ氏が話し出す。先程の魔力のことだろうか。

「何故かロディエルの王が侵入しておりまして、ドーガ王に石化の呪いをかけて逃走。その際に、あなた方のお連れ様を連れて行かれましてね?」


カルムが連れ去られた!? ケイトの呼吸が荒くなる。アリシアとアレクを失い、先程の巨大な魔力、さらに仲間が拉致、となれば…


「しかし、妙なことが多すぎまして。ロディエルの王は、どうやって忍び込んだのか? なぜ、あの場所にあなた方のお連れ様がいらしたのか? なぜ一緒に逃げたのか?」


やめてくれ。それ以上は。俺もケイトも耐えられないかもしれない…


「あなた方の連れが侵入の手助けをしたのでは? という可能性が出てきましてね。なので、あなた方を重要参考人として連行させていただきに来た次第なんですよ。大人しくしていただけますね?」


抵抗する気力などなかった。信じてはいる。しかし、衝撃的なことが続けて起きたせいか、先程から動悸が治まらず、頭も熱があるように思考が続かない。ケイトの肩を抱く腕にも力が入らない。まるで薬物でも盛られたかのように… あの会食は…



その後、意識が朦朧とする中で裁判を受けて、国外追放処分となった俺は下層へと落とされた。風と大地の加護を与えたから大丈夫とは言っていたが、地面との衝突の衝撃で全身を強く打って骨折し、しばらくの入院生活を送ることになった。ケイトとカルムは無事だろうか。そればかり考えていた。

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