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ワールドリンク  作者: さばみそ
第四章-再盛の町テルムス-
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第七話-凶刃-

「逃げろ!!」


俺は咄嗟に叫んだ。しかし、気付くのが遅かった。アリシアが苦悶の表情でその場に崩れる。腰の当たりから血が流れている。その後ろにはルティナが無表情で立っている。右手の短剣は血に濡れていた。


アリシアは動けずうずくまっている。ケイトが泣きながら傷口を押さえるが、血は止まらず溢れ続ける。

「回復魔法を!」

俺は叫んでルティナに向かって飛び出す。ヴォードは裏拳を繰り出すもかわされる。が、拳から炎が出て追撃する。ルティナはさらに下がって距離を取る。

「アレク、二人を頼む」

とすれ違いざまに言う。

「了解!」

とアレクが応える。

ケイトは涙こそ止まっていないが、回復魔法で傷口を治療している。さっきより出血量は減っている。

問題はこっちだ。ヴォードさんが強いとは言え、連携は不利。どう仕掛けるか…

「不覚だ!気配に気付けんとはっ!」

ヴォードは音が聞こえる程に歯を食いしばり

つたない連携は隙を突かれる。ここは俺に任せてくれ!」

と飛び出した。短剣に対して鉄甲装備の拳、普通ならリーチ負けだが、手足が長い上に魔法の追撃もある。タイミングよく発動することで防御にも使えている。ルティナと変わらず無表情だが、こちらが圧しているのは明らかだ。

(さすがだよ…)

俺は感心しながらも、標的がアリシアたちに向いたら直ぐに対処出来るように集中する。

「おい、リドルの村長の件、やったのはお前か?」

ルティナに語りかける。どうしても問いただしておきたかった。

「……噂を流しただけ… 本人は無事…」

と話す。どこか苦しそうだ。


「まだダメです!」


後ろでケイトの声がする。大丈夫、とか細い声が聞こえた。その後に、ゆっくりとした足音が俺の横を通り、そして止まる。

「もう少し休んでたらどうだ?」

色白の顔が更に白く、いや青ざめている。むしろ、寝てろと怒鳴りたいくらいだ。

「これは、私の、責任だから…」

まだ話すのもやっとのようだ。ケイトが駆け寄り魔法をかけ続ける。少しずつ荒い息が落ち着いていく。

ルティナがこちらをチラリと見て、ヴォードと再び距離を取る。

(くるか?)

と身構えると、ルティナが急に苦しみ出す。


「う… ぐ… があぁぁぁあーっ!!」


叫び声と共に魔力が暴走する。魔法を使えない俺でも見てわかる程の力が、暴風となって辺りを吹き飛ばす。


「なんだよこれ!? おい、ルティナ!」


俺が問いかけるも、ルティナは頭を押さえ絶叫し、身体を激しく揺らしている。

カラン…

何かが彼女の懐から出て落ちた。

なんだ?小瓶のようだが…


「お前… まさか…」


アリシアがよろめきながら呟く。


「魔力を爆発的に高める薬がある。しかし、あれは開発途中で、不完全で、あれは… 力が暴走して命を落とす危険物のはずだ」

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