第二話-追っ手、再び-
洞窟内も明るかったとはいえ、やはり太陽の光りは別格だ。目がチカチカする。俺たちは日の光を浴びて、ううんと背伸びをする。馬たちも軽く背伸びし、入口脇に設置された水槽の水を飲む。
(そういえば、反対側にもあったな)
雨水や湧水を利用していて、馬など家畜の飲み水に、汚れを洗って進むために、と設置されているようだ。
(少し疲れさせてしまったかな)
愛馬の背中をさすってやると、二人も同じく馬を労っている。
(ここで休憩でもよさそうだ)
そう思って腰を下ろせる場所を探して辺りを見回す。ふと、視界の端に違和感を感じ、視線を集中する。(木の陰に… 羽?)
いた… あれで隠れているつもりだろうか? 二人に目配せすると、すぐに気付いて、あぁと呆れる。
(とりあえず無視して休もう)
満場一致で休憩時間。水筒のお茶を注ぎ、ホッと一息。追っ手が彼女だからこその時間だ。
10分ほど休み、出発しようと準備をし終えると
「くらえっ!!」
という叫びと共に電撃が走る。馬たちが驚き嘶き立ち上がり、荷物が辺りに散らばる。幸いこちらに怪我はない。というか、ないのはオカシイだろ。今度は
「やーっ!」という雄叫びと共にアリシアへ飛びかかってきた。またもや鍔迫り合い。なんとなく察してしまった。俺たち二人はその光景を離れて見学していた。その様子に気付きルティナが言う。
「ふっ、騎士道の一騎討ちというやつか? いいだろう、俺とアリスで勝負を…」
(アリシアってアリスって呼ばれてたのかよ。似合わね~)と思い、にやけそうになりながらも真面目に答える。
「ルティナだっけ? すごく真面目でいいこだな。」
へ?という顔で動きが止まる。
「こっちが休憩終わるまで待ったり、馬に当たらないように電撃を飛ばしたり、部外者の俺たちはなるべく相手にしないように立ち回ろうとしてるし」
見学しながら声をかける。ルティナは顔がどんどん赤くなり、口元はわなわなしている。すごくわかりやすい娘だ。俺はトドメの一言を放つ。
「お前、優しすぎて追っ手に向いてないよ。」
バチバチバチバチッ!!と辺りに電撃が広がる
「私は優しくも真面目でもいいこでもなーい!!」
怒りなのか照れなのか、絶叫しながら放電している。
そして、少し落ち着いたのか、深いため息をしてこちらを睨み付けて「今回は見逃してやる」と言い、また飛んで行ってしまった。
呆れながら見送る俺たち二人。そして、つらそうな表情で見守るアリシアだった。




