ショートショート 弁当 作者: 皿日八目 掲載日:2020/07/05 愛する人のため、弁当を作った。 午後に街で見かけるとべつの女と歩いていた。 早起きまでした自分が悔しくて、思わず弁当箱を地面に叩きつけようとした。 すると空から烏が降りてきて奪った。抵抗する暇も与えられなかった。 無洗米が、有機栽培のレタスが、今朝屠られた鶏の唐揚げが、すりつぶした卵が、ゆでたじゃがいもが、生焼けの魚の一切れが、見るみる遠くなっていく。 あっけにとられていたが、 「あれが運命なのかしら」 彼女の手にはもう黒い羽毛が生えていた。