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わたしの記憶の1つ1つを、、、。

作者: 七瀬




わたしの名前は、『シェキナー』


わたしの持っている記憶と交換してほしいという人たちが

私の前に、次々と現れたの、、、!


『ねえねえ? シェキナー! 僕のこのカバンと君の楽しい記憶を1つ

交換してくれないかな、、、?』

『えぇ!? わたしの“楽しい記憶?”』

『そうだよ! 全部とは言わない! たった一つでいいんだ? どうだい?』

『うーん? 確かに、貴方の持っているカバンは素敵だわ~! 他で見たこと

がないほど、綺麗なカバンなんだもの! たった一つ! わたしの楽しい記憶

でよければ、是非! 交換してもいいわ~!』

『えぇ!? 本当かい?』

『もちろんよ!』

『ありがとう、シェキナー!』





わたしは、たった一つ! わたしの【楽しい記憶】と彼のカバンを交換したの!





またそれから数日後、、、。



『ねえ、シェキナー?』

『なーに?』

『私の着なくなったお洋服と貴女の悲しい記憶を1つ! 交換して

くれないかしら、、、?』

『わたしの、“悲しい記憶?”』

『そうよ~! ほら? 私が持ってきた服を見て、、、!』

『なんて! ステキなお洋服なの、、、? こんなにステキなお洋服と

わたしの悲しい記憶を1つと交換するぐらい、簡単な事だわ~!』

『ありがとう、シェキナー! 貴女はとてもいい人ね!』

『こちらこそ! ありがとう。』





そこから、数日経った頃、、、。


『おーい! シェキナー!』

『今度は何かしら、、、?』

『俺の大事に取って置いた、最高級の肉と君の感動した記憶を1つ!

交換してくれないか、、、?』

『えぇ!? わたしの“感動した記憶?”』

『どうだい? この肉、凄いだろう~!』

『確かに、美味しそうな肉ね! こんな大きな肉は見た事がないわ~!』

『じゃあ、交換してくれるのかい、、、?』

『えぇ! いいわ~! わたしの感動した記憶を1つと交換しましょう~!』

『ありがとう、シェキナー!』





わたしは、こうして次々とあらゆるわたしの記憶の1つと誰かの何かを交換

していったの、、、!


・・・でも、そのうちね!



わたしの記憶が、どんどん失われていったわ、、、。

最後の1人の時には、、、?


気がつけば、、、。

わたしの記憶のすべてを交換していたのよ。

わたしは、記憶を何一つ持たなくなってしまったわ、、、!


記憶の無い、わたしに誰も見向きもしなくなったの、、、。

まるで、【記憶喪失】になったみたいに、、、。



わたしの記憶は、空っぽになってしまったの、、、!

交換する記憶がないから、誰もわたしを助けてくれる人もなくなったの。




『わたしは、、、誰? わたしは、、、どうしてここにいるの? わたしは?

何のために生きているのかな、、、?』



わたしが、ちやほやされていたのは、、、?

すべて! わたしの記憶のおかげ。


なくなってしまえば、、、?

誰の目にも止まらない、ただの女の子だわ。



わたしの、全ての記憶を失って気づいた事...。


【決して! 無くしてはいけないモノ。】だったのに、、、。

わたしは、その事に気づけなかったの。



あぁ~

わたしの、、、『大切な記憶。』

もう二度と、、、返ってこない記憶...。




最後までお読みいただきありがとうございます。

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