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第五十ニ話 あの日、あの瞬間⑤

「なっ!」


鋭く声を飛ばした望は、森の奥から次々と現れるプレイヤー達の存在に気づいた。

全員が騎士の如き装備を身に纏い、それぞれの武器を望達に突きつけてくる。

ニコットを先頭に並んでいることから、恐らく、全員が『レギオン』の一員なのだろう。

相手は、騎士団に等しい。

それらを相手に戦い、この森から脱出するのは骨が折れるだろう。

しかし、敵はそれだけではなかった。


「蜜風望、いい加減、諦めろ! 『レギオン』は、特殊スキルの力を世界の安寧のために使うだけだ!」


さらに、森の奥から『レギオン』に勝るとも劣らない大人数のプレイヤー達が現れた。

全員が白いフードを身につけ、それぞれの武器を望達に突きつけてくる。


「『カーラ』」


ニコットが淡々と口にする。

高位ギルドのひとつの名前を。


「どうして、『レギオン』と『カーラ』が協力し合っているんだ?」


電磁波の支配から解放された望は目を丸くし、驚きの表情を浮かべる。


「まさか、高位ギルド同士が手を結んだのか?」

「それは違う」


奏良の驚愕を、ニコットは首を横に振って否定した。


「『カーラ』は元々、『レギオン』の傘下」


その想定外の発言に、有の思考に確かな疑念がよぎる。


「つまり、ニコットよ。『カーラ』は、『レギオン』の一部だったというわけだな」

「そう思ってもらっていい」


有が転送アイテムを使うタイミングを見計らっていると、数本のダガーを構えたニコットは肯定する。

望達も遅れて、それぞれの武器を構えた。

高位ギルドが、上位ギルドを傘下に置いている。

決して、前例がないわけではない。

『カーラ』は元々、公式リニューアル前までは上位ギルドだったからだ。


「活路を見出(みいだ)せないな」


望は剣を鞘から抜いたが、包囲の一角を切り崩す術は見つからない。


「マスター。さらに、上空から複数の生命体が出現するのを感知しました」

「『カーラ』が、新たに喚んだ飛行系の召喚獣か。空を飛んで、ここから逃げるのは不可能だな」


プラネットの警告に、奏良は不満そうに空から視線を逸らした。


「お兄ちゃん、これからどうしたらーー」


予想外の出来事を前にして、花音が疑問を口にしようとした瞬間ーー


「……何もしなくていいぞ」


響き渡ったその声に、望達は大きく目を見開いた。


「心配するな、妹よ。打開策は考えている」

「さすが、お兄ちゃん!」


誇らしげにそう言い放った有を見て、花音は顔を輝かせる。

望達とニコット達による、隠しようもない戦意と敵意。

一触即発の空気はーー


「鶫原徹、そして『アルティメット・ハーヴェスト』の者達よ! 望を監視しているのだろう?」


森の奥へと声をかけた有によって、一瞬にして霧散した。

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