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第百七十四話 忘れじの茸雲②

「「ーーっ」」


望とリノアの鍔迫り合いは一瞬で終わり、高い音を響かせて離れた二人は、そこから驚異的な剣戟の応酬を見せた。

互いの剣技は、きっちり打ち消し合う一閃で処理される。

高度で複雑な剣閃の応酬。

だが、それはリノアの座標をずらされることで、かなめには届かない。


「「ーーっ!」」


このまま続けても埒が明かない状況に、望とリノアは咄嗟に急制動をかける。


「恐れる必要はありません」


その時、凛とした声が洞窟内に響き渡った。

前に進み出たかなめは、無感動に望を見つめる。


「あなた方が女神様とシンクロすることで、あまねく人々を楽園へと導くことができるのです。これからあなたがおこなう功績は、未来永劫、称えられるでしょう」


かなめは両手を広げて、静かな声音で告げた。


「さあ、蜜風望、そして椎音愛梨。女神様のために、その全てを捧げなさい。あなた方の意思は、未来永劫、女神様の意思へと引き継がれていくのですから」

「悪いけれど、俺は協力するつもりはない」

「悪いけれど、私は協力するつもりはない」


かなめの戯れ言に、望とリノアは不満そうに表情を歪める。


「シルフィ。俺から離れるな」

「シルフィ。私から離れないで」

「うん」


望とリノアは、自身の周りを浮遊するシルフィに言い聞かせる。

シルフィは、音の遮断以外にも、その気になれば気配遮断、魔力探知不可まで行うことができた。

だが、基本的には援護、補助系の力しか持たない。

今回のように、『カーラ』のギルドメンバー達に囲まれている状態では、この場から離脱しなくてはシルフィの力を生かせなかった。


「協力して頂くためには、美羅様に真なる力を発動して頂くしかないようですね」

「「真なる力?」」


かなめのその反応に、望とリノアの背筋に冷たいものが走った。


「それって、どういうことなんだ?」

「それって、どういうこと?」


そう問いかけてきた望とリノアをまっすぐに射貫くと、かなめは静かな声音で真実を告げる。


「蜜風望。私達はかって、美羅様のご加護によって、神のごとき力を授かりました。それは、世界を覆す力です」

「「明晰夢……」」


そのかなめの言葉を聞いた瞬間、望とリノアは息を呑んだ。


「はい。あなたは、吉乃美羅様をご存知ですね。私とお兄様、そして、一毅お兄様、美羅様。私達が、プロトタイプ版を売り込んだことで、『創世のアクリア』の開発が始まりました」


そう前置きして、かなめから語られたのは、紘から聞かされていた内容だった。


「蜜風望、そして椎音愛梨。あなた方は、究極のスキルの要となった吉乃美羅様に、もっとも性格が近いのです。だからこそ、美羅様は、あなた方を求めています」

「俺達が特殊スキルの使い手として選ばれたのは、『創世のアクリア』のプロトタイプ版の開発者である二組の兄妹に近い存在だったからだな?」

「私達が特殊スキルの使い手として選ばれたのは、『創世のアクリア』のプロトタイプ版の開発者である二組の兄妹に近い存在だったから?」


そう問いかけてきた望とリノアをまっすぐに射貫くと、かなめは静かな声音で真実を告げる。


「はい。椎音紘から、既にお伺いしていたのですね」

「美羅は、特殊スキルであるーー究極スキルそのもの。だから、俺達、特殊スキルの使い手とシンクロすることで、彼女は目覚め、俺達と同じ動作をするんだな」

「美羅は、特殊スキルであるーー究極スキルそのもの。だから、私達、特殊スキルの使い手とシンクロすることで、私は目覚め、私達と同じ動作をする」


紘が語った真実を思い返して、望とリノアは噛みしめるように反芻する。

ただ、今は、濁流みたいに押し寄せてくる感情に耐えるだけで精一杯だった。


特殊スキル。

世界を牛耳る力と謳われ、現実世界をも干渉する力。

そして、全ての世界そのものを改変させることすら可能な、万能の力。


世界の根源へと繋がる話に、望はふと座りの悪さを覚える。


「どうして、『サンクチュアリの天空牢』ではなく、『シャングリ・ラの鍾乳洞』で待ち伏せしていたんだ?」

「どうして、『サンクチュアリの天空牢』ではなく、『シャングリ・ラの鍾乳洞』で待ち伏せしていたの?」

「盲点を突くためです」

「「盲点……?」」


どうしようもなく不安を煽るそのフレーズに、望とリノアは焦りと焦燥感を抑えることができなかった。

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