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日常とは

亮太からのメッセージは連絡が急につかなくなった私に対しての心配のメッセージばかりであった。

着信の方も朱里の安否を確認するためのものだったのだろうと思えた。

亮太以外にも、ももかやクラスの友達も送ってくれていた。

朱里はまず、亮太へメッセージを送ろうと文字を打ち始めたとこにブーッブーッと亮太から着信が来た。

朱里はびっくりして思わず電話に出てしまった。


「も、もしもし?」


「…!?朱里!?無事か!?朱里が急に休みだしたから何かあったのかと思って…!」


出るとは思ってなかったのであろう亮太の声は早口で少し震えていた。

かなり心配していたことが電話口からでもわかり、朱里は少し照れたが、うれしかった。


「うん、何とかね。オレオールとの戦いで怪我をしちゃって、今まで意識が戻らなかったんだけど、今日目を覚ましたんだ。あ、もう怪我は跡形もなく治ったから安心してね!」


「そうか…よかった。…本当に良かったよ。朱里にもう会えなくなるかと思って…」


軽く鼻声の亮太がグスッと鼻をすすった。

朱里はドキッとしたが、すぐに申し訳なくなり、「心配させてごめんね。」と謝罪をした。

少しの沈黙の後、亮太が緊張した様子で「なぁ、」と言った。


「今から会えないかな…」


「え!今から??……会えるけど…でも私、教団の病棟なんだよね…」


「わかった。今から行く。20分後には着くから。またあとで。」


そう言うと一方的に亮太は電話を切った。

切られた後、今まで聞いたことない真剣な亮太の声に少しの間ドキドキが止まらなかったが、ふとちゆが言った「今日は安静におとなしくするのですよぉ」という言葉を思い出し頭を抱えた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


朱里がこっそり病室から抜け出したときには、日はすっかり沈んでいた。

ちゆに言われた言葉もあるが、教団の病棟は教団の者以外は面会ができないので、亮太とは外で会おうとしていたためだ。

警備員などに見つからないように隠密に素早く外に出て、指定した集合場所へ向かうと、そこにはそばに自転車をおいて佇む亮太がいた。


「亮太くん!」


思わず大きな声が出てしまった朱里ははっ口元を手で押さえた。亮太はすぐに気が付き、ニカッといつも通りに笑って朱里を見つめた。


「ごめんね、遅くなっちゃって。」


「いや、全然!…俺の方こそ今日目が覚めたばかりなのに、呼び出して、、ごめん。」


「ううん!大丈夫だよ!…嬉しかったし」


「え?」


自然に出てしまった言葉にあっと気づいた朱里は亮太の方を見た。そこには少し顔を赤らめて朱里の顔を見る亮太がおり、つられて朱里も顔を赤くした。

ぷいっと前を向いた亮太は自転車にまたがりながら「とりあえず、見せたいところがあるんだ!後ろに乗って!」といい、いまだに顔が赤い朱里を乗せ、走り出した。


道中、亮太は朱里がいなかった学校での話をした。

担任から理由は言われなかったが、落ち着きがなかったことで、クラスメイトも少し落ち着きがなかったことや、

ももかだけが全然心配したそぶりを見せなかったが亮太からしたらすこしそわそわしているように見えたなど、朱里はみんなに心配をかけてしまったという気持ちより、クラスメイトたちのやさしい気持ちに触れて朱里は少しだけ気持ちが温かくなった。


急な坂道をはぁはぁと息を切らしながら登る亮太に朱里は何度か「降りようか?」と言ったが亮太はうなずくことはなかった。

そしてついに「ついたよ」と汗だくの亮太が自転車を止めた。

横を見ている亮太の目線を追ってみると「わぁ…」と引き寄せられるように朱里は自転車を降りた。

そこには宝石のように輝く満天の星空と、月明かりに照らされ、無限に広がる海がまるで歓迎するようにきらきらと輝いていた。

美しさのあまり朱里は黙り込んで見入ってしまった。


「すごくきれいだろ?ここ、おやじに教えてもらってさ…いつか朱里に見せたいと思っていたんだ。」

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