秘密と約束と
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「すごく可愛いのがいっぱいだったねぇ~!!」
「そうね、しかも全部手作りで一点物って店員さんが言ってたよ。」
「やっぱり!だからあんまり見た事ないデザインとか多かったんだね!この猫のストラップとかほんとに可愛いもん!」
そう言って買ってすぐ鞄につけたぬいぐるみのストラップは手のひらより少し大きく黄色と茶色のどら猫で存在感がかなりある物だった。
「ももかちゃんは何も買わなくてよかったの?」
「うん、良いかな。私に可愛いのは似合わないし。」
ももかがいつもののようにクールに答えた。
その返しに対して朱里はニヤニヤとしながら「ふーん」と言うと
「鞄の中に毎日黒色のてるてる坊主の人形入れてる人が、似合わないわけないと思うのになぁ?」
「……なんで知ってるの。」
知られたくなかったのかムスッとしながら朱里を見た。
それに対して朱里はニヤニヤとは違う優しい笑になった。
「ごめんね、たまにカバン開けたりしてる時に見えてたんだ。ももかちゃんはクールだけどやっぱり女の子だもん!可愛いものとっても似合うよ?」
ももかは黙り込んだ。
「それにしてもよっぽど大切なものなんだね!学校にも持ってきてて、なのにそんなに汚れてるように見えなかったし。」
「…そうね、すごく大切なものよ」
いつの間にか空には厚い雲が流れていた。
その雲を見ながら朱里はももかに聞いた。
「何か思い出でもあるの?」
ただ、なんとなくで聞いたその問いに足を止めていたももかを数歩進んでから気づき、振り向いた。
そこにはスクールバッグの紐をぎゅっと握って俯いてるももかがいた。
厚い雲が太陽を飲み込み、あたりは暗くなった。
そしてぽつりと言った。
「…死んだお母さんが…唯一残してくれた形見。」
朱里は背筋がぞわりとした。
その一言には悲しみだけではなく、憎しみや怒りがこもっていたからだ。
「雨が降ってきそうだね、そろそろ帰ろっか」
何事も無かったかのように再び歩き始めたももかに追い抜かれた朱里は戸惑いながらもすぐ小走りで隣を歩いた。
二人の間に沈黙が流れた。
朱里は聞いたことを後悔し、どうしたらいいか分からずにいた。
「…ねぇ、あかり、聞いて欲しいの」
先に沈黙を破ったのはももかだった。
朱里は不安そうにももかの方を見た。
「私ね、昔あった大爆発事件で親が死んじゃってさ、その後に私を育ててくれた人が居たんだけど、その人も私が5年生の時に死んだんだ。」
朱里は横目にちらりとももかの顔を見たが、薄桃色の髪の毛で隠れて表情が分からなかった。
だが、黙々と話すももかからは悲しさが伝わってきた。
「お昼に話してくれた女の子も、親と強制的に離されて…そう考えたら私、悲しくて…憎くて…相手がとっても許せない…けど…」
ももかは震えていた。
その様子を見て、朱里は初めてアンノウンに出会った日を思い出した。その時の自分は力もなく、戦う術もなく、見つかったら死ぬかもしれない恐怖で震えていた。
力があったらこんなことは無かったかもしれない。
力があったらあの女の子は…。
朱里はズキっと頭が一瞬痛くなった。
なぜかももかとあの時の子がかぶって見えた。
「もうあんな思いしたくない…怖いよ…お願い…助けて……あいつらから私を守って…。」
ももかの目には涙が溜まっていた。
はじめてこんなにも感情を出すももかに朱里は衝動的に抱き締めた。
「ごめんね、怖かったね、辛かったね。私も、あの時の思いをしたくない。させたくもない。」
「あかり…。」
「私、守るよ。ももかちゃんに何かあったら私がすぐに駆けつけるから。」
「ほんと…?」
「ホントだよ。これでもオレオールの中で1番素早いんだからね!」
朱里は「1番の新人だけどね」と付け加えながらふふっと笑った。
「大丈夫だよ、私が絶対にももかちゃんを助けるから。」
「……ありがとう、朱里。」
朱里は抱きしめていた腕にきゅっと少しだけ力を込めた。
そして決意した。絶対に親友を悲しませたりしない。させない。全力で守ると。
そんな腕の中で桜葉はあかりに微かに聞こえる位で「ありがとう…信じてるよ…」と呟いた。
Pipipipipi!!!!!!
突然アラームがなり始めた。
「!!ごめん、ももかちゃん!」
慌てた様子で、カバンを漁り、端末を出した。
その画面を見てあかりの顔つきが変わった。
「アンノウンが出たみたい…行かないと。」
そう言いながらももかの手を取り何かを持たせ数歩離れた。
そこにはあかりがカバンに付けていたシリーズと同じであろうピンクてるてる坊主のマスコットが置かれていた。
「さっきのお店で見つけたんだ、自己紹介の時に言ってたでしょ?てるてる坊主が好きって。お守りとして持ってて!」
パァッと朱里が光ったかと思うと、全身白を基調にしたハーフネックでノースリーブの体にぴったりとしたトップスに短パンとロングブーツ、腰にレイピアをさした朱里がいた。
その両足首にはオレオールの証、白色の輪に4つのトゲが対極に着いた物がアンクレットとして着いていた。
「今日はすごく楽しかった、ありがとう!」
「あかり...」
心配そうに朱里の名前を呼ぶももかに対し、朱里は安心させるようにニコッと笑った。
「大丈夫だよ、ももかちゃんを守るのは私だよ。それじゃあまた学校でね!」
そう言ってタンッと民家の屋根に飛び乗り、あっという間の速さで消えていった。
ももかはその姿が見えなくなった後、手に持ったマスコットをポイッとカバンに入れ、代わりに愛おしい黒いてるてる坊主の人形を出した。
「てる、私やるよ。」
両手でもったてると呼ばれた人形にキスをしてフワッと宙に飛ばした。
てるは地面に落ちることなく、ふわふわと宙に止まっていた。
~~~~~~~~~~~~
工場地帯の廃ビルがある場所でいつもとちがう音と声がした。
「喰らえぇッッッッ!!!!!!」
ミント色のツインテールを揺らす少女は手に持ったメイスを全長2~3メートル程のトンボに似た姿をしている銀色のアンノウンに振りかぶって殴った。
だが、その瞬間にアンノウンはカッと光って消え、メイスはそのまま地面にめり込んだ。
カッとまた光ったかと思うとそこにアンノウンが現れた。
「あーー!!もうなんで当たんないのよぉぉぉぉ!!!!」
地団駄を踏む少女の手の甲にはオレオールの証が浮いていた。
「アイラ、イライラしても敵を倒せないですよ。」
同じく手の甲にオレオールの証がある、黒髪の眼鏡のインテリっぽい青年が、手に持った弓を構えながら、地団駄を踏んでいたアイラに言った。
「うるさい!!!そんなこと言うなら、裕也がとっとと倒しなさいよ!!!」
「僕は無駄な動きをしたくないのでね。闇雲に殴ってるアイラとは違って、分析しながら戦ってるんですよ。」
「はぁ?!ウザイんだけど!!!そんなこと言ってビビってるだけじゃないの?オレオールの恥ね!!!」
「これだから猿と共闘するのは嫌なんだ……。」
「今なんて言った。」
この間、アンノウンからの攻撃があったが、全て避けながら言い合っていた。
あぁん?と完全に殺る気のアイラとはぁと溜息をつき、見下したような目で見る裕也。
アンノウンなどほっておいて今にも殺し合いが始まりそうであった。
そこにタイミングよくスタンッとものすごいスピードで誰かが降り立ってきた。
「遅くなってごめんなさい!アイラ先輩、裕也先輩。」
「あかり!!遅い!!!!とっととコイツを始末しよう!!!」
「ええっと、アンノウンを倒すんですよね…なんで裕也先輩を指してるんですか…?」
明らかに苛立ってるアイラが手に持ったメイス裕也に向けていた。
裕也は「はぁ…」とため息をついた瞬間、カッと光ったと思うとアンノウンが祐也の近くに現れた。
「裕也先輩ッ!!!」
「フッ!!」
ギリギリで相手の爪を躱し、持っていた弓で相手を殴りつけたが、また光を放ち後ろに戻られ距離を取られた。
「と、言う訳だ。あいつは光って瞬間移動しているんだ。」
キシャシャシャシャッッッッ!!!!!!
アンノウンは馬鹿にする様に鳴いた。
「ただ、今ひとつ分かった。奴は羽が後ろに向いてると前へ、前に向いていると後ろへ行くことだ。しかも左右には動かない。天野、君のスピードなら出てくる瞬間を攻撃できるはずだ。」
「わ、分かりました!やってみせます……!」
カッとまた光ったと思ったら次はアイラの方に出現した。
サッとアイラは避けメイスを振りかぶる。
「らああああああああッッッッ!!!」
アンノウンは翼を前に傾けた。
「天野!!!後ろに下がるぞ!!!」
「はいっ!!!『ドライブブースト』!!」
カッと光ったと同時に朱里は出てくるであろう場所を予測して猛スピードで駆け出した。そのスピードは目に見えない程だった。
その時、少し前をキラっと何かが光った。
朱里は直感でその光を追い、レイピアで突いた。
何の感触もなかったが、剣先の少し横でカッと光ったかと思うとアンノウンが目の前に出現した。
アンノウンはそのまま回転し、尾で隙だらけの朱里をなぎ払った。
「ッ!!」
「あかりッ!!」
ドンッと朱里は後ろに飛ばされ、地面に叩きつけられた。
すぐに体勢を戻したが、体が傷だらけになった。
すぐ側に裕也が「大丈夫か?」と言いながら駆け寄った。
「裕也先輩、すみません...けどもう一度攻撃させてください。」
「仕組みがわかったのか?」
「いえ、まだ確証はありません。でも、次でわかりそうなんです。」
「…そうか、わかった。アイラ!!」
「聞こえてたわよ!!!」
呼ばれる前からアイラはアンノウンに向かって走り出していた。
残り2メートルを切ったところで、高くジャンプをし、メイスを振りかぶった。
「らああああああぁぁぁぁぁッッッッ!!!」
だが、またもや当たる寸前でカッと光って姿を消した。アンノウンとの距離を詰めていた朱里は目を凝らした。
そしてまた。キラッと何かが光った。朱里は瞬時にそこを狙って攻撃した。
すると同じように目の前でカッと光を放ちアンノウンが現れたのだ。
だが先ほどと違うのは朱里の剣先が、アンノウンの胸を確実に狙っていたことだった。
「やああああッッッッ!!!」
朱里は突きを放った。
が、カキンッと鉄が当たるような音がした。
アンノウンの体が朱里の攻撃をはじいたのだ。
アンノウンはすぐさま朱里に回転攻撃を繰り出したが、来ると分っていたように朱里は攻撃をかわし、アンノウンと距離を取りつつ裕也の方へ引いた。
「どうだ?わかったか?」
裕也はアンノウンを睨んだまま尋ねた。
「あの…もしかしたらあいつは瞬間移動なんてして無いかも知れません…」
ピクっと祐也の眉毛が動いた。
「仕組みがわかったのか?」
「はい、まず、敵の体は鉄のようなものでできています。走った時に何かが反射して光ったんです。よく見るとあのアンノウンの形をしてて…奴は瞬時に小さくなって、高速で移動してるんだと思います。」
「……なるほど!よし、アイラ!」
それに対してアイラはチッと舌打ちをして嫌そうに「分かったわ」と承諾し走り出した。
性格はあまり合わないが、だかんだ言って2人は長いこと一緒に戦ってきた間柄なのだ。何となく思考は読める。
「天野!アイラが攻撃したらやつはこっちに高速移動してくるはずだ、そこを狙え!!」
「的が小さくて攻撃が当たらない確率が高いです……!」
「構わない、攻撃することに意味がある!!」
少し不安があるが、朱里は「はい…!」と返事をして構えた。
「らああああああッッッッ!!!」
アイラがメイスを振りかぶったが、アンノウンは後ろに羽を傾けたカッと光を放ち消えた。そしてキラっと何かが朱里のに向かっているのが見えた。
朱里はギュッとレイピアを握った。
(今だッッ!!!)
「やあぁッッッッ!!」
朱里がレイピアで突きを放った。だが、当たった感触がなかった。カッと光るとアンノウンが現れ、先ほどと同じように回転して尾を当てようと構えていた。
「天野、下がれ!!!『ブリザド アロー』ッッッッ!!!」
裕也が放った氷の弓矢は無数に分かれ、アンノウンに雨のように降り注いだ。朱里はそれを寸前で避けることに成功した。
キシャアアアアアアアッッッッ!!!!!!
初めて攻撃が当たり、ダメージを与えることが出来た。
アンノウンはよろめきながら、羽を前に傾け光を放ち、後ろへ引いた。だが、その後ろにはアイラが距離を詰めて、構えていた。
「アイラ!今だ!!!」
「毒壁!」
アイラは両手を地面に着けた。その瞬間、前方で勢いよく毒々しい液体が湧き出た。
けれど、アンノウンはそれに気がつき、急いでカッと光り、元の姿に戻った。が、すぐに後悔をした。
何故なら前方から朱里がものすごい勢いで迫ってきていたからだ。
「やあああぁぁぁぁッッッッ!!!」
直ぐに反応できなかったアンノウンに朱里はスピードを落とさずに突きを放った。
ガキンッと言う音を立てアンノウンの腹の関節の間にレイピアを刺した。だが、そんなに深く刺さらなかった。
朱里の後方で見ていた裕也は息を飲んだ。
アンノウンはこの程度かとキシャシャッッと嘲笑っていた。しかし、攻撃は終わってなかった。
「『ドライブブースト』ッッッッ!!!」
ブーストで更に勢いをつけ、アンノウンを押し、胸の奥深くにレイピアを刺した。
さらにその勢いは止まらず、アイラが出した毒壁へ押し付けた。
アンノウンの羽が少し溶けた。
ギシャアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!
もがき苦しみながら押し返そうとするアンノウンの力に朱里はジリジリと押されていた。
このままだと毒壁から離れてしまう。アイラと裕也は先に戦っていたことと、広範囲の大技を使ったため、かなりの疲労感が出ていた。これ以上の長期戦は危険なのを朱里は感じていた。
朱里は覚悟を決めレイピアをさらに力強く握った。
後ろで裕也の声がする。だが、
(絶対に、無駄にはさせないッッッッ!!!)
「『パワーブースト』ォォオオオオオオッッッッ!!!」
今までとは違う強い力が乗ったレイピアに押され、アンノウンはバシャンッと音を立てて毒壁に押し込まれた。
「ああああぁぁぁぁああぁあああぁぁぁぁッッッッ!!!」
押し込まれた衝撃で飛んできた毒をもろにかぶった朱里は意地でもレイピアを離さなかった。
ギャアアアアアアアアアアッッッ!!!と悲鳴を上げ毒の中で暴れるがどんどん体を溶かしていく。アンノウンは己の体のほとんどを溶かされ、アイラが毒壁を解除するとそのまま地面に落ち動かなくなった。
それを見届けた朱里はドサッと倒れ込んだ。
早く描きたいところまで行きたいもんですね_(:3 」∠)_
お読みいただきありがとうございます!
またよかったらよんでくださき( ˇωˇ )
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