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集団召喚だけど全部ひっくり返すよ帰還スキルで  作者: 地空乃いいちこ


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6/6

最終回!この世界から魔王が消える日

~~▶▶| 早送り ▶▶|~~


何体かの門番を倒し、魔王の住む城の最奥にたどり着く。

黒っぽい重厚感ある石造りの建物で、いかにもという雰囲気がある。

途中に床から飛び出す槍に骸骨が引っかかっていたり、通路に死体があったりしたが、よく調べてみると全てイミテーションだった。

魔王の城っぽさを演出するための小道具というわけだ。


==============================================

【クリア済みイベント チェックシート】


■石像が動く

■自爆してくる敵に囲まれる

■肖像画の目がこっち見る

□世界の半分をって言われる

□魔王と戦う

□魔王が仲間になる

□強い敵が仲間になったら弱い


==============================================


そして、ようやくお待ちかねの魔王と対峙する。


「また来たか、王国の使者よ。何度来てもこの地は我らが開拓した土地。人間たちの勝手な国境線に含めるのはお断りだっ!」


黒いマントを翻す、黒づくめの男。

具体的にいうと、黒髪で、黒い瞳の少年。


「そうか、そのパターンだったか」

「魔王領は農業知識チートしてるような感じでしたし、予想しておくべきでしたね」

「え、なによ、どういう事なの?」


 腕を組んで納得する俺とおっさん。前衛二人は油断せずに魔王を睨みつける。


「なぁ、君。どこ中よ?」

「な、なんだよ、どこ中って!」

「どこの中学校通ってるの?」

「うるせぇ!高校生だよ!」


 確定。魔王も日本人だ。


「我々は王国に魔王を何とかしろっていう目的で召喚された日本人だ。君はどういう経緯でこの世界に来たんだ? トラック?」

「違う。古本屋の85円コーナーで皮表紙の白紙の本を見つけたんだ。その本の紙の端っこで指を切ったら血がついて。白紙に魔法陣が浮かんできがついたら」

「ふざけんな!なんでそっちのが手が込んでんだよ!」


 そんな導入の仕方、イベントチェックシートにも入れて無いよ、羨ましい。


「魔王殺してこいとか言われてるの?」

「全然?」


 骸骨のついた杖を構えながら恐る恐る聞いてくる魔王に、心配しなくていいと身振りで伝える。


「王国からはそういう希望を出されてるけど、そのつもりはない。会話できるなら交渉で何とかしようと思ってたし、そもそも王国の魔法使いに還してもらわなくても、自力で帰るスキルがあるんだ」

「え、帰れるの?俺も連れて帰ってもらう事は可能ですか!」

「できます」


==============================================

【クリア済みイベント チェックシート】


■魔王が仲間になる


==============================================


 この欄が埋まったかぁ。


 流れについていけていない九堂さん、犬養さん、馬曽利さんを誘導して応接室に移動し、王国で飲んだより美味しいお茶を入れてもらう。

 互いの情報を交換しあい、今後の方針を相談する。


「結構頑張って荒れ地を開拓したみたいだけど、日本帰っちゃっていいの? 我々帰れば王国側の戦力あんまりないから無双できるよ?」

「触手樹とか、マンドラゴラとかトレントなんていう樹木系の魔物も結構いるんで、移住してもらったら土地の問題は割と簡単に解決したんですよ。大ミミズとかもいるんで土の栄養は解決できたし、睡眠の必要がないモンスターと組んだら、どんどん畑は広がったんです。人間が邪魔しに来る事だけが問題で」


 だから、労力はそんなにかけてないし、惜しいほどのものではないです、帰れるなら帰りたいです。と、きっぱり告げる魔王。

 せっかく立派に魔王してるのになぁ。


「魔物使って食糧生産ってのは平和でいいんだけど、魔物って人間食べたりとかしないの?」

「地球にいる人食い熊とか、人食い鮫みたいなもので、それが主食ってわけじゃないみたいです。大型の草食獣を食べられるってだけで。たまに言う事聞かないで竜巻に乗って飛んでったり、頭がいっぱいあったり触手の付いた鮫が人を襲いますけど……人間にも殺人鬼はいるでしょうし」

「鮫だけバリエーション豊富なの?」

「メタル系とか色違いとか、けっこういます。火を噴いたり分裂したりもするんで魔族側でも持て余してるというか」


 それ、一式見たいなぁ。

 そんな事を考えながらクッキーを頬張っていると、ようやく状況を理解した九堂さんが会話に入ってきた。


「こっちで作り上げた環境には未練はないんだよね? なら俺たちと一緒に日本に帰るって事でいいのかな?」

「はい、お願いします」

「そうすると、王国側としても魔王がいなくなれば領土拡大できるし、win-winなのよね?」


 馬曽利さんが確認してくるが、確かにそうだ。魔王も日本に帰る。この世界から魔王が消えるっていう意味では殺害と変わらない。

 八方丸く収まる。俺以外は。


 良かった良かったと、携帯番号とか交換し合う皆から視線を逸らす。今まで黙っていたおっさんと目が合う。


「魔王やってるんですから、本人の魔力も多いでしょうし、魔石なんかもストックありそうですよね。聞いてみましょうか」

「おっさん……」

「私も、こんなに長期間会社を休んだのは初めてです。休んでみると、いいものですね。満員電車に乗らずに済む毎日というのも」

「有給の日数とか大丈夫ですか?」

「うちは事前に申請しないと無断欠勤になるので。無連絡なのでもう自分の席はないかもしれませんが、こうなれば一週間も二週間もあまり変わりはありません。協力しますよ。それに大量の魔力のアテも出来た事ですし、ね」


 おっさんは俺の気持ちをわかってくれているらしい。

 そう、『もうちょっと異世界を楽しみたい』という気持ちを。


「みなさん」


 全員の注目を集める。そして、堂々と宣言する。


「二周目行きましょうか」


 魔王サイドで内政を楽しんだ後は、学園編と武術大会までしっかりやってから帰ったと言う。

鮫の話が完全に蛇足。内政チートの内容とかだいぶ削ったのだけど……


あと、王国側はトレント居ないって言ってるのに魔王領にいるのは、人類にまだ見つかっていないからです。

そしてほぼ全ての樹木系モンスターは魔王領に集まっているので、迷いの森とかマジでキルゾーン。

王国兵に勝ち目がないのはそんな理由です。


あえて最後のチェックシートは書きませんでしたが、埋まった項目の予想をしていただくと「転生しません」あたりで使います。勝手に。


それはそうと、来年もよろしくお願いします。

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