孫の代まで語りつげるぜ、ですよ!
薬草採取のクエストを受注したら、偶然!そう、本当にたまたま、物凄い低確率で特異個体のオークロードに遭遇してしまった。
しかし、激闘の末に見事これを打倒した。
その後も森だと思ったらエントだったイベントをやろうと企画したのだが、この世界にはエントという樹木系モンスターはおらず、大道具がかなり大変だと騎士団に泣きつかれたのでこのイベントはパスすることにした。
代わりにアサインしたのが、ド定番のイベント。異世界に来たら一度は遭遇したい『魔物の大量発生』である。
実際に大量の魔物を用意するのは骨が折れるし、倒すのも大変だ。なので、大量に発生したし倒した、という事にする。
~~▶▶| 早送り ▶▶|~~
国王と共に屋根のない馬車に乗って目抜き通りをパレードする。
城までの広い通りには都に住む住民が押し寄せており、勇壮なマーチ風の音楽の響く中、紙吹雪が舞う。
いったいなんだ、なんの騒ぎだと人々が集まってくる中、「スタッフ」と書かれた腕章をつけたグリンボルさんが魔法で適切な指示を出していく。
「そろそろ『ガヤ』を開始してください!エキストラ1から5まではセリフ準備!馬車が隣接したらすれすれ聞こえるように!」
「グリンボルさんちょっと声でかいよね」
「なにぶん、このような催しは初めてなので容赦願いたい」
「あ、いいですよ。茶番なのはわかってるわけですし、やってみたかっただけなんで」
やってみたかった、でこの人数を動員させるのか……と落ち込む王様を後目に、日本人の召喚組もほとんどが恥ずかしそうに顔を伏せている。
『おい、あの勇者様たちが王都をあの魔物津波から救ってくださったらしいぜ!』
『きゃー、だいてー』
『よく見ておけよ、孫の代までかたり、かた、なんだっけ』
『きゃー、すてーきー』
『この子の頭をなでてあげてください。昨日生まれた赤子です』
恥ずかしいというより照れがでてしまうな。王の謁見イベントは無しにしてもらうか。
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【クリア済みイベント チェックシート】
□森の中で樹木系モンスターに不意打ち食らう(居ないので未クリア)
■パレード
■キャーキャー言われる
□剣を肩にトンってやって爵位を貰う(キャンセル)
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~~▶▶| 早送り ▶▶|~~
一番太ってる貴族に連絡して領地から出てきてもらい、平民出身のどこの馬の骨とも知れぬ勇者に喧嘩を売って貰うのに一番時間がかかったかもしれない。
アーブ・D・デビルライクデブ子爵は広大な領地で食肉を安定供給させる事に成功して爵位を得た多忙な方で、忙しい合間をぬって台本を完全に覚えてきてくださった。
王の前で数々の陰謀を暴かれて真っ赤になるあたりは、マジで血管が額に浮きでており高い演技力を感じさせた。
肉切包丁を持った暗殺者を返り討ちにし、紋章を削り落とした騎士達による山賊襲撃イベントをクリアしたあたりで、都市周辺で行える手軽なイベントは出尽くしたように感じた。
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【クリア済みイベント チェックシート】
■平民風情がっていわれる
■宿屋で暗殺者襲撃イベント
■丸めておいた布団に剣刺される
■山沿いの片側が崖の細い道で迎撃
■岩を崩して敵を崖から落とす
□吊り橋を切り落として逆転(橋は本気で辞めてくださいと懇願された為、未クリア)
□病気の子供に薬をあげる(犬養さんがこっそり頑張っていた為、病気の子供は居らず、未クリア)
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