かくれんぼ。 part6
「はぁ…ちょっと…ちょっと…」
どんなに強い人間でも、"人間"なら。
長い戦闘の間に疲労して身体の動きが鈍くなる。
1〜2撃で倒せる敵でも…
「途中から数えてないけど…4桁超えるぞ…!」
クロロロうっせえこの魔物。
巣を潰せって攻略情報はあるけど、その巣を探すのが手間。
そして何より…
「減るどころか増えてる…」
そうとしか思えない。
今までお前らどこに隠れてたんだよ!って問い詰めたいよね。
カチッ。
「午前5時…イセドラのログイン切り替えまで1時間しかないぞ…やってないけど。」
夏場って朝明るくなるの早いし、夜暗くなるの遅いよね。
夜が明けない。
真っ暗なまま。
「うわぁ…ちょっと待ってよ…」
巣は現在11ヵ所破壊した。
でもなかなか敵の勢いが落ちない。
《クロロロロロロ…》
木の上で休憩しててもすーぐ根本に来て降りてこいアピール。
マジでキツい。
「もうちょい呼んでこいよ。お前一匹のために降りたくない!」
………………………………。
「にゃにゃー!連れてきたにゃあああ!!」
「フワちゃん…私疲れたよぉ…」
「皆疲れてるよ!この攻撃の後、回復魔法使うから!」
「今にゃあ!!」
「「ウサフクロウガトリング!」」
ドカッバキッバシュバシュバキバシュドカッ!!
《《クギャアアアア!!》》
「にゃぁ…走るのちょっとダメにゃ…疲れたにゃ。」
「私もぉ…ずっとパンチしてキックして…身体が痛いよぉ…」
「あと何回魔法使えるんだろう…」
《ロロロロロロロ…》
「にゃにゃ!?またデッカいの来たにゃ!」
「もうやだぁ…」
((ウインド・ヒール))
……………………………………………。
「ウガアアアアアア!!」
「バガさん。もういいのです。」
ナデナデ…
「ガルルル…」
シュウウウウ…
「あれなら私は2度と嫁呼ばわりされないわね。」
「ヒカリさん、お疲れ様でした。私のエリアに助力していただいた事に感謝します。」
「いえ。今後は全てのエリアが協力出来たらと思っていますので。シラユキ様もご検討を。」
「そうですね。考えておきます…前向きに。」
「バガ様のこともよろしくお願いします。」
「そ、それは…」
「…終わったのかぁ?久しぶりに疲れた気がする。」
「終わりましたよ。このエリア内の巣は全て破壊し、あの魔物も姿を見なくなりました。一応"花園"で向こう数日は警戒を続けます。」
「では、私はこれで。中央エリアはここよりも激戦のようなので。」
「俺も行ってやる。」
「いいんです。今はお2人でゆっくり。どうしてもという時は呼びます。」
((ムーヴ・ウルトラ))
ビュン!
「はぁ…街2つは潰れてんなぁ…」
「すぐに元通りです。今は少しお休みになってください。」
「なぁ。寝るから膝枕してくれねえか。」
「…………分かりました。でも今回だけです。誰が見ているかも分からないのに…」
「っは。見せつけてやりてえよ…最高の女だからな。」
………………………………………。
「ジミーさん!頑張ってーー!」
「モチベ保つためとはいえずっと後ろに居たら守らなきゃいけないじゃん…ほら!」
((ラッシュ・キャノン))
ドバババババババババババババ!
「カッコイイー!」
「じゃあもう少し頑張るけど。」
ダダダダ…
「ジミー様!各チームから魔物の全滅を確認したと連絡が来ています!」
「じゃあ最後はここだけだね。このまま君も手伝ってよ。」
「はい!」
「じゃあそろそろミーは戻って朝ごはんの準備を…ふわぁ〜…ねみゅい。」
………………………………………。
「なんだなんだ!?魔物達が逃げていくぞ!」
「俺達に恐れをなしたんだ!勝ったぞおおおおおお!」
「中央・西南連合軍の勝利だあああ!東南エリアを守ったぞおおお!」
「「うおおおおおおおおおおおお!」」
………………………………………。
「バガ様から連絡だ!西エリアの魔物を全て倒した!」
「今すぐバガ様に連絡を!西南エリアの魔物達が中央エリアに向かって逃走している!」
「なんだって!?わかった!すぐに連絡しよう!」
……………………………………。
も〜無理。
回復魔法欲しい。かけて!誰か!
味わいたいわ!絶対今回復魔法使ったら気持ちいいよ!?
…地味に靴ズレが痛い。
踏み込んだりジャンプしたり全力で走ったり…足がボロボロ。
「ルナ、フワ、ミミ…大丈夫か…」
さっさと合流したかったんだけど魔物に阻まれてようやく。
「ナギにゃん!疲れたにゃぁ…」
「ナギ様…ミミちゃんがもう倒れそうです。」
「……ふぅ…」
「そうか…一回ギルドまで戻って出来るだけ回復してきて。絶対まだ終わんないから。」
「ナギにゃんは?」
「回復魔法効かないから…」
「とても疲れた顔をしています…」
「徹夜してゲームするならまだしも徹夜してずっと身体動かして命のやりとりしてるからね…俺のためにも早く回復してきて…」
「はい!ルナちゃん!ミミちゃん!戻るよ!」
((ムーヴ・ウルトラ))
ビュン!
羨ましい。
ーゴゴゴゴゴ…
「今のは…?いや、だめだめだめだめ…今のなし!フラグだめ!絶対!」
ードダダダダダダダ…
「俺の…ばっかやろおおおおおおお!!」
《《ロロロロロロ!》》
《《《クロロロロロロ!》》》
住宅街を走り回る群れ。
塀を壊して、庭を踏み荒らして…時々ガラスの割れる音も。
守りきれなかった"一般人"が何人いるんだろう。
駅から駅へ走り回って戦闘して巣を探して…
ちょっとギブ。一旦ギブ。
ビュン!
「ナギ君!無事!?」
「…ヒカリさぁん…」
救世主キターーーー!
「ちょっと無理…」
「そこのベンチで休んでて。私がこの群れを討伐するわ!」
((ボルケーノ・テンペスト))
夜の空に炎が舞う。
いや、時間的には朝だけどね?
「っあぁ〜…ベンチに座るだけでこんなにも癒えるのか?普通じゃないよこんなの。」
目の前でヒカリさんが戦ってる。
あぁ…可愛い。
時々こっちをチラ見するんだもん。
でも魔導で範囲攻撃出来るからあんま疲れてないんだなぁ…
俺もそういうの欲しいなぁ。
「勇者。」
ピト。
「冷たっ!!」
「飲む。」
「ありがと…命の水…いや、オレンジジュースだな。」
カシュッ…ゴクゴクゴクゴク…
あっという間だ。
「っぷはぁ!生き返るぅ!死んでないけど!」
「モモ。戦う。」
「いや、お前はピンチになった人を守ってくれ。この長期戦で疲れて動けない人がいっぱいいるはずだから。」
「わかった。」
「…ねぇそのリュック何?」
「おじさん。持たせた…じゅーす。」
モモの背負ってるリュックを覗いてみた。
中はクーラーバッグみたいになってて、缶ジュースが詰め込まれてる。
これあれだな、魔法でずっと冷えてるやつだな。
冷蔵庫なんて要らねえ!とかいう未来が見えた。
「ふぅ…2人とも大丈夫?」
「はやっ…30匹は来てたのに…」
「う〜ん…後からもう少し来ていたけど…私は苦戦している所へ行くわ。ナギ君はどうする?」
「俺もそろそろ動くよ…ヒカリさんとモモのおかげで少しは元気出たし。」
「無理はしないでね。」
「ヒカリ。モモは勇者と。」
「は?」
「分かったわ。ナギ君、お願いね。」
「なっ…」
ギュッ。
「勇者。守護する。」
「それじゃあまた後で。」
((ムーヴ・ウルトラ))
ビュン!
「モモ…お前…そんなに俺疲れてる?」
「…………………。」
コクコクコクコクコクコク…
「そんなに頷かないで!もげる!だめぇっ!」
モモと2人で行動することになった。
もしかして初めてかも?
「よし…南の方に行こう。まだ行ってないし。」
…………………………………………。
「バカな…イートマウスが減らされるだと…!?」
《お前が不幸を呼ぶ原因なのかもしれんな。いっそ殺してやろうか。》
「スパーン様…」
《イートマウスはいずれ狩られる。お前も行け。》
「はっ!」
((ムーヴ・ウルトラ))
《次こそしくじってくれるなよ…フン。》




