ぶれいくたいむ。part3
傷を癒すために部屋にひきこもる。
心身共になかなか酷い。
最愛の人がゾンビ化して襲ってくるレベル。
しかも龍虎針剣を盗られたのがまた大きい。
「今後どうすりゃいいのさ…」
晩ごはんをパスしたおかげで治療に集中出来た。
後でお風呂入る時に食べよう。
Prrrrrrrrrr…
「もしもし…あ、バカ様か。今からはちょっと…分かったよ、行くからこっちには来るな絶対。」
あんな大男と一緒にいるとこ家族に見られたら心配される。
………………………。
てなわけでわざわざバカのギルドまで来た。
「それで?しょうもない用事だったら…すぐ帰るからな。」
ぶっ飛ばすなんて言えない。
装備無しじゃ勝てないもん。
「お頭が…」
「あぁ〜…そうだね。色々あったんだよ、お前がいない間に。」
そこから俺の考察をバカに話した。
バカって実はそこそこバカじゃないというか…ややこしいな。
………。
「じゃあお頭の戦友がマリオの手中にあるかもしれねえのか。お頭は逃げたのか?」
「分かんない。でも精神的にキツいだろ。頭冷やす時間がほしいのかも。」
だといいけど。
「そうだ、久しぶりに俺と喧嘩するか?」
「やめとく。俺も大変なんだよ。」
「んだよ雑魚。ついに勝てないと悟ったか?」
「少なくとも今は勝てないな。ボコボコにされて同情されて終わり。だから止めとけ、お前の服が俺の返り血で染まるだけだ。」
「…な、なんだよ…気持ち悪いな。」
「じゃあそろそろ帰る。職質されたら困るし。未成年だぞ?」
「へいへい。早く帰れよ。」
「…1発だけ殴っていい?」
「っは!なら肩パンだな。」
学生で肩パンしようぜとか言うやつホント嫌い。
お前がパンチしたらお返しにコンパスぶっ刺してやろうか?ってぐらい嫌い。
((ストロング・フィスト))
「生で受けるの?多分ヤバいよ?」
イライラを全部乗せるつもりだから。
バカは味方だけど、遠慮なく本気で殴れる。
「っは!自信あるなら来いよ。」
((ビッグ・インパクト))
ッドゴ……………!!
ほら。
「い"っ!!」
拳は肩にめり込んだ。
中の骨とかどうなるんだろう…手首まで突っ込んだよ?
「言っただろうが…」
「ちっ…効くなぁ…」
「じゃあ今度こそ帰る。」
相手の肩パンチは受けずにヤり逃げ。
さり気なく卑怯だ。
……………………………………。
今日のご飯はハンバーグカレー。
夏野家では週一でカレーが出る。
ハンバーグ、カツ、チキン、ウインナー…
メインのおかずが変わることで誤魔化すスタイル。
カレー自体はサブアタッカーなのだ。
「うお!当たりだ!!」
お母さんのマンネリ防止企画として当たりのおかずが存在する。
ハンバーグにチーズがINされてる今回がまさにそれ。
ウインナーが家庭レベルで"良いやつ"になってたり。
「うまー。」
なんとなく思った。
RPGで装備を整える時、武器・防具・アイテムを買い揃えるよな。
武器ばっかり気にしてたけど、防具は意識してなかった。
明日こそ、衣装的な意味でも相談しよう。
でも誰に?
………………………………………。
「ふぁあ〜…言うほど寝てない。」
学校は夕方頃から。
だから午前中にギルドに向かった。
………。
「ナギ様。」
「デュークさん!おはようございます。」
「おはようございます。」
「なんかギルドマスターの仕事ありますか?」
いくつかの書類にサインしたり色々説明してもらった。
「デュークさん…書類整理しながら…聞いてほしいことがあるんですけど…」
なんで大人の書類ってのはこうも難しい漢字を使おうと必死なのか。
「なんでしょう?」
「デュークさんって、魔物と戦ってた時、どんな防具を装備してたのかなぁって。」
「防具ですか?」
「ヒカリさんを見ると、魔法使える人は魔力で鎧を作ったり壁作ったりして防御出来るけど…」
「なるほど、ナギ様は勇者故に魔法が使えないと。」
「うん。今まで防御のことを考えたことなかったんだ。」
「なるほど…でしたらお任せ下さい。魔装備をご用意致しましょう。」
「ほ、ホントに!?あと…剣もお願いしていいかな。」
「おや、ナギ様には立派な武器があると聞いてますが。」
「悲劇的なイベントのおかげで今は手元に無くって…」
「分かりました。なるべく質の良い物を揃えておきましょう。」
「デュークさん…!相談して良かったー…」
マジで感謝。ラッパー並に感謝感謝。
学校の時間までデュークさんの手伝いをした。
それでも足りないくらい。
ごめん、ちょっと楽しいのもあるんだけども。
ナナミさんが無駄遣いしてた予算を必要なとこに割り振ったり…
3人、役割付与の立ち会いもした。
書類でチラ見した情報によると、2017年時点で役割持ちは117人。
お前らももしかしたら見たことあるのかもな。
…さあ、今度こそ学校だ。
ガラガラ…
「夏野っちー!久しぶりー!」
「お、おう…」
一番乗りのつもりが先を越された。
「夏野っち…聞きたいことがあるんだ!」
「な、なに…?」
「ヒカリちゃんと結婚してるの!?」
「なんだそれ!!」
「だってー。花火大会でヒカリちゃんと一緒に…あと子供も…夏休みの間もちょくちょく2人で居るの見たよ?スーパーで買い物とか夜にコンビニ行ったりとかさー!」
「念のため聞くけど…ストーカーじゃないよな?」
「うん。偶然だよ?」
「……。」
気がつかなかった。
少しだけ…ただの人間に恐怖した。
殴れば勝てるんだけどさ?
「ヒカリさんとは付き合ってないよ。あの子はヒカリさんが預かってるだけだし。まあ仲良くはしてるけど。」
事実だ。
「ふ〜ん…」
完全に怪しまれてる。
でもな、俺も怪しいと思ってるからな!
…名前なんだっけ!!ねえ!誰だっけえええ!?
ガラガラ…
「ナギ君、来てたのね。」
「あ、ヒカリさん。」
「ヒカリちゃーん!」
「何かしら?」
「夏野っちとはどういう関係?」
「ちょ、何言ってんの!?」
俺とのやり取りが無意味だ!!
ちょっと腹立つ!!
「私とナギ君の関係?…そうね…」
チラッと目が合う。
ヒカリさんはなんて答えるんだろう。
「うふふ。好きに考えていいわ。」
「…は?」
「じゃあやっぱり……!」
やめろ、そんなドヤ顔でこっち見るな。
「ナギ君。先生にお願いしたらOKもらったの。今日から隣の席だからね。」
「…ちょ…」
「わぁお…ビッグニュースだ…!」
「やめろ、言いふらすな…」
「良いのよ?言いふらしても。」
ギュッ。
忘れてた。
この子、小悪魔だった。
…………………………………………。
始業式。
まあめんどくさいよね。
校長先生の話は長いし。
立って聞いてるのも嫌だし。
…と言いつつすぐ隣にヒカリさんがずっといるし、クラスのみんながこっちをチラチラ見ながらニヤついてるしであっという間だったかも。
すぐに戻ろう。教室…あ、隣の席か!
くそ!また詰んでる!
嬉しくないわけじゃないんだけどさ…
「ねぇねぇ、転校生いるみたいだよ。」
隣のクラスのやつの会話が聞こえた。
転校生か。夏休み明けの転校生、あるよな。
で?どんな人?
「にゃにゃ。ナギにゃん、盗み聞きはよくないにゃ?」
「……………………………………。」
ほんの少しだけ隣のクラスの列に体を寄せたその時だった。
心臓止まるかと思った。
「お前何してんの?」
「にゃ?にゃーも学生にゃ。今日からこの学校でお勉強するにゃ。」
本気か。
作者よ、本気か?
語尾が"にゃ"だぞ?いや、語尾どころか乱用してるぞ?
そんな子を…!!
「ルナちゃん、勝手に離れちゃ…あ、ナギ様。」
「あはは…フワちゃん。」
「ナギ様ぁ。おはようございます。」
「ミミちゃん。お、おはよう。」
夕方からだけど挨拶はおはよう。
この学校特有かもしれない…けど、定時制だと意外とありがちなのかも。
「転校生って…」
「はい。私達です。ナナミ様が手配をしてくれてたんです。」
「ああ…」
「にゃ〜…ナギにゃん、自分の列に戻るにゃ。大変にゃ。」
「へ?」
クラスの注目をまたしても集めてしまった。
これはハードモード。ベリーハードだ。
「みんな、戻るよ!」
「にゃ。」
「待ってぇ〜」
…。
「ゴ、ゴホン。」
「大丈夫よ。身内だけの時にしか妬いたりしないわ。」
「……俺ってどう見られてるんだろ。」
「そうね、プレイボーイかしら。」
「………………記憶消す魔法とか無い?」
「あっても使わないわ。楽しみましょう?」
「…………………………。」
面白いよな。
学校生活って、やたらとこの世の終わりを感じるというか。
宿題忘れたー、女子泣かせたー、席替えでー、給食で嫌いな物ー…
……………………騒がしいよな。
…………………………………………。
「ナギちゃんの大好きなチョリソー、安かったからたくさん買っちゃった。しばらくピリ辛な朝になるわね。」
「えっと……お味噌お味噌…どこに…」
「えっと……お味噌お味噌…どこに…」
「えっと……お味噌お味噌…どこに…」
「えっと……お味噌お味噌…どこに…」
《クロロロロロロ……》
グジャッ……グジャッ…
ガチャガチャ…
「ただいまー。腹減ったー。」
「父さんもだ。ナギには悪いが先に食べようか。」
「そうだね……なんだよ…これ…」
「お前は外に逃げろ。早く!」
《クロロロロロロロロ…》
グジャッ…ビチョビチョ…
「親父ぃっ!!」
《クロロロロロロロ……》




