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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その1、序盤はレベル上げ
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目覚めの時 part5



「あー、勇者…返品したい…かもしれない」


ゲームアプリのアカウントと世界を救う花形職業の交換、明らかにレート違いだよ、うん。

これ以上ないお得具合なんだけども、グレイトマジシャンとの別れが未だに受け止められない…イセドラ起動しても最初からなんだぜ?強くてニューゲームもない、またリセマラの日々だぜ?



「死体君…、ナギ様、そう言わずに。あなたはこれから勇者なのですから。」

「そうだけども…え?今なんて?」

「これから勇者なのでs」

「もう少し巻き戻して!なんて呼んだ今!」

「ナギ様と。これまでの無礼はお詫び申し上げます。」

「何それぇー!冴えない男が実は金持ちと知って態度が真逆になったやつじゃん!」


ナ、ナギ様って良いな…このレベルの可愛い女の子に呼ばれるなら…あ、ちょっと一人になりたい。


「でもダメだ!どうしてそうなったのか知らないけどヒカリた…さんはさっきまでの感じで接してよ、やりづらいし壁感じるから。」

「でも?…分かりました。じゃあ改めてよろしくね、死t…ナギ君。」

「おう美人魔術師こら死体言うなや!」

「うふふ、あなたのヒカリたんと相殺してくださる?」

「むむむ……」


バレてたーーーー!

でしょうね感あるけども。



とまぁこんな雑談してるのも、勇者の役割付与まで少し時間がかかるのをギルドの待合室で待ってるからなんだよね。

役割証明書には魔力が込められてるらしく、これが無いとアイテムの装備だったり魔法の使用が出来ないらしい。


「ねぇねぇヒカリさん」

「何かしら?」

「スマホの画面に付いた油を綺麗にする魔法とかない?」

「使い道がなんとも…あら、これは納得ね」

「あのフライドチキンおじさんも魔物だと言って」

「残念だけど彼は人間よ。いいわ、綺麗にしてあげる。」

「おっ!いけんの!?お願いしまーす」



((クリーナー・ビビ))


ポフン!

「ちょおおいい!スマホにスライム召喚するとかどういうこと!?」

「この子が綺麗にしてくれるから、まぁ任せてあげて?」

「いやいや…あぁ俺の手も包み込んで…やだこれ気持ちいい。」

「ビビは害のない良い子なの。私の可愛いペットよ。」

「スライムがペットなのか…あぁでもこれは…じわじわくる…気持ちいい…っ!!お、画面の油が浮き上がったぞ!」


《きゅっきゅー!》


「終わったみたいね。ありがとうビビ、戻っていいわよ。」

「仕事の早い…あぁもう少しじわじわされたかった…えっと、ありがとうビビ」

ポフン


「すげーーー!ちゃんと綺麗になってる!サラサラスベスベ!」

「喜んでもらえて良かった。でもどうしてスマホが油まみれになったのかしら?」

「あぁ…勇者の対価のせいだな」

「えっ!?まさかスマホが対価!?」

「いや、それはない!あの…出来れば言わずにおきたい感じではあるけど…知られたらマジで気まずい。」

「気まずい?スマホの中の何かが対価だったのよね…?」


あーめっちゃ考えてるこの人、ん?

なんで少し照れてんの?

いやいやwなんでそんな真っ赤なのww


「私に気まずいのよね?」

「うん。気まず…あれ、ちょっと待って方向性の違いだわこれ」

「あなた私の変な画像を…!!」

「なにそのありがちな勘違い!そんな画像ねぇよ!むしろ欲しいよ!」


「え?」

「え?あ、うん。すみませんつい本音が。でも、俺の対価については本当に勘弁して!察して!」

「それなら…いつかは話してもらうわね?どうしても気になる…」



「夏野 凪様、役割付与の準備が整いましたのでこちらへ。」

「は、はーい。行ってきまーす(小声)」

「行ってらっしゃい、ここで待ってるから。」



クチャクチャ…チュパチュパ…


もうね、ドア少し開いただけでこれだよねフラチキじじいマジで。

2度とうちの子には触らせません!まだ分割払い終わってないんだから!!


「やぁやぁナギ君、お待たせしたねぇ。そこに座ってくれるかな」

「は、はい。」

「それじゃあ…これが、勇者の役割証明書だよ」

「これは…」



短剣、ただただ短剣。ちょっとした装飾があるけどマジで短剣。



「証明書ですよね?」

「証明書だよ。他の役割の付与なら契約書にサインして燃やすだけなんだけどもね、君勇者でしょ?勇者はこれなんだ。」

「あ、勇者仕様なんですね…で、これを…?」


「そっかそっか、説明がなかったねぇ。その剣を君の身体に刺します。」

「へぇ…ぇ?いやいやいやいやいやいやいやいや!いや!待って!死んじゃう!」

「あぁまだ説明が終わってないからね、慌てないでいいよ。」

「いやいや、刺すんですよね?死にますよ?死ぬ死ぬ死ぬ!」

「死なないってば!いいかな?これを身体に刺しても痛みはないよ、そして身体にそのまま入っていく。身体に剣が入ってる限り、君の役割は有効になるからね。」


「……あ、痛くないの?死なないの?」

「うんうん。痛くないし、死なないとも。」


「自分でやるといいよ、その方が物語っぽくてカッコいいからねぇ」

「そ、そうですね…これ、身体のどこに?」

「好きなとこでいいよ、隠したい所に。もう一度言っておくけど、身体の中にその剣がある限り役割が有効になるからね。」

「なんかその説明嫌な感じしますね…」

「うん、もしその剣を隠した部位を失くす事があれば勇者ではなくなるねぇ」

「うわー…」

「大丈夫、ヤバい時は逃げればいい。ケガしないように生活すれば問題ないよ。」

「それ勇者に言う言葉じゃないです!!」



…ふぅー…


身体に…短剣を…刺す…

万が一短剣を隠した部位を失うと…


なら、腕とか足は危険だよな


あ、簡単なことじゃんね。

ここに、刺す…


ブスリ。

「ぶっふぉん!!あああああ痛いよおおおおおおおおおおおおおおおおおああああ!!」

「いや、痛みはないっt」

「お母さああああん!!俺死んじゃああああう!うわああああああああ!」

「騒がないで!だいじy」

「うわあああ!身体に入って!あああああ死んじゃうよおおおおおおお!!!!」

「やれやれ…」




「あ、入った。」



「痛かったのかな?」

「すいません見た目の問題で痛く見えて」

「やっぱり痛くはなかったんだねぇ」

「すいませんただのグロ映像だったんでつい」


「そんなわけで、君はこの瞬間から勇者だよ。」

「おお!」

「本来ならここで対価をもらうけど、ナギ君には先にもらったからねぇ。これで役割付与はおしまい。」

「おお!」

「行っていいよ。頑張って世界を救ってねぇ。」

「ありがとうございます!」



フラチキじじいは一段落とスイッチを切り替えてまたチキンに手を出したよ。

マジでなんなん?チキンへの愛情なんなん?



というか!

実感ないけど!


正真正銘!



夏野 凪、勇者になりました!!!





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