ごーとぅーへる part3
またしても聞き取れない謎の詠唱。
でも悪魔の次の一手は…
ッガク。…ッガク。
「死体が…起き上がった!!?」
「ここ…死体に囲まれてるんだけど。やば。」
「死人は死人だ!遠慮なくぶん殴れええ!」
数十…いや、3桁はある死体がピクピクと動いて立ち上がる。
もちろん頭は無い。
「つまりキモい!!」
「最近完成したやつ使お。…これこれ。」
((テンペスト・キャノン))
ボファン!!
「ジミー!今のは?」
「簡単に言うと流星群かなー。避けるか弾くかしてね、当たると死ぬかも。」
「は!?」
「っは!それだけでこの数を減らせるならナイスじゃねえか!」
ヒューーーヒューーーヒューヒュー…
「魔法弾が沢山降ってきた…」
1発。死体が数体吹っ飛ぶ。
2発。死体が爆散する。
3発。もはや災害。
「うわ!回避ー!」
ドカァン!!
「危なっ!!」
「ナギー。そっちに悪魔行ってるー。」
「え?」
《アピス》
シュッ!
「っぐ!」
掠った!右手から突然黒いフォークみたいな三叉の槍が高速で出てきた!
アピス…なんだその…
「はぅ…ちょっと疲れた。魔力回復するまで2人でお願ーい。」
「バカ!こっち!連携攻撃いくぞ!」
「ああ!やってやる!!」
((ギガ・インパクト))
「影斬り!!」
《ヴーム》
ヴン!
「消えた…!」
ガキイイイン!
「ちっ!味方同士でぶつける作戦か!」
「…………………。」
ヴーム…移動魔法…
「あ。」
詠唱は鏡文字みたいなことか!!
アピス…スピア…槍か!
なんでそんなやり方なんだ…?
………………………………。
「…うっ…」
「ナナミ様。」
「…ヒカリか。」
「手術後すぐに気付け魔法で起こしました。失礼を。」
「いや…それより…ここは病院か。ナギはどこだ。」
「悪魔と戦闘中です。」
「なっ!馬鹿!!俺を悪魔の所に連れてけ!早く!」
「ダメです。まだ全身の傷は治っていません。私が行きます。」
「それこそダメだ!お前らじゃ勝てねえって!」
「悪魔の何を知ってるんですか?」
「………。」
「貴女こそ悪魔に負けたんです。私達が倒します。」
「………はぁ。危ないと思ったら移動魔法で戻って俺を連れてけ。分かったな。」
「はい。」
「悪魔は…"鏡"だ。鏡こそ悪魔に対抗する手段だ。」
「鏡……」
「どんな手段でもいい。悪魔を身体から引き剥がして鏡を見せろ。そしたら…これを。」
「魔法書ですか。」
「…これ。封印だ。そこらの雑魚じゃあ意味を成さない。分かるな。」
「…………これって…」
「やめるか?」
「…やります。」
「後のことは全部載ってる…っは。傷が開いたみたいだな。めんどくせえ。行ってこい。ミスんなよ。」
「任せてください。モモちゃん、行くわよ。」
「分かった。」
((ムーヴ・ウルトラ))
ヒュン!
「……ハル…。」
…………………………………。
「ナギ。どうしたの?」
「悪魔は鏡文字みたいに詠唱してる。アピスがスピアで槍が出てきた。」
「へえー。ナギも気づいたんだ。」
「知ってたなら言えよ!」
「なんでわざわざそんな詠唱するんだろうね。裏技?」
「さ、さあ…」
「おらぁぁぁぁぁぁぁ!!!っおらぁ!」
《……………?》
スッ…ピタッ…
「悪魔は片腕だ…バカ1人でも一応足止めが出来てる。ゾンビ化した死体もジミーが殆ど吹っ飛ばした。後は本体の倒し方なんだよ…」
純粋に強敵。
裏があるって感じじゃない。
レベルの問題なのか?
「…どうすれば…」
「どうした。」
「いや、攻略法が…」
「モモ!?」
「なに。」
「え?だってヒカリさんと逃げたんじゃ」
「私も居るわよ。」
「ナナミさんは!?」
「手術が早めに終わったの。魔道具のおかげで見た目よりも回復してたのね。話もして、"答え"をもらってきたわ。」
「答え?」
「ええ。でも、そのために悪魔を身体から引き剥がさなければいけないの。言ってみれば霊体…人魂のような状態にするの。」
「…それが出来れば…」
「ええ。」
「分かった!」
やっぱり取り憑く説か!
身体の部位を失って戦えないと分かれば身体から離れるはず!
「なら"だるま"作戦続行だな!」
「ナギ、エグいね。」
「私は準備するわ!」
「おっけえ!任せて!!」
「ふぅぅぅぅ…」
ヒュン…
「…うーん…アレあと3分持つかなあ。」
「おらぁ!!!」
((ビッグ・インパクト))
スッ…ピタッ
「くっ…そおおらぁぁぁ!!」
(退魔斬!!)
ズッバァァァァン!!
《………………!》
ッボト。
「っは!これで両腕潰した!次はどうする!」
「っはぁ…はぁ。首。首を刎ねるぞ…魔法を使えなくする…」
シュゥゥゥゥ……
「おいおい、まさか…お前!」
「いや、これでも相当長く持ったって。」
「くそ!どうすんだ!切断攻撃はお前しか出来ないんだぞ!!」
「…だってぇ…」
「ちっ!」
アイシテル。
アイシテル。
ナイテ。サケンデ。
イノチゴイシテ。
「…はぁ…はぁ…」
カチャカチャ…
「バカ。」
スッ。
「何だこれ。」
「輝石。今回だけ使わせてやるから。お前が強くなれば都合の良い何かがあるかも。」
「っは!っは!こいつぁいいな。今回だけか。まぁいい。」
「使い方…知ってんの?」
「この石に魔力を集めりゃいいんだろ?お前は下がってろ。」
「うん。じゃあ…ガンバ。」
ジュウウウウウ…
「漲って来るじゃねえか。お頭ぁ……誇りに思えよ!アンタの1番弟子はぁ!!」
ズキズキズキズキ…
「なんだよあれ…!」
「ナギ、輝石ってなに?なんかズルじゃない?」
バカは通常時でも相当な体格。
これが不良なら間違いなく転校を勧める。
どんな格闘技やらせても世界に通用しそうだし。
それが輝石の力で…うん。
ハ〇クだよね。
プチ巨大化。
両腕の肘から上が真っ赤に染まって
髪の毛が逆立って
厳つい。
「最っ強だ。」
《……………。》
《d…》
ガシッ。
「その首…引っこ抜くぜ。」
ググググ…
ヤメテ。
ヤメテ。
「やっちまえええバカぁぁぁ!!」
「派手に、死んじまえ。」
バチュン!!
首を引っこ抜くってそこそこ怖いこと言ってたけど、実際バカはそれを可能にする力があった。
いや、力があり過ぎた。
首を握り潰した。
「っは!この頭もぉ!!」
((ビッグ・インパクト))
ドゴォォォォォォォォォォオオオオン!!!
「威力高すぎ…」
「今回だけって言ってよかった…」
カナシイ。
ドウシテ。
ドウシテ。
シンデクレナイノ。
シンデシンデシンデシンデシンデ。
「ヒカリさん!!」
語りかけながら悪魔は空中に本当の姿を現した。
影だ。
薄くて、分かりにくい。
人型の影は…あれ、俺の方来てない?
「もう少し!…」
「え!?」
まだ準備中!?
「やば。」
ドックン…ドックン…
アイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテルアイシテル
ズットイッショ。
イッショ。
「ぅが…………ぁが……………」
「アイツ…!!取り憑かれたのかあ!!」
「ナギ…ちょっと離れるから頑張って。まだ耐えてね。」
そろ…そろ…
「出来たわ!…悪魔は!?」
「勇者の中。」
「そんな!ナギ君!!」
「ごぼぼぼぼぼぼぼ…」
「うわ。血でマーライオン再現しちゃったよ。やば。」
「バガ様!!」
「わーってる!1発だけ!殺さねえ程度に!」
((ビッグ・インパクト))
ドッゴオオオオオオオオ!!
「っぷはぁ…………………」
ダメ。
ダメ。
コロシテ。
コロシテ。
アイスルヒトトイッショニイルタメニ。
コロシテ。
「ぁが……………ぁぁぁ…ぁ…」
チャキ。
「っは!疲れたお前に何が出来んだ!」
スッ ッッ ッッッ!!!
「くそ!身体の限界は無視か!!」
ヒュン!ヒュン!ヒュン!
「でも今回は運が悪かったな。」
((ギガ・インパクト))
ドォォオオオオオオオオオオン!!!
「ちょっと!地震発生機じゃん!!あ、ナギが止まった。」
「どうだ。足場が揺られて走れねえだろ?」
「ぁが…………」
「その口閉じろや!」
ガシッ………
うぐっ…ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
ヤメテ。コロシテ。コロシテ。
え…く…そ…しぃ………す…とぉぉぉぉぉ!!!
あ、むり。
「がはっ………」
クタッ…
「あが…が…がぁ………………」
ズイッズイッ…
「うわぁ…口から手が出てきた…ちょっとナギと友達にはなれないかも。」
「っは!出たいなら手伝ってやらあ!!」
ガシッ、グイグイグイグイ!!
ズズズズズズズ……
「ナギ君…!」
「ヒカリさん、用意して。」
「…ええ!」
「おらぁっ!!」
グイッ!!
「バガの真上!ほら!」
「魔法鏡を……!!」
《……………ィキャァァアァァァァア!!!》
シュルルルルルルルルル…
「鏡に吸い込まれてく…。閉じ込めるの?」
「始めるわ。」
「邪悪なる魂よ…女神の光にひれ伏せ!」
「女神の名において命ずる……!」
((ホーリー・エンド))
ッッ…キイイイイイイイイイイン!!
「すご。録画しとこ。」
…………………………………。
「ヒカリ、これで終わりか?」
「…後はこの魔法鏡を割らずに消すだけよ。」
「…じゃあ俺は無理だな。」
「僕もそんな便利なこと出来ない。」
「モモちゃん、ナギ君のこと見てて。」
「分かった。」
「バガ様。輝石を。」
「んあ?お前やらかしたんだろ?」
「でも出来るのは私だけ。今度は…強いみんなが居るわ。」
「っは。殴らせんなよ?…ほら。」
「…今度僕も輝石借りていい?」
「止めとけ。生半可な覚悟じゃあその石に食われるだけだ。」
「…やば。」
ジュウウウウウウウウウ…
「…ふふ。」
「ジミー、構えとけ。」
「え?」
「弱体化の魔法弾だ。ヒカリが暴走したらすぐに撃て。」
「いいよ。それくらいなら出来る。」
「…鏡を…割らずに…」
((ボルケーノ・ピラー))
ボウッ…ドブォォォォォォォォォ…!!
「何これ。あー…離れよう?」
「だな。俺達も燃え溶けちまう。」
「うふふ…何だって出来るんだから。」
…………………………。
「……げほっ!げほっ!」
「勇者。起きた。」
「ナギ、おはよう。」
「んぁ…喉が痛い。」
「喉っていうか首だと思うよ。バガが首を握ってたし。」
「んで、アレは?」
「ヒカリさんが輝石使って…悪魔が入った鏡を燃え溶かしてる。」
「輝石…」
「アレなんなの?身体強化にしては上がり幅デカすぎるよ。」
「…役割昇格の効果を持つ魔装備だからな。」
「役割昇格?嘘でしょ?ナギとバガは勇者じゃん。勇者が昇格すると何なの?」
「そりゃあ…」
あれ、俺知ってるんだっけ?
「おい!お前ら!魔法が終わるぞ!」
「………終わったわ。何にも残ってない。」
地面が赤く光ってる…熱された鉄みたい。
「…熱っ!!!」
「近づかないで。と言ってもその踏み込んだ右足、もう火傷してるわ。病院に行きなさい。」
「ナギ…帰っていい?後で教えて。」
「あ、ああ…1人で帰れる?」
「うん…大丈夫。おつかれ…」
「なんか…ごめんな…ありがとう、助けてくれて。」
「お礼は今回のこと、トモたんに僕をカッコよく話してね。」
「…ヒカリさん、輝石…もういいかな。」
「ナギ君…どうして?私が使ったらダメかしら。」
「そんなことない。」
「なら…このまま私に輝石をくれないかしら。」
「……ダメだ。」
「どうして?」
ズキッ…
「っ……それは、後で俺が必要とするからだ。現存する最後の輝石。その時まではお前にも渡せない。」
「ナギ君?」
「お前何の話してんだ?」
「言っただろ。必要とする時が必ず来る。誰にでも簡単に貸与えていい物じゃない。外せ。」
「……あなた、誰?」
「…………。」
ズキズキッ…
「うぅ…」
「おい!どうした!」
「……いいわ。返せばいいのよね。」
カチャカチャ…スゥゥゥゥゥ…
「………はは。」
何かスッキリした気分。
もう悪魔が直接語りかけてこないからね。
そう…何か大切な事を思い出したようなスッキリ感。
「おい!しっかりしろ!」
「……えへ?」
「…ナギ君なの?」
「ヒカリさん…悪魔は…?」
「2度と復活出来ないわ。」
「そっか。倒せたんだな。」
「そうね……」
「ヒカリ。」
ギュッ。
「ちょっと頭が痛いかも。」
「私も疲れたわ…」
「っは。なら全員で病院行きだな。」
……………………………。
「そうか。ヒカリ、よくやったな。あとバカも。」
「お頭、俺はついでか?」
「バガ様が居なかったら封印も出来ませんでした。」
「へえ。そうかそうか。よくやったよ。な。これで満足か?」
「ったくよぉ…」
「ナギはどうした?」
「ナギ君は悪魔に取り憑かれたのもあってか激しく疲労しています。なので別の病室で休んでいます。」
「へえ。あいつも不幸なやつだな。ヒカリ、行ってやれ。」
「…え?」
「とぼけんなよ。お前ら…」
「ナナミ様。」
「ちっ。いいから行けよ。」
「…分かりました。モモちゃん。」
「いや、モモは置いてけ。」
「…………。」
「ほら!行けって!」
……ガラガラ。
「お頭?なんでヒカリを強引に」
「そりゃあお前、アイツらお似合いだろ?」
「は?…はぁ!?ヒカリは俺のだ!」
「なーに言ってんだよ!ヒカリがナギを見る時はいっつも女の顔してんだよ!お前とは"ビジネス"だ!」
「なっ!!言いやがったなぁ!?」
「病室ではお静かにお願いします!!」
「「はーい。」」
………………。
ガラガラ…
「ヒカリさん!」
「ナナミ様に言われて来たの。大丈夫そう?」
「うん。皆は?」
「同じく大丈夫よ。」
「ナギ君…」
「なに?」
「私が輝石を持つこと、反対?」
「…分かんない。あまり記憶無いし。」
「え?」
「切ない話なんだけど、俺は今輝石使ってようやく皆と肩並べられるというか。でも、俺が魔力切れで戦えなくなったら、今回みたいに誰かに一旦渡して…っていうのも全然良いとは思う。」
「ナギ君…私に言ったこと、覚えてないの?」
「…へ?何か言ったの?」
「そう…覚えてないのね。さっきは、誰にでも貸与えていい物じゃないって。」
「…?」
ちょっと誰か解説お願い。
なんとなく輝石を回収しようと声をかけたとこまでは覚えてるけど…
「まるで別人だったわ。姿も声もナギ君なのに…」
「ちょっと何言ってるのか分かんないけど。…その手…俺に怯えてるの?」
「………………。」
「ヒカリさん。よく分かんないけどさ。俺は俺だよ。…その…」
すげえ。マジで土壇場で言葉が詰まるんだな…
心臓がバクバクして…言える気がしない!!
「その……ヒカリさんのこと……」
「…………ナギ君?」
「………す、す…すす…」
「……………。」
「…ごめん、察して。」
「う、うん。…分かったわ…」
言えませんでしたああああ!!
勇者だろうが!!勇気見せろや!!
ちきしょうめええ!!!!
「…ふふ。そうよね、ナギ君はナギ君。」
「つ、伝わった?本当に?」
「うん。」
ポスン。
椅子じゃなくてベッドに腰かけた。
柔らかい笑顔で…天使?女神?なんなの?
震えが止まって…優しく手が触れて…
あ、あ、あ、あ、ああ…ああああ!!
顔が近づいてる!来る!!
来るよおおおおおおお!!!
スッ…
「私も。」
ボソッ
「ひゃっ!?」
「うふふ。モモちゃん連れてくるわね。心配してたんだから。」
「え!え?いや、ちょ、え?待って!私もって何!!」
ガラガラ…ピタッ。
「察して?」
ニコッ。
やられた…やられたああああ!!
完全に遊ばれたよ!弄ばれたよ!!
こういうの何て言うんだっけ!?
そう!!
「小悪魔ぁぁぁぁぁ!!!」




