Xデー part3
おい、おい!
死ぬ時って走馬灯の展開がお決まりだろ?
あぁ、本当に見えるんだ…みたいな。
なんで?実際はスローモーションも無し?
現実って非情ですね。
((フレイム・アロー))
あー。
走馬灯見れないのは、アレか。
まだ俺死んでないわ!
目の前に広がる絶景()に命が喰われるのを予感したけど。
瞬間、目の前の化け物が右から左へ受け流されたわ。
頭らしき部位にボウボウ燃えた矢が刺さって…
フレイムアロー?
「ふぅ…間に合ったかしら、君、まだ生きてる?」
はい、カメラさん下から舐めるようにーそうそう…
こんな艶っぽい声の持ち主はどんだけセクシーな女性なのよ?
ルボン二世のヒロインの不三子ちゃん並の期待するわ!
「あー…それは、ダメ。イメージと声優がミスマッチだわ」
「あら?私、何か気に障るようなことしたかしら。」
あー、皆が見てる通り、これ同じクラスのあの子だよね?
いやー、違うじゃん?いや、フラグ的なのは分からなくもないけどさー
年相応な声ってあると思うんだわー
「大丈夫?どこかケガしてる?」
「あ、あーかろうじて大丈夫です無傷です」
「よかったわ、ならあまりぼーっとしてないで逃げてもらえる?」
「へ?」
《ヴ!ヴ!テュンヴテュン!!》
「まだ生きてる…」
「余裕無いわ、早く行って。」
「はい!」
気持ちいいくらいの はい! が出たわ。
体育会系の部活の返しだよマジで。
まぁ逃げるよね、遠目で見学はするつもりだけど。
古本屋で見かけたあの子が今は化け物と戦ってる…
今更だけど、何あれ。コスプレなの?衣装整い過ぎじゃね?
鎧を着た騎士…ではないね、魔法使い系だよね。
どこぞのマジシャンガールの露出控えめ&軽装verって感じ。
フレイムアローとやらも魔法なのか?
《テュテュ…ヴァァァァ!!》
「うるさい子ね、躾がなってないわ、親の顔が見てみたい。我が手に!((フレイム・ソード))」
はいきましたー!次は炎で出来た剣だー!
クソカッコイイ!両手で構えて、かーらーのー?
《ヴギュアアアア!》
はい斬ったー!一部位切り落としたー!
続けて斬ったー!化け物が燃えてるーー!
てかTUEEEEEEEEEE!!!
「大人しくなったわね、なら御褒美よ、死になさい。」
「我が名において命ずる、灰となれ((フレイム・エンド))」
《ヴァァァァァァァァッ!!》
うわーマジかよ、クソカッコイイ。
フレイムエンドとか!
向けた両手から魔法陣!
化け物に魔法陣が重なる!
バカみたいな火柱どーーーーーん!!
あれ近くにいたら巻き添えだよね?
てか自分も燃えね?
あの子まさか自爆した?
「まだ逃げてなかったのね。」
「うわっ!居たの!?…あーはい、なんか倒します感出してたので」
「もうあなた以外皆逃げたわよ、あなたももう帰りなさいね。」
「…訳アリなんで無理っす、それより聞きたいことが…」
「うん?なにかしら?」
「当たり前みたいにしてますけど、さっきの化け物とあなたの存在について」
「……あっ!そうよね、私変な格好よね」
「格好はまだ序の口ですよね、魔法使ってたし!てかあの化け物は!そして何より!」
「何より?」
「あなた俺と同じクラスの人ですよねえ!!」
「……っ!!」
名探偵、ナギ!真実はいつも他人任せ!決まったぜ!
「え!?い、いや何のことか分からないわ!私、大人だもの」
「いや、その綺麗な顔を週に何回ガン見してると思ってんの、間違いないわ」
「そんなはずないわ!あなた教室で見たことなんか…あ。」
「あなた死体君なのね!!」
「ええっ!誰それ!俺!?」
はーい今回の件について。
この後家族を待つ間に彼女と確認作業が行われましたよー。
うん、ほらあのー。
俺単位確保のためだけだから、机に突っ伏してイヤホン大音量って言ったじゃん?
本当に寝てたりするから動かないわけよ。
んで、知らない間にクラス内で死体君と命名されてたそうです。
辛いわー。さっきの化け物に殺されてた方が精神衛生的にマシだわー。
また不登校なりそ。
「あ、自己紹介まだだったわね。」
キタキタキタキタ、待望の、彼女の!名前が!
「私は火狩 萌乃よ、苗字そのままヒカリって呼ばれることが多いわ」
だそうです!っしゃぁぁぁ!名前キターーーー!
ヒカリたん!ヒカリたん!いや、モエノたん!くっそ!何て呼ぼう心の中で!あぁぁ神よ!
あー、そうそう。
化け物と魔法については、また後日教えてもらうことになった。
どうやら世間に知られてはいけない…パターンですね。
てかさ。
俺の望んだ世界、始まるんじゃね?
作中の初日が終わったよ!
すごい!中身スッカスカ!笑