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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その10、結局ギリギリな戦いは燃える
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ビッグマッチ part12





冬とか特に感じるけど。



寝起きで"あ、これすぐ寝れば気持ちよく二度寝出来そう"っていう寝てるのと起きてるとこの間あるじゃん?


今それ。



「……起きるぞ…起きる…」



体がなかなか起きてくんないんだよな。


え?瞼に重りでも付いてんの?ってぐらい目も開けられない。



「……ナギ様?」


「………………誰でもいい…ちょっと…しっかり起きたい…起こしてぇ」



グイッ!



「うおおおおおおおお!」


無理やり上体起こされると流石にビックリ。



「………。」


「………。」



本部の俺の部屋だ。


セイラさんがいる。


「…死んだはずでは…」


「は?俺死んでたの?」


嫌なこと聞いた。


「はい。頭が痛いと…私の回復が効かなくて…あっという間に心臓が…」


「…えっと…あぁ…そうだったな…うん。」


「デュークが、ナギ様は生きていると…それでヒカリ様は」


「知ってる。現場に居たし。」


「え?」


「だよね。俺も。ちょっと待ってね。」



人の手。人の足。


鏡には…俺の顔。


いや、別にイケメンでも何でもない。

中の下…と見栄を張るぐらいは許してくれ。


でも、化け物の顔よりよっぽどいいだろ。


…うん、ジュニアも無事だ。




「よし。じゃあ行かなきゃ。」


「ま、まだ」


「大丈夫。またひとつ、成長した。かなり寝たし…もうあんな酷い頭痛にはならないよ。」


「私も行きます。」


「存在が知られれば人間国宝間違いなしレベルに貴重な最強ヒーラーを病み上がりに付き合わせてたまるか!大丈夫だから…だからその…」



「嫌です。」



「いや、本当に。着替え返して。」



ムチャクチャ可愛い。

不意打ちすぎる。


丁寧語+可愛いは凄まじい破壊力だな。


丁寧語+ドジとかはよく見かけるけど。




本部を出るまで騒がしかった。



死んだと知らされた人間がまだ生きてるかもしれないと伝わり、ついには本人が元気に登場だもんな。



「受付の人の好感度どんだけだよ。」



半泣きでワープを操作してくれた。


今回も特別に、神社ではなく現場スタート。





「……で、これはどういうこと?」




今はイベントホールに。


死体も無い。ちょっと焦げ臭いけど…見た目はどこも問題無い。


だからって誰もいない。



「無人、魔物もいないし…なんだ?処理後なの?処理グレネードしたの?なんなの?」



人の足って歩きやすいな。


でも…みんなは?


…ドクン。



「ん…」


/右へ。


悪魔か?何、ナビゲーター役?


/右へ。


「分かった分かった。」



大きな通り。


遠くに煙が見えた。



「戦場あそこだったか?急ぐか。」





…………………………………。





《ゴルルルルルルルル!》



《フハハハハ!アトムは不死だ!お前達人間が欲する最大の能力!不死だ!》






「ヒカリさん。これ、ヤバくない?」


「ヒデヨシさんの攻撃はアトムを殺すには十分よ。でも…」


ジミー達は少し離れて戦いを見ていた。




ヒデヨシは対面直前から魔力を溜め、姿が見えるとすぐに様々な魔法を放った。


アトムを中心に大きな爆発。


マリオも巻き添えになるがジュエル魔法により咄嗟に防いでいた。


そこからはマリオの魔法とアトムの物理のコンビネーション。


それらを容易く回避し威力の大きい魔法を連発。


しかしアトムの特徴である再生力がヒデヨシの予想を超えていたらしく、同じような流れを繰り返し戦いが長引いていた。




「3分で決着、ダメだったら逃げるって言ってたのにもう20分になるかも。」


「ボルケーノ、ハイドロ、ハリケーン、ライトニング…4種も魔導を扱うなんて…不得意が3つあるなら1分だって持たないはず。」


「ヒカリさん夢中だね…」




「魔物よ。アトムに細工を施したか?」


《今更!アトムは私の1番のコレクション。魔物の頂点に相応しく育てているとも。》


「ふぅ…帰りたい。」





「ねぇ。今帰りたいって」


「見て、今度は両手に…2種ずつよ!」



ヒデヨシは右手に赤と青、左手に緑と黄…4つの魔法弾を用意した。



《それだけ魔法に長けていれば分かるはずだ!アトムは死なない。》


「アトムは、な。」



「我が魔力よ、自然の力を左手に!神の怒りを右手に!」



((((ワールド・ショット))))



ッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!





「うわぁ…」


「ワールド…綺麗。」



4つの魔法弾は重なり、真っ白な玉に。



高速でマリオに向かい、その白い玉は4色の線が走る。



そして直撃することなくマリオの数m前で爆発した。



「当てようとするから避ける、防がれる。なら、意外なタイミングで爆発すればどうなる?」



それはヒカリに話しかけているようで。



「……すごいわ。」


「マリオはどうなったの?」




《ゴルルル…》



《………少しは…っ…やるな。》





「ねえマリオなんで死なないの?あれも不死身?」


「そんなことないわ。強がってるだけよ。」




「残った体は7割か?その姿では魔物としても恥を覚えるだろう。」


《……生意気なっ。》


《ゴルルッ!》


ブオオオン!



「あれの言葉で言えば、遅い。」



((ジュエル…


「無駄だ。ただの攻撃ではない。属性の反発が引き起こすダメージはその体内にも及ぶ。」


《魔力が……体がぁ…」


「人の姿もまた…醜いな。魔物よ。」



「ガああああああああ!!」


人間の姿に戻ってしまったマリオ。


人間としての痛覚は違うのだろうか、突然痛みに苦しみ叫ぶ。




「魔法を極めし、魔壊師の力。」


「まっ…か…」


「今、見せるとしよう。」



((((ボルケーノ・ハイドロ・エンド))))





「これは…もう僕の理解にはちょっと…」


「なんなの…!!」




「2つの属性が合わさり生まれる新たな力、その身で味わえ。」




「っ…アトム!私を守れええっ!」


《ゴルルルアッ!》


マリオを庇うように立ち塞がった。



「無駄だ。水のように流れ、その全てを燃やす。」



アトムに激流がぶつかり、そのまま後ろのマリオをも囲う。


そしてその激流が、瞬く間に炎に変わった。




コツ…コツ…コツ…


ヒデヨシの足音がやけに響いた。



「…私の更なる高みへの糧となれ。」




「あ、あれれ?ヒデヨシさんこっち来るよ?」


「アトムはまだ生きてるわ。」



「私は帰る。あの魔物は死んだ。」


「アトムがまだだよ?」


「あれは無理だ。少なくとも私には。」


「えええええええ!?どうするの!あんなおっきいのにすぐ回復する魔物ほっといたら…」


「私と共に挑むのは…足りませんか?」


「…それは考えていなかった。」


「え?」


「しかし、私は魔力切れだ。どちらにせよ帰らせてもらう。」


「え!今ので魔力切れ!?すごい魔法だったけど…コスパ悪いんだね…」


「頼みは聞いた。2度とナナミには関わらない。」


ピシュン!



「無詠唱でムーヴ・ウルトラしたよ!?帰る分残したとしても結構余裕あるよね!?」


「…ジミー…私達も逃げないと。勝てない。」



2人でこっそりアトムの様子を見た。



《ゴルル…ッチャ。ッチャ。》



「あれ、マリオ食べてる?ご主人様だよね?」


「でもこれでマリオは完全に死んだわね。」




「みんな居なくなったと思ったら今度はトカゲ人間か!!…って何食ってんのそれ。」


《ゴルルルルルラアッ!》




「待って!ヒカリさん!あれナギじゃない!?」


「え!?でも…っ!!」





多分きっと。


ここが現場だ。



…水魔法かな?物が流されたようなのと。


炎魔法。寝具屋さんが1軒終わった。



「あんだけ燃えたらさすがにどうしようもないな。」



水はナナミさん、炎はヒカリさんか。



「みんなやっぱり居るんだろ!?どこだよ!」


見えてないのかな…悪魔にハメられた?

いや…


「ナギ君!!」



「ん?うおおお!ヒカリさん!」



隠れてたのかな?建物の影から走って出てきた。



「1人?みんなは?」


「今いるのは私とジミーだけ。ナナミさんは負傷してギルドにもどっ」



ブオオオオオンッ!



「「危ない!」」



一緒に飛び退いた。


「それで?あれで終わり?魔王とかは?」


「魔王はスイもチャデスも逃げたの。マリオがジュエルリリースを使って魔物を大量に…あれはアトム。記録上最強って言ってたわ。」


「誰が?」


「ヒデヨシ様。」


「誰それ。」


《ゴルルルルルルルルルルルッ!》



鳴き声に振り向いたら…



「あはは…それおもちゃじゃなくて本物なんだよねー…。」


「ナギ君は左!私は右!」



《ゴルルッ!》


ヒョイッ!ヒョイッ!




アトム…とかいうトカゲ人間は両手に1台ずつ車を持って投げてきた。


爪も鋭そうだな…車の鉄板余裕で貫通してたし。



「それで!?あれ倒すのに苦労してる理由は!」


「再生力よ!殆ど無効に近い速さで回復するの!」



再生力か…ボスが回復使うのってズルいよな。


いや…主人公達は場合によっちゃあ4人全員回復連打とかあるしあんま強く言えないけど。


でも回復量がな!



回復を嫌って攻略するなら、どデカイ一撃でワンパン…とはいえダメージカンストするほどの火力が無いとな。


あとは行動制限…ってもターンバトルじゃないし麻痺らせても自然回復するんだろうし…



「毒で回復と相殺させる。これがベスト。」


「毒?」



《ゴルルルルルルルルルルァァッ!》


「うおおおおおおいっ!!」



電柱引っこ抜いて武器にするとか初めて見たわ!!



こんなもん必ず痛恨の一撃じゃねえか!!




タッタッタッ…




ヒカリさんに連れられて走った。




「ナギ!本当にナギ!」


「よおジミー。こっくりありがとな。」


「本物だー!」


「再会を喜ぶのはもうおしまい。今はアトムをどうするか…考えなきゃ。」


「倒さないで逃げるとか無くない?」


「でも倒せる人がいないんだ。」


「いや、ジミーはまあこれからとして、俺とヒカリさんなら」


「私の魔力もそこまで余裕が無いの。」


「虹色の炎とかは」


「出せないわ。」


「マジかっ!!じゃあ新品俺だけ!?」



………。



「そうよ、毒…毒って言ってたけど。」


「再生力と同等の毒ダメージ入れば相殺出来るだろ?」


「毒は持ってないよ…毒使う魔物ってそんないないし。」


「毒にする魔法…ダメね…」


「じゃあ、あれしかないな。」


「ん?」



「俺がソロで攻略する。」



「無茶だよ。」

「無茶ね。」



「そこシンクロする?なんていうか…今は説明しないけど、色々とあったんだよ。強化イベント的な。やらせて?」


「正直、さっきのナギの方が見た目は強そうだったよ?」


「でしょうよ!いやマジで。ヤバかったら皆で逃げよう。」


「分かったわ。」


「ヒカリさんは俺が追い詰められたら魔法で気を引いてよ。それを合図に全員撤退ね。」


「「うん!」」






《ゴルルルル……》


「律儀に待ってるもんだなおい…お待たせ。」



出来れば電柱は置いてほしかった。



「ふぅ…あく…もう1人のボク。なんか武器とか無いの?」


ダークナイトは消えてた。


手持ちは輝石のみ。



/望む武器を。




「望むったって…それもお前…」



ブオオオオン!



「あっぶねえええええええ!屈まなきゃしんっ!」


ブオオオオオオン!


「強制スクワットやめてえええええ!」



/望む武器を。



「んなもん魔法剣ありゃ文句ねえよおお!ひいいいいいっ!」


ブオオオオオオン!




/右手を。



「あ?…あ。」



すごーい。魔法形成されてく感じ!


魔法使いになったのか俺は!


シュワワワワワ…って剣の形に粒子が集まって…



「出来た…魔法剣だ…」


本当に何でもありか?


「これ、なんかデメリットあるだろ。言えよ。」


/本来の半分。


「性能が?なるほどね。」


多分悪魔が気を使った仕様だと思う。


完全なコピーも出来たけど、それだと化け物に近づくから半分の性能にすることでってことね。



「よし。武器もある。戦うか!えーっと、アトム!」



《ゴルルルルルル!》


バキキキッ…バキッ!



「何してんのお前。」



両手で電柱を振り回して遊んでたんだろうね。


俺に当たらないもんだから、イライラしてたのかな。




《ゴルルルッ!》



「いやぁ…頭良いかも。トカゲにしては。」



2/3くらいの長さに電柱を折って扱いやすくしましたって…いうか電柱折れるとかどんだけ怪力?




「復活して最初の相手が記録上最強の魔物ってなかなかじゃん!ハーフ魔法剣!」



/2人で1つに。



「行くぞっ!!」






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