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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その10、結局ギリギリな戦いは燃える
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ビッグマッチ part6





キツい。かなりキツい。



ジミーが走っていくのを見送った後、ずーっと影に隠れてる。


良かったよ路地裏で。


稀に飲食店の人がゴミ捨てに来るぐらいだし、ネズミや"あにゃほにゃ"を意識しなければ問題ない。


あの…ね、大小様々なサイズでね…カサカサとね。



死ねええええええっ!



ドゴッ!!



あは、あははははは。


軽くパンチするだけで地面砕けるんすよ、すいません。


あ、猫!猫様あ!癒しだ…なんて癒シャァッじゃねえよ警戒しないでいいよ人は見かけによらないんだよマジで!行かにゃいでえええええ!




「ここ!」


ジミーの声だ。




ジミー、ナナミさん、ヒカリさん、…後はジミーの仲間達か。


結構大勢で迎えに来たんだな。


まさか殺しに来た?




ドス。ドス。



「ジミー…本気か!これさっきの…」


「大丈夫。だよね、ナギ。」


頷く!うんうん!


「本当に…ナギ君なの?」


うんうん!


「人間の言葉を理解しているのは悪魔も同じだ。なりすましも有り得るだろ、このまま連れ帰るのはバカだ。」


ナナミさんごもっとも。


ジミー、頼む…


「ナナミさん。」


「なんだジミー。」


「ナギに本部の行き方、聞いたよ。」


「んあ?」


「本部ってなんだ?」


「あなた達は表の警戒を。まだ魔物は来るかもしれないわ。」


「「分かりましたっ!」」



「っは!」


「悪魔には分からないことを話せば信じれるはずってナギが。」


ジミーがメモ帳を取り出してナナミに差し出す。


「…行き方、…後は俺には分からねえな。タクミじゃねえと…今のとこ30%くらいだな、信用は。」


「そこでデュークさんらしいんだよね…誰?」


「中央エリアのギルドで雑用係やってるジジイだよ。」


「とっても強い頼れる紳士よ。」


「多分両方正解なんだろうね。」


「デュークか…呼んでくるか?」


「いいえ。ここは現代の魔法に頼るべきよ。」



ヒカリさんがスマホを取り出して…構え方からして



「ああ!ビデオ通話!確かに魔法かも。」


「っは。電話なんてめんどくせえ。」



「もしもし。これはヒカリ様。」


「デュークさん。こちらジミーさん、東のエリアの勇者よ。それじゃあ話を。」


「どうも。あー…これ、見える?」


ジミーがスマホを俺に向ける。


「なんと…!!これが…あのナギ様と?」


「みたいなんだ。」


「それで、デューク呼んで何が伝えたいんだ。」


「えーっと…」


ジミーが読み上げる内容は、顔が赤くなって燃え溶けそうなほど恥ずかしい。


デュークさんに言われて心に残ったさり気ない言葉に至るまでの一部始終だ。



「…それで、ヒカリさんの服を脱がせるか迷ってた時に、大切な人なんだから恥ずかしがる必要はないって言ってくれたのが助かってるって。」


「なるほど…確かに。そちらのヒカリ様を取り戻した時にそんな言葉をかけました。」


「それからヒカリさん。俺達はAの世界からやって来た。2人だけ。そうだろ。あ、そうだろ?だって。」


「うん。私とナギ君だけよ。」


「えーっと…鏡に映ると悪魔に完全に乗っ取られるんだって。これでおしまい。長くて大変だったんだから。」



こっくりシステムは確かに意思疎通に役立ったけど、正しく言葉を起こすのは大変だったよな。

ありがとうジミー。



「っは。身内しか知らないことを話すやり方か。悪魔のやり口として有り得るかもしれないぞ?」


嘘だろナナミさん!


とはいえ一番悪魔と戦ってきたのはナナミさんなんだよな。



「なら、体で示すのはどう?」


「ヒカリ、近寄るな。」


「いいの。もしダメなら、それでも。」



ヒカリさんの優しい目。


ゆっくりかと思いきや普通に歩いてきてデカい体に抱きついてきた。




「あなたが悪魔なら私を殺すがいい。私の愛は死で絶たれるほど脆くないわ。」




あー、なんか嬉しいんだけど…うん。恥ずい。



下手なアクションは失敗したら大変だ。

なんか反応…良い反応…


「なんで僕を見てるの?…またこっくる?」


うん!


「もう…ナギって面倒事でも進んでこなすタイプだよね。」


そりゃあRPGゲームやりすぎておつかいイベントが苦じゃなくなってるしな。



ジミーがこっくりシステムを展開し、路地裏で悪魔を交えた4人?のこっくりさんが始まった。


「みんなでコイン押さえなくていいの?」


「だって自分で伝えるための物だもん。僕らは口で話せばいい。ナギ。」


「ひ、か、り、さ、ん、あ、り、が、と、う。」


「うふふ。」


「本当に悪魔じゃねえんだな?」


「あ、く、ま、な、ら、い、ま、ご、ろ、た、た、か、つ、て、る。」


「…だな。あのクソ野郎なら俺を見れば飛びつくはずだ。」



そこから、長い夢について説明した。


きっと少しズレてても現実にも起きてるはず。



「えーっと、確かに狸と狐のお菓子イベントやってるよ。今日は開票なんだね。」


「そこの3階、映写室にマリオ達がいるんだな?」


「それから縞模様の魔物も…よね。」



俺…もう1度見てる。

そっちでは魔王スイもチャデスも殺して、スイの死体をナナミさんに届けようと…

でもこっちの部分は今の皆とリンクしてる。

ジミーは俺を見たから追ってきてくれたんだし。


でも、魔王は殺してないはず。

悪魔の見せた幻。

あくまで予想だけど。

じゃなきゃ魔王スイの死体を失う訳ない。



「どうする?…僕達は向かっても問題ないけど、ナギ置いてくの?」


「嫌よ。」


「ならどうすんだ。こんな化け物じゃ連れ回せねえぞ?」


「誰かお金持ってない?」


「っは。お前このタイミングで借金頼もうってか。」


「ううん。そこの雑貨屋で自撮り棒買いたいんだ。」



…………。



海賊、魔法使い、軽装の戦士数人、私服の男性、化け物。


不思議な団体。


私服の男性が先頭を自撮り棒で団体を撮影しながら歩く。



一般人には奇妙なコスプレ軍団がなんかやってる…程度になるのだろうか。


化け物のクオリティ尋常じゃないけど!?



「そのイベントホールまで結構ある?僕の腕ヤバいかも。」


「疲れたら交代するわ。」


「っは。」



魔物の存在が公になれば色々と楽なんだけどな。

そしたらいよいよ異世界化が始まるけど。




「おい。死体だ。気をつけて歩け。」



地面に倒れてる死体の数が多い。


夢のあれほどではないけど。


あとこっちのは…


「みーんな、穴が空いてるね。貫通?なんて表現だろ。」


「魔法弾ね。一般人相手に投げて楽しんでたのよ。」



キーーーーーーン……



魔物だ。



「お前らああ!構えろおおおおっ!」


「「おおおおおお!」」



「僕も!」


「いつでもいいわ。」



《あれれー?なんかまだ生きてる人間がいたー!ノネムー!オソロー!こっちだよー!》


スッ。


《ヴァッチリザアッ!》


《ヴォダッゴチ!》



青と黒、赤と白。


「ピエロっぽーい。」


《スイのお友達ー!お前達殺すゲームで競ってるのー!スイに殺されてねー!》



「んなもん誰が殺されてやるかよっ!」


ナナミさん…


「お前、教育し直してやる。」


「行くよ…」



俺は……皆のフォローをしつつ。


魔王チャデスへの対応、だな。


絶対近くにいるはず。




…………………………………………………。




「私もまだ足りないな…魔物の罠に引っかかるとは。」



タクミはまだ閉じ込められていた。



この部屋にあるのは死体と蝋燭のみ。



あとは全面…壁。



ドアが無い、出口になるものが無い。



「壁も壊れないのは魔法壁か。」


壁は雷魔法で焦げているが破壊出来ない。


「なら、物理だな。」



ガッ!ガッ!ガッ!


壁に雷魔法で印をつける。


それに向かって正確に、何度も打撃を与えていく。



ガッ!ガッ!…ゴッ!


「フン。まだ終わっていないようだな。」




……………………………………。




《マリオ。スイ達が戦闘になったんジャネ?》


「んぐ。んぐ。…問題ありません。勝ちます。」


《でも…なんか化け物が味方してるんジャネ?》


「化け物ですか?」


魔王チャデスとマリオはフライドチキンを売りにした飲食店にいた。

魔王チャデスは生肉を、マリオはチキンを食べている。


もちろん、人間はここにはもういない。



魔王チャデスは自分の指を見つめている。

どうやら監視能力もあるようだった。


《かなり大きいんジャネ?そこらの魔物より強いんジャネ?》


「ならば…私達も向かいましょう。もう雷は落ちませんからねえ。」



《……………ジャネ。》











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