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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その9、2周目は強くてコンティニュー
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暴走 part3




Prrrr!

「ヒカリか。勇者が洗脳?魔王チャデスの捜索はどうした。…フン。分かった。それを片付けたら探せ。」


ピッ。


タクミはこれで3つの幼稚園を見た。

魔王チャデスはいないし、やはり子供の数が少なく感じる。


「………水。」


しかし、この幼稚園だけ床が濡れている。


部屋にコップは置いていない。

何か引っかかるようで。


「次だ。」



…………………………………。




俺の攻撃を止めたタロウ。


俺に向かって口を人外レベルで開いた。


「え?うわ、うわ、うわああああああああ!!」



開いた口から謎の白い物体!


思わずダークナイトを手放して離れた。



タロウの口から1mくらい、謎の物体が飛び出てる。


白くて、棒状。


綿棒みたいな。


綿棒の全体が筋肉バージョンみたいな。


何言ってんの俺。



「あぐ。」


タロウが元に戻った。



ドッ!ドカッ!ドカッ!ドン!ドン!


タロウが当たり前にダークナイトを右手に握ったから即座に蹴り連打してダークナイトを取り戻す。



「俺の剣だふざけんなこのド変態!ぶっ殺すぞ!」


勢いで殺すって言っちゃったと思って周り見たら、タロウの部下達が"だろ?"って顔してた。



「まずタロウはこんな気持ち悪いヤツじゃない…はず…多分…きっと。少なくとも人間だ、体からあんなに変なの出さないし、上半身あんなに捻れないし、そもそもこんなに肌白かった?」


「言われてみると肌はもう少し、いや。もっと」


「だよな!だよな!じゃあタロウは何か変なんだ。フンフン言わないしな!」


((ボルケーノ・ピラー))


キュィーーーーーーーーー…


「ちょ…援護どころか決めにきた…」


タロウに近づいてた人間が全員離れる。


すぐに対象の足元から燃え盛る炎の柱が。



ドオオオオオオオオオオオオオオオン!!



「とりあえず味方を巻き込みがちだよね。」



………タロウは、



「おい!無傷だぞ!」


「見りゃ分かる!ヒカリさんが失敗するわけない!」



勇者が無効化するような直接魔法でもない。


ならこの特殊な状態が魔法防御を高めてる?



「んあ。」



「またかよ!…このやろっ!」


ズイッと出てきた謎の白い物体こと筋肉綿棒を横からズバッと斬った。



「んあああああああああああああ!!」



「すげえ効いてる!」


出血はない。筋肉綿棒は地面に落ちると白い液体に溶けてしまった。



「………白い肌、白い筋肉綿棒はともかく、それが溶けて白い液体に?」


あれ、これって関係あるんジャネ?



「ヒカリさん!拘束する方向で!」


「拘束だと?ここで殺すべきだ!」


「待て!マジで!タロウは魔王チャデスに何かされてこんな気持ち悪いヤツになってる!完全拘束に持ち込めれば問題ないだろ!そこの魔術師は氷魔法でタロウ固めてくれ!」


やっぱりタロウを殺さず元に戻したい派がいたみたいで。


俺の指示通り氷魔法が連続でタロウを凍らせるように重ねられていく。


「ヒカリさん!」


「聞こえてたわ。完全拘束なら、魔法も…というところだけど、タロウさんは勇者だし、さっきのも魔法とは違うわ。だから私も体を拘束するわね。」


((オール・ショック))


……ボォッ…バチッ…ビュゥゥ…ビシャッ!


「すげえ…まとめてドンするの?」


「……んっ!!」


赤、青、黄、緑。


4色の輪が氷をすり抜けタロウをキツく縛る。


「これで大丈夫。…ちょっと疲れたわ。」


「多色使うとコスパ悪いって感じ?」


「そうね。炎以外はあまり得意じゃないから…」


両手をこっちに伸ばすヒカリさん。


「ん?なに?どゆこと?」


「抱っこしてくれる?」


「あはは。すいませんね、この子…人前とか気にせずこういうこと言うんですよ。さ、ほら行くぞ次だ次!」


「ダメ。動けないわ。」


タロウの部下達がちょっとポカーンとしてる。


「分かった。分かったから!お前達はタロウをギルドに保管しといてくれ。何かあったらとりあえず凍らせろ。近寄らなければ多分脅威じゃない。」


ポカーンな皆の視線が気になりつつ、ヒカリさんをお姫様抱っこした。


「…っと。」


「うふふ。このまま次の場所までお願いね。」


「待った。これから魔王チャデス探すんだよ?このまま見つかるまではさすがに無理だよ?」


「そんなこと言わない。行きましょ?」


顔が近い。首にかけられた手。

なんか分からないけど良い匂い。


鼻の下なんか伸ばさないもん!などと気持ちを固めてその場を後にした。



………。




「鼻息荒いわ。」


「………………………。」


「うふふ。」


完全に楽しまれてる。


この現場をタクミさんに見られたらまあ怒られるよね。うん。



……………………………………………。




「はーいそれじゃあお歌の時間だよー!皆集まってー!」


「「「はーい!」」」


タクミが次に寄った幼稚園はまだ被害がなかった。



「…ここで張り込むか。」


居場所を送信。



「せーの、かーえーるー…」



歌が聞こえる。


周りの警戒を強くする。




………ペタペタペタペタ…



「………………………………。」




《ここも幼稚園なんジャネ?殺すん》

((サンダー・ネイル))


バッシャアアアアアアアアアン!!!



歌が止まる。


「魔王チャデス、死んでもらう。」


雷で深く抉った体を引きずりその場を足早に去った。



「おねえさん!きょうはあめなのー?」


「おかしいねー。今日は予報だと一日中晴れてる予報なのに。」




人のいない場所を探して、近くの空き家に入った。


魔王チャデスは静かにしている。



ドッ…ドカアン!


軽く投げて強く蹴り飛ばす。


見た目鮮やかな回し蹴りは威力も凄まじいものだった。



「子供を。無実の人間を。」


《……そんなもの関係ないんジャネ?》


「………。」


《人間は死ぬ。魔物が、魔王が。必ずお前達を滅ぼすんジャネ?善悪なんて意味無いんジャネ?》


「怯えは消えたか。」


逃げ出す前はあれだけタクミを怖がっていたチャデス。

今は獲物を見るような目つきと態度で余裕がある。



《お前達人間は、相手を間違えた。あの方が復活したらそれまでの努力も戦いも全て無駄になるんジャネ?だったら今すぐ降伏して殺されるんジャネ?》



バチチチチ…



「それは無いな。今は1人、異端な存在が我々の味方をしている。負ける気がしない。」


((サンダー・



《ヴァッスリャキニ!》


ニュンッ!


突然現れた黒い渦。


魔王チャデスは渦から伸びてきた青と黒の縞模様の腕に引き込まれ渦に消えた。



「報告通りか。…手がかりを無くしたな。」




……………………………………。




Prrrrrrrrrrr!


「あー、ヒカリさん。俺電話出なきゃ。降ろすよ?」


「ダメよ。私が取ってあげる。どっちのポケット?」


「いや、自分で出るよ。ほら…」


「右?取ってあげるから。」


ガサゴソ…


「ちょ…入り方エグい…」


あまり深く手を突っ込まれるとこれは18禁になりかねないやつだ。


「ごめん。降ろす。」


「…もう。」


「もしもし。………………………………。」




思考停止。



魔王スイの時と同じように追い詰めた魔王チャデスが黒い渦に…


「これは…面倒だなぁ…かなり。知ってる相手ならまだしも。」


「どうしたの?」


「魔王チャデスもスイと同じく消えた。青と黒の縞模様だってさ。」


「困ったわね…」


「相手の出方を待つ形になるのはまあ不利だよ。うん。しかもタロウを治すためには魔王チャデスとまた話さないといけないだろうし。」


シードの治し方、多分嘘だ。


存在しないか、別の方法でなければ。



「魔王チャデスは逃走成功、タロウはド変態に成り下がって拘束。うーんと。」


「…出来ること、無くなっちゃったわね。」


「なら一旦本部に戻ろう。」


「そうね。じゃあ抱っこお願い。」


「……あ、はい。」



……………………………………………。




《ヴァッチンニヤリフ。》


「分かっていますよ。ノネム。良く出来た私の子。」


《もうー!早く人間殺したーい!》


「スイ様、もう少し強くならないと。特にあの雷を操る男。相当な力ですからねぇ。」


《…お前、誰なんジャネ?》


「おやおや。魔王チャデス様。初めまして。私はマリオ。人間に成りすましていますが本来は魔物。」


《人間のフリしてるんジャネ?気持ち悪い。》


「ええ。気持ち悪いです。こんな汚い姿でもしないと、隠れ家や食事を用意するのが大変なんですよ?」


《適当に殺せばいいんジャネ?》


「騒ぎを起こせば勇者達が探しに来ますから。」



マリオは指折り数える。


自分、ノネム、魔王スイ、魔王チャデス。


「良いでしょう。戦力としては足りるはず。チャデス様。ご協力をお願いします。人間を滅ぼすために。」


《…人間が死ぬなら喜んで手伝うんジャネ?》



「ならば、早速始めましょうかねぇ。》


ブクブク…ブクブク…



《ゴツイんジャネ…?》



《魔力を貯めておいてください。明日、一気に攻めますよ。》



ノネムが空中に文字を描く。


それをマリオが操り魔法陣に。



((Hastpgkmd6gpkmw6sk…))


《イーヴィルランゲージなんジャネ?魔王でもないのに。》


((Kh5dm65gad3us5tnn5j55…))



魔法陣からゆっくりと…ゆっくりと。


赤と白の縞模様をした魔物が現れた。



《そっくりなんジャネ!?》


《ノネムと一緒だー!オソローー!》


《ふむ、良いですね。あなたの名はオソロ。ノネムと揃って1組の優秀な魔物。》


《ヴォリヤッセネゲベラッ!》


《さっきからシマシマの魔物はめちゃくちゃな言葉なんジャネ?》


《知ろうとすれば言葉は伝わりますとも。その分この子達は特別な力を持っています。》


《ヴァリヤサギー。》

《ヴォネティヌー。》


ノネムとオソロ。

青と黒。赤と白。



…ボロボロボロ…。



《な、なんでこんなとこに子供の死体があるんジャネ?》


魔王チャデスが椅子と思って寄りかかったのは子供の死体の山だった。


《ノネムのご飯だもーん。チャデスが殺してたから持ってきたー!》



ノネムとオソロが食事を始める。



《…なんか、とんでもない奴らがいるんジャネ?》



《アッハッハッハッハッ!》


マリオの笑い声。



日付が変わった。





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