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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その9、2周目は強くてコンティニュー
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後悔 part3




「何なんだよこいつ!!」


ヒュッ!ヒュッ!


《もー!攻撃当たらなーい!お前足速ーい!》



「ナギに言われて川の近くまで来たけど何でだ!水の魔法使うぞ!?有利になっちゃうじゃねえか!」



《人間!次は当てるぞー!》


(())ウォーター・ショット(())



「…右、右、右、左…」



《ふっふーん。》


(())ウォーター・キャノン(())


ドッ…



エルを狙ったと思われた水の魔法弾は全て川へ着弾。



「ば…か…や…ろ…う…!!でけえよ!」


続けて詠唱された魔法により川の水が巻き上げられ巨大な球となった。


《スイの勝ちー!》



「暗躍奥義…」


バチチ…ドッパアアアアアアアン!!



「待たせたな!エル!」


「ナギ…!おせぇぇ!流石にヤバかった!」


《人間増えたー!仲間かー?》


うわ…久しぶりー!って駆け寄りたくなるぐらい既視感。

無邪気な子供だよな…



「魔王スイ。お前を討伐する。」


バチチ…



「ナギ…この人…すげえ。」


「当たり前だ。俺の師匠だからな。」


「師匠ではない。」



《スイの邪魔するなー!みんな死んじゃえー!》


(())ウォーター・アニマル(())


ニュニュニュニュ…



川の水を利用して消費した魔力以上の質に底上げ…

詠唱通り、水で出来た虎と象が現れた…のだけど、



「サイズ感は本物に寄せようぜ…?」


虎は普通より大きすぎ、逆に象は小さすぎ。


どっちもスイが乗ってそう。



《殺しちゃえー!》


「前と違う!戦法が少し違う!」


「関係ない。」



タクミさんがボソッと呟くと消えた。



「おい!消えたぞ!」


「虎と象だな。」


ドパアアアアン!ドパァァァァ!



ほーら。



両方勢いよく弾けた。



(())ウォーター・エンド(())


ジュルルル…



「うわ…エル!避けるぞ!」


「え?」


次の魔王スイの攻撃はまたしても川を利用…だけど


「川の水全部銃弾にでもする気か!!?」



浮かび上がった水が小さく分裂して鋭くなって形状を整えていく。



でも先にタクミさんがスイを攻撃するはず。



……あれ?



ニュニュ…ニュプニュプ!


《スイのペットは死ななーい!》



再形成された虎が真っ先に俺達に突っ込んできた。


「ナギ!」


「俺が処理する!回避に専念してくれ!」



《ふんふふーん。》

「終わりだ。」


《うわっ!》



「ダークスラッシュ!!」


飛びかかる虎と交差する形で斬った。



「次は象か!」


鳴かないからちょっと迫力が無い。



…ヒュッ!ドドドドドドドドドドドドドド!!



「うおおおおおおおお!!!」


背後が騒がしい。


「ダークスラッシュ!!」


象を斬った…おっ


ブシュ!


「え?」


ブシュシュシュシュシュシュシュ!



水の銃弾が体に突き刺さる。


まだ数えられる程なのにダメージが大きい。


マジックアーマーどうしたマジで。


こんな事考えてる間にも体に無限の銃弾が…




バチュン!!


「…偽物か。いや、逃げられた?どういう…」


タクミはナギ達の様子を見てすぐに電話をかけた。



…………………………………………。




「………………もう飲めない…」



延々とオレンジジュース飲まされる夢を見た。


「ふぁ…ん?」


パァァン!!


「い"っ………」


「何考えてるの!?私を置いていってボロボロになって帰ってくるなんて!」


「…ヒカリさん?」


目が…怖いよ?


「どうして置いていったの?…私の知らないところでナギ君に死なれたりしたら…」


今度は一気にテンションが下がって泣きそうに。


「ごめん…魔王スイとヒカリさんは相性が悪いだろうってのと…エルが既に戦闘中だったからすぐに向かったんだよ…」


喋りながら右頬がジンジンする。


「…もう、1人にしないで。」


「…それは今回は本当に謝ることしか出来ないな、ごめん。」


ガチャ。


「お目覚めですか。」


「デュークさん。」


「……その頬…そのような」


「これは触れないで、うん。」


「オールマスター様が単独で魔王を捜索中です。」


「エルは?」


「エル様は別室で休ませています。」


「傷が治ってる…セイラさんか。」


「はい。」


「会える?お礼と…謝らなきゃ。」


「後で聞いておきます。少し休まれては?」


「そうもいかないよ。」


「ダメよ。」


「うっ…」


「では。」


何かを察してデュークさんが退散した。



「……何だろうな…そんなつもりなかったんだけど、油断してる。」


「…油断?」


「俺とヒカリさんは、ゲームで言えば能力やステータスを引き継いでまた最初から…2周目を攻略し始めたんだよ。だから、変な話…悪魔戦までなら本気にならなくても割と勝てると思ってた。」


「それで魔王スイにやられたのね?」


「俺が油断してたのもあるけど、魔王スイも少し違う。何だろう…ちょっと賢い?難易度が上がってる気がしたんだよね。同じフィールドでも攻撃のアプローチが違う。」


一周目のスイは単発攻撃がメインで、魔王特有の詠唱で針みたいな鋭い雨を降らせて全体攻撃とかだった。


なのに今回は全体攻撃の方が多かったな…川の利用方法も竜巻みたいなのじゃなくて銃弾に加工して一斉射撃だったし。



「………。」


「ナギ君?」


「え?うん。俺達の存在がもしかしたらこの世界に影響を与えてるのかもな。序盤から全てのエリアに立ち寄ったし、新しい魔王にも会ったし。」


「ボレニアね…」


「魔王ラミラミvsタクミさんの事があるし、ボレニアと戦うことになったらまたヒカリさんには遠慮してもらいたいな…いや、うん…分かるよね?俺の気持ち。」


「ええ。…でも、1人で行かないで。」


「はーい。」



コンコン…ガチャ。


「お食事をお持ちしました。」



「ナギ君?」


「ごめん、とりあえずエネルギー補給。」


会話しつつ注文してた。



「これ食べたら、一緒に行こう。」


「分かったわ。」



有名なチェーン店のそれとは違ってふっくら大きいハンバーガー。


…の横に山盛りにされたポテトを1本摘んでヒカリさんの口元に持っていくと、パクッと食べてくれた。


「あー可愛い。」


「…声に出てるわ。」


「え?問題でも?」


少し照れてる。可愛い。


持ち上げたハンバーガーの重量感にワクワク。

チーズ、トマト、ベーコン、レタス…そして極厚ハンバーグ…

見え隠れするケチャップ…もう観察してらんない!



「うんま。」



…………………………………………。





《あの人間強いなー。次はスイ本気で戦うぞー。》


「?」


公園のベンチに座り、ピチャピチャと用意した小型のプールに足を入れて涼む魔王に、子供が1人興味を持って近寄る。


「こんにちは!」


《ん?人間、スイに何の用?》


「なにしてるの?」


《休んでる…》


「いっしょにあそぼ!」


スイは遠くからこちらに青ざめた表情で駆け寄ってくる人間が見えた。


《遊ぶ…?》


「こら!何してるの!!…離れなさい!」


「ママ!」


母親が子供を強く引っ張る。


「こんな…化け物…!」


そして慌てて逃げようとする。



《スイ、化け物?》


不思議そうに首を傾げる。



走って逃げる親子を眺め…その背中に手を向ける。



《スイは…魔王だよー。》




…………………………………。





出発前にエルの様子を見た。


今はスヤスヤ眠ってる。


運ばれてきた時は俺と同じく全身に酷い"ダメージ"があったそうだ。



「ふぅ…無事でよかった。」



大丈夫だろうって油断してまた失ったら。


今度は自分を許せなくなる。



次こそはと覚悟した。



「行ってくるぜ。」



……………………………………。




「んで、俺のとこに来たってわけか。」


「どういう意味か…バガ様、分かってくれますよね。」


「っは。その喋り方やめろ。」


「ねぇ…この人は?」


「最強の勇者だ、それから…ヒカリは俺の嫁だ。」


「………は?」


「気にしないで。勝手に言ってるだけなの。」


「すぐに俺を頼るってことはそうだろ?」


「ヤバい。チキンおじさんの次にこれはもうキャラ渋滞する未来が見える。」


「んな事よりお前…本当に勇者か?」


「え?」


「どうせここには敵はいねぇ。」


((ストロング・フィスト))



「俺と戦え。」



「バガ様!」


「舐めんなよ!俺だって…戦える!」


ナギが剣を構えた。


「っは!行くぞおおお!」



((ビッグ・インパクト))



「ガードおおおおお!」



ガッ…ボキン!!



「え?」



ズドオオオオオオオオン!!





「………………弱すぎねえか?」



バガの最初の一撃でナギの剣は折れ、そのまま気絶した。








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