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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その9、2周目は強くてコンティニュー
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答えを知る者 part4




「魔王……?」



《魔王に会えるなんて…人間からしたらツイてないスね。》



「な、何やってる!魔王と会話なんてありえねえだろ!ギルド行って人呼んで来い!」



《そこの人間。そんなゲロ弱でなーに他人に命令してんスか。ん。》


ボワッ。



「ああああ!!ああああ!!くそおおおお!」



トモヤの腕が1本、焼かれ…焦げて…溶けて…



ボチョッ…ボトッ。



《人間の体ってやらわかいっスね。》



「やわらかい…だよ。」


《ん?やらわかい。…じゃなくて、や"わ"らかい?》


「そうだよ。」


《人間語って難しいっスね。わちゃくちゃ表現が多くて。》


「めちゃくちゃ…かな?」


《イジワルしてっスか?》


「ううん。本当のことだよ。」



ガタッ…



《あー…人間。あっちのやつ、殺していいっスか?戦うのとか面倒なんスよ。》



「…いいよとは言えないよ。」


《…それでいいっス。俺は敵として、殺してくるっス。》


ジュッ…ジュッ…



魔王ボレニアが歩いた地面は黒く焦げた跡が残った。



「魔王…不思議…。」





……………………………………。




「ああ!もう!ヒントすらねえ!昔のゲームみたいな謎解き&人探しの理不尽さだなこれ!」




「ぎゃあああああああ!!」





「なんか聞こえた…」



10m先の道の角からヨタヨタと何かが出てきた。


通行人がビビって走り出す。



「誰かぁ…たぁすけでぇ"…!!」


「大丈夫か!」


「たずげ…あ。」


「うわぁ。」



足折ったから覚えてるぞ。

トモヤだ。


顔がぐちゃぐちゃなのは誰かにやられたというより泣いて泣いてさらに泣いてこうなったな。


「お前何してんの?」


「たすげ…ぶっ!!」


「きったねえな!」


ドゴッ!


思わず殴ってしまった。


「ば…ばおう…」


「なんだよ…喋れなくなったのか?」


ジュッ…ジュッ…



「ん。なんか焦げ臭い。」


「ああああああああ!!ぐるぅ!!」



《あー。やっと追いついたっス。逃げ足は速いんスね。》



最初に目についたのは頭に3本の角。

捻れてる。


赤黒い…ゴツゴツした体で、所々赤く光る。


あと…犬歯がキラリ。



「………。」


《あれ。味方っスか?》


「……いや。こいつは俺の敵だな。」


「え?え?ぞんなぁ!助けてええ!」


《がすりついてるっスよ。》


「…それ、"すがりついてる"って言いたいのか?」


《まーた間違いっスか?》


「またか何かは知らないけどまぁ間違いだな。」


「お前強いだろ…殺ぜ…殺してくれぇよぉ。」


「お前を?」


《俺のことっスね。》


「あー。」


ここまで絶望に染まった人間の顔を初めて見た。


ところがどっこい。


ちゃんと謝罪して問題が解決するまでコイツはいじめっ子だし悪のまま。


「…少なくとも"今の俺"はあまり善人じゃないからな。期待すんなよ。自業自得。」


《なんスかそのジドウジゴクって。》


「そんな怖い言葉じゃねえよ。良い事も悪い事も自分の行いは返ってくるよーみたいな言葉。」


《ふーん。コンタクトでいいっスね。》


「コンパクトな!」


いい加減ツッコミたくなってきた。


《で、その人間の味方するのかしないのか…決めてほしいっス。殺スんで。》



「んー…悩ましいな。」


謝って和解すればトモヤは意外と役立つかもしれない。


コイツとジミーが仲良くなることでジミーが成長出来るかもしれない。



《そいつ。人間を殴ろうとしたっス。》


「え?」


《だから俺が代わりに殺してやるっス。人間同士で戦うとかつまらないっス。》


「それってちょっと気弱な人間か?」


《そうっス。》


「お前やっぱりジミーを…」


「や、やめでくれえ…」


《どうスんスか?》


「一応確認したいんだけど…お前魔王?」


《魔王ボレニアっス。》


「…ボレニア…ボレニアスではなくてボレニアな?」


「んなことどぉでもいいだろおお!そいつ殺せよおおお!」


チッ…


「ひいっ!?」


「黙ってろクズ。」


《そんな大きい剣どこに隠してたんスか?》


「ん?ずっと持ってたよ?…あれ?」


ダークナイトが透ける…


「あー。なんか手違いがあるかも。この子こういう特徴じゃないはずなんだよね。」


《面白いっスね。》


「なんか気が狂うな…魔王なのに積極的に悪い事しないというか…何なのお前。」


《人間を殺すのは簡単っス。でも…ぶどう園みたいに観察スるのも面白いっス。》


「…ぶどう?…動物園?動物園だな。」


人間は動物園の観賞物の1種って事か。


《ふわぁ〜…っ。そろそろ決まったスか?》


「……そうだな…お前、人間を観察するのが面白いなら…成長する所は見たか?」


《セイチョウ?》


「カタコト具合がなかなか…。ああ。人間が強くなる瞬間だ。それは肉体的な意味でもあるし精神的な意味でもあるんだけど、今回は精神的な意味だな。」


《人間が強くなる…本当っスか。》


「ああ。びっくりするほど強くなる。」


《その人間を生かせば見れるっスか。》


「多分な。コイツ次第だ。ダメだったら好きに殺していいよ。俺もあまり守る気無いし。」


「……。」


《じゃあさっきの人間を連れて来るっス。》


「待て。場所知ってるなら教えてくれ。俺のが速いから。」


《青い箱っス。俺の足跡見れば分かるっス。》


「………そうだな。すぐ戻るから。トモヤは逃げんな。ボレニアはコイツを殺すなよ?逃げそうになったら行き先を見越して当たらないように攻撃しろ。あと足の裏は焼いてもいい。」


《分かったっス。》



……。




魔王をほっといて勇者としてどうなんだとは思うけど。


足跡分かりやすいなこれ。



「青い箱って建物の事だよな。」


あった。



「ジミー!!出てきてくれ!助けに来たぞ!」



……………チラッ。



「ジミー。」


「…ナギ!来てくれた!良かった!」


「行こう。…トモヤと魔王が待ってる。」


「どういうこと?」




…………………。




《早かったっスね。》


「トモヤは逃げてないな。」


「あ…魔王。」


《人間。お前は成長して強くなるっス。》


「トモヤ。ジミーに謝るチャンスをやる。これが最初で最後のチャンスだ。」


「なんで…なんでぇ…」


「ナギ…?」


「聞いてみよう。」


「なんでお前が勇者なんだよおおおお!俺はレベル36!お前なんかまだ1桁じゃないがぁぁっ!!他の皆だってそう思ってる!こんな弱い役立たずよりもっと相応しい人間が居たはずだってええ!」


「………。」


「妬まれて当然だろおおお!不公平でも飲み込めないもんは飲み込めないんだよ!勇者がどれだけ貴重な存在か!なのに!なのになのになのにぃ!!」


「僕は弱い。」


「……え。」


「東エリア…ううん。全部のエリアで僕が一番弱いよね。子供の頃から体が弱いし、両親だって病院から出られないほどだし。」


「ジミー。」


「それでもね。僕は…ナギに出会って…自分のやりたい事。変わらないって気づいたんだ。」






「いつかきっと、僕が世界を救うって。」





「弱くても…色んな戦い方がある。僕はこれから自分に合った戦い方を見つけて、誰よりも強くなるよ。トモヤにも…ギルドの皆にも…嫌われないような強い勇者に。」





「だから…ごめんね。弱くて迷惑かけて。」





「………。」




「ジミー…お前…」


「ナギ、泣いてる?」


「お前、強くなったなぁって…」


なんかこう…グッと来た。



《人間の成長。人間、良い顔してるっス。》


「ああ。ジミーは成長した。」



《で。そっちのは?》



「…………………ひぇ。」



「トモヤかあ……結局謝らなかったしな。」


「弱い僕が悪いんだもん。」


「お前が弱くて迷惑だとしても、魔法使って暴力振るうなんてありえないからな。同じ人間で仲間なのに。」




《それが聞きたかったっス。》



「え?」


《お前とお前。気に入ったっス。》


「俺はナギ。こっちは」


「ジミー。」


《今回は…》


ボワッ!



「ぐあああああああああああああ!!!!」



「なっ!!」



《今回はその人間は殺スっス。でも、これは俺がやったこと。人間同士の争いではないっス。この魔王ボレニアに殺されたっス。》



「お前…」



《魔王の襲撃…仲間に伝えて協力スるっス。また強くなったら会いに来るっス。》



《最弱の勇者…ジミー。》



ゴオオオオオッ!!




「あっつうううううい!!」



急に赤くて眩しい液体になって消えた。


マグマか!あいつ!マグマなのか!!



「ナギ…」


「火傷してないか?」


「戻ろう。僕、強くならなきゃ。」


「分かった。」




トモヤは…後から死体を回収した。


いじめっ子達は誰も泣かなかった。


全員が青ざめた顔をしていた。


次は自分が同じ運命を辿るのではないか?…そう思ってんだろうな。



「ジミー…その、トモミさんもグルだったし本当にお前の味方って…」


「大丈夫…でもまたナギに頼るかも。」


「それは全然いいよ。すぐに駆けつけるから。…平気か?」


「うん。」


「はは…そんな真っ直ぐな目されると…」


泣きそう。


「…んじゃあ…ジミーは大丈夫だな。次あるから行くよ俺。」


「ありがとう、ナギ。」


「ぐふっ…ぐすん。…またな、ジミー。」




……………………………………。




ビュン!



「…どこ…!」



「うわ…きったねぇ…でも、でも?よくみたら可愛いかも。君。」


「あなた…誰?」


「俺?運命の人。」


「…運…命。」


「そうそう。君と俺は"結ばれる"運命なんだよ。」


「私の…」


「探してたの?そんな格好で?とりあえず綺麗にしようか。向こうにホテルあるから…ね。」



………。



バタン。



「よし。」


グッ…


「なに?」


「脱がなきゃ…まずシャワーだな。綺麗にしなきゃ。病気とか持ってないよね?」


「私は健康…」


「なら大丈夫。ほら、脱が」


「触らないで。」


「なーに言ってんのほら。脱がなきゃヤれないじゃん。」


「嫌。」


「嫌じゃなくて!いいから…ほら!脱げ…よ!」


グイッ…!!


((ボルケーノ・ランス))


ブシュッ!



「がぁっ…」


「私の運命の人はあなたじゃない。」


「あ…あ…」


「燃え尽きなさい。」


ボオオオッ!



「どこ…どこなの…?」


((ムーヴ・ウルトラ))



…………………………………。




「ん。このスマホ。近くで地震とか火事とか発生するとワンワンうるさいな…」


火災発生通知…ラブホで火事ってお前…どんだけ熱いやりとりが行われたんだよ…ははは。


…まさか魔王ボレニア?


でも…あいつ…なんか変というか。


自分の中のジャッジ次第で被害の量に振れ幅があるよな。


でも…こればっかりはタバコのうっかり着火とかだろ。



「次は…タロウだな。あいつは戦って分からせないと。」



勇者更生とか…俺、自分の立場が分かんなくなってきた。











午前3時に定時更新…てことにしようかな?

どうでしょう?

一番見てもらえない更新タイミングですよねこれwww

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