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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その8、突然慌ただしくなったら後半
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大魔王




揺さぶられて起きるのって強さ次第ではブチギレ確定だよな。



「…優しく起こせえええ!」


「ひいっ!?」


「……あれ?」



ここは…教室。


目の前に驚いてる男の人がいるけど、数メートル離れた位置。

起こして…叫ばれて…そんなに早く動ける?


…グゴゴゴゴゴゴ…!!



「…うおおおおおおお!!?」



地震。


地震がそんなに珍しくない日本人だけど、この揺れは日常で感じないやつだ。


「さっきから地震が続いてるんです。」


「そうなん…ですか。助けてくれてありがとうございました。」


「いえ…というか…」


「………?」


「君…木に刺さってて重傷だったはずなのに…」


言われて体をチェックした。

戦闘衣装は所々破けたりしてやらかした感があるけど、傷は…


「おぉ…完治?完治じゃね?」


「どうなってるんだ…!」


「………………………。」



魔王ラミラミの魔力をほぼ全て吸収したのが原因かも。

って説明しても伝わらないよね…あ。


元気になった所で大変なことに気づいた。



「あの!お父さん!」


「いや、まだ独身です…」


「校庭に…その…ドラゴンの生首落ちてませんでした?」


ストレートすぎる。




…………。



案内された体育館。


家族…友達同士…色んな集まり方してる。


そして壇上で子供たちが囲んで見ているそれが…



「あった!」


「あれ、君のなのか?」


人間らしく駆け寄る。


「君たち…危ないから触るな。」


「触ってないよ!パパに言われたもん!」

「何が危ないのー!?」

「ドラゴン!ドラゴン!」


「ふぅ…ダークナイトも無事か。」


ズボッ…


剣を抜いた。


「うわぁ!お兄ちゃんが触ったー!いけないんだー!」


「「「いーけないんだー!いけないんだー!せーんせーに」」」


「好きに言えよ。」


子供の時もこのコールに対しての俺の答えはこれ。

かっこいいよね?ダメ?



「皆さん!…こんな怪しい俺と生首をすいません!助かりました!ありがとうございました!いずれまた別の形で恩返しさせていただきます!」



左手で血も乾いたラミラミドラゴンの生首を引きずり、体育館を出た。


全員固まってた。



校庭に出て門を探す…時々出口どこか困るよね。



「ま、待ってくれ!」


「ちょ、外まで来たらまだ危ないって。」


「君、あの化け物と戦ってるのか?そんな若いのに。」


「歳なんて関係ないです。」


「……」


「あ!あ!あー!はい。質問は無し。」


「はい!はい!気にしなーい気にしなーい。」


喋らせない。


「………ありがとうございます。」


「え?」


「皆を守るために戦ってくれて、ありがとうございます。」


「……守れてない。まだヤバイのがすぐそこまで迫ってる。人間が、世界が滅ぶ可能性の方が高い。」


「…そんな…」


「やるだけやるよ。だから、大切な人達と最後まで一緒に居てあげてください。」


「………。」


「あ、あと出口って…」


ビュン!


「ナギ君!」


「ヒカリさん!」


「良かった…回復したの?」


「色々と…ね。」


「さっきの…彼女か!」


「うふふ。彼氏がお世話になりました。」


「待て待て待て待て!ちょ!」


「いいのよ。」


ヒカリさんが魔法を使う気がして。


「ヒカリさんストップ。忘れさせる必要ないよ。」


「……いいの?」


「命の恩人だし。それに、こんなことになったらもう隠したり出来ないよ。」


「そうね。…行きましょう。本部に人間が侵入してきたの。」


「は?」


「聞いたことない魔法で暴れられたわ。死人も出てる。急いで戻る必要があるわ。」


「分かった。」


本部もピンチとか…マジかよ。




……………………………………。





「うわぁ……。」



本部のロビーがめちゃくちゃ。


受付嬢はもちろんいない。



「ナギ様、戻られましたか。」


「デュークさん!ボロボロじゃんか!」


「歳ですかな…体がついてこないのです。」


「だ、大丈夫…なの?」


「ヒカリ様とナナミ様が外に出た後、さらに2度襲撃がありました。どうにか防ぎましたが…」


「もう次来たら無理って感じか。」


「…それは…?」


「あ、これ魔王ラミラミの生首。ちゃんと死んでるよ。」


「そうですか…オールマスター様は…」


「ダメだった。雷魔法同士の対決ってどうなるの?」


「…得意属性ならば威力の軽減は造作もないことです。しかしオールマスター様は」


「魔法だけじゃないよね。武器も使えるし…簡単には負けないでしょ?」


「そのはずです。魔王ラミラミはなぜこの姿に?」


「魔王特有の詠唱の後でドラゴンに変身したんだ。全身雷魔法で触れるとそれはそれは痛い…あ、バカ達は?戻ってない?」


「いいえ。」


「あいつらまだ外なのかよ!」


「ナギ君はどうして1人で学校にいたの?」


「俺の攻撃で少しの時間、魔王の魔力を吸収出来るようにしたんだ。そしたらこのラミラミドラゴンが飛んで逃げたから…バカに殴り飛ばしてもらった。」


「ならばバガ様はナギ様を飛ばした方向に向かって探しに行くかもしれません。」


「…でも探しに行くと本部が手薄になるよな。」


「私達のことは気になさらず…」


「……あ、待って。ヒカリさん。」


「…うん、うん。分かったわ。」


耳打ち…こんな状況でも良い匂いしてドキッとした。



「ふぅぅぅぅ………」


魔王ラミラミから魔力をどんだけ吸収したと思う?

新型ゲーム機が発売されて欲しくてしょうがない時に5万入った財布を拾うレベルで臨時収入だからね?

…あ、良い子はちゃんと交番に届けような。

…悪い子もな。



「この世を救う、英雄に…!」


((ブレイズ・ドール))


「イリュージョン!」



分身を戦力として置いてく。

これなら少しは安心。


それにヒカリさんの分身は…



「フル装備だね…」



背中に槍、弓、斧…両手に剣。

全部虹色の炎魔法で出来てる。


「レベル40くらいの相手なら複数相手でも負けないわ。それに、デスと名のつく魔法にだって耐性があるはず。」


「なにそのデス系?即死?」


「受けた者は1時間以内に突然死します。」


「クソ魔法だなおい!」


「急いで連れ戻しましょう。」


「うん!デュークさん!気をつけて!」



「お2人も…」



…………………………………。




グゴゴゴゴゴゴ…!



「ちぃっ!また地震か!」


「にゃぁー!グラグラ嫌にゃ!」


「よし、後は東エリアでワープして終わりだ。」


「ナナミ様、空が…」


「あんま西は見るな!やるべき事をやれ!ミミ!フワを連れて走れ!」


「はぁい!獣拳!」



((デス・ショット))


((デス・ショット))



「避けろおお!」


「にゃあ!避けたにゃあ!」


「くっ!めんどくせえ!お前ら!先に行け!」


「ナナミにゃんも急ぐにゃ!」



「…っは。いつから聞き分けのいいガキに成長したんだよ…ったく。」


((デス・


「海剣。」


ズバッ!


((デス・フィスト))


ガキン!


((タイダル・スラッシュ))


ズバァァァァァン!!



「っは。無視出来ねえよな。まだ大勢隠れていやがる。」


ゾロゾロ…


ナナミの見透かした発言に応えるように建物の影から、マンホールから、どこからともなく生気を感じない人間達が現れた。



「…ほらな。ざっと50か?もっとかもな。」



「号令!…効かねえ。エンドラァ…今度は何しやがった?」



……………………………………………。




「バガさん!」


「おらぁっ!」

ドゴォォォン!


近くにあった自動車を殴り飛ばして魔物を吹き飛ばす。


「神扇!」


ヒュワッ!!


続いてシラユキがバガに迫る人間を風で弾き飛ばす。



「もう!さっきからあんまり移動出来てないよ!」


((ジュエル・リリース))


キュウウウウウウ…


「フン!ジミー!戦闘中だぞ!」


「休憩するわけじゃないから!この変な人達を殺さないようにぶっ飛ばして!」


ジミーが焦って呼び出したのは大盾の勇者。


勢いよく走り出した勇者は敵を盾で殴りつけ、蹴り上げて浮かし…


「シールドブレイク。」


…ドッ…カアアアアアン!!



盾で殴った。それだけで殴られた男は建物を突き抜け、瓦礫を吹き飛ばし、魔物を巻き込み、その勢いは落ちることなくどこまでも飛んでいく。


「わぁお。」


「フン。良い選択だ。」


((ミクス・キャノン))


バァン!



「なぜ空に撃った!敵か!?」


「いいや。信号弾みたいなことだよ。敵が寄ってくるか味方が寄ってくるか分からないけど。」


「…敵が来たらどうする。」


「全力しかないね。」


「フン。」



………………………………………。



ジミーが打ち上げたミクス・キャノンはルナ達にもナギ達にも見えていた。


そして…



《そこか…人間の生き残り…今、終わらせてやろう。》



ドスン…グゴゴゴゴゴゴ…!!



大きな足が地面に下ろされると、大地が揺れる。


地震の正体。



(())デス・アーミー(())


…ボタボタボタ…



大粒の黒い雨が降る。


雨に打たれた死体が起き上がり、走り出す。




《もう少し…この枷が外れた時、その時が貴様ら人間の最後だ。》





遠くからでも見えるほどの大きな手や足。


それらを魔法で操る、長身の人型の魔物。




《我が名において命ずる…!!この身を自由に!》



グゴゴゴゴゴゴ…!!




(())リミット・ブレイク(())




直後、その魔物によって殺された大量の生き物の悲鳴が響き渡った。











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