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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その8、突然慌ただしくなったら後半
150/487

魔王と勇者の伝説




「ならタクミ、お前はどうすれば勝てると思う?」






「倒す必要はない。異世界にもう一度ワープさせ、ワープ装置の接続を断ち切れば全て解決だ。…なぜお前は戦いを好む…ハル。」



「車の免許持ってるなら運転する。テレビがあれば見る。戦う力があるから戦う。何が悪いかな?タクミこそ、魔王庇いすぎだと思うけど。」


「庇ってなどいない。必要以上に命を奪い合う必要はないと」


「でもここまでに何人死なせた?」


「…………。」


「魔道戦士…そんな特別な役割作ってさ、命を奪い合う必要がないならなんで強さを求めるの?」


「…………。」


「ふぅ…こんな風にグチグチ言えるのも最後かな。」


ふと、ハルが部屋の窓から外を見る。


空は明るく、暗い。


そして大きな手や足が暴れ、街を破壊していく。



「ここも…あと1時間もかからずに破壊されちゃうね。高層ビルの上階じゃなくて、魔法で守られた建物を作るべきだったかも。」


「…………ハル。」


「いいよ。でも、約束はしない。結果魔王エンドラを殺しても」


「文句は言わない。すまない。」


「はは…じゃあ、嫁がブチギレる前に行ってくるよ。あまり長く待たせられないし。」


「ああ。」





「そんな顔しなくても…俺がこの世を救う。英雄になってやるさ。」



バタン。




「雅 遥…勇者になるべくしてなった男。か。」



ボゥッ。


タクミは白いファイルから取り出した書類を、炎魔法で燃やした。



……雅 遥……"極秘"_人物調査結果

〇月…日、勇者体質を確認、"勧誘"に成功

………日、ボクシングの経験から運動能力も十分と判断

…月……、専用武器として魔法剣を作成

…………、レベルキャップを無視してレベル99まで自力で成長

…………、涼風 七海を妻にする


日付の部分はペンで乱暴にかき消されている。

タクミはそれが完全に燃え尽きるのを見届けると、身だしなみを整え始めた。


「責任は私にこそある。…もうお前を犠牲にはしない。」




………………………………。




「みんなお待た…痛い痛い。」


「おせえんだよ!どんだけ待たせやがる!先に世界が滅ぶぞおらぁっ!!」



ナナミの言葉を聞いてハルは改めて今の東京を見る。


遠くで爆発音が絶えず聞こえ、時々戦闘機が飛んでいく。

まともに形を保っている建物は両手で数えられるほど少なく、映像や写真で見た"戦争"そのものに思える光景だった。



「今日で終わりにしよう。あいつらにも、俺達にも…今日がXデーだ。」


ハルが優しく言葉をかけると、その場にいた5人全員は頷きあった。




《キィヤァァァァアアァアア!!》


「…しつこいなぁ。ナナミは俺の嫁だってば。」


「どうする。先に悪魔と戦うのか?」


「うーん…司令官、無理に殺すのはダメだよ。だからこれ。」


ハルは鏡を取り出した。


「それで何が出来る。」


「これをフリスビーの要領で投げるからそれを司令官の魔法銃で…冗談だからしまって。」


「だからどうすんだよ!」


「こっそりタクミの部屋から拝借してきた。この本の通りにやれば封印出来るんだってさ。」


「見せてくれ……しかし、封印のための魔法は…」


「それなら、ナナミがやる。魔法使えるし。」


「俺かよ!なら俺に見せろ!…はぁ!?鏡を割らずに消す!?なんだこれ!」


「ナナミ、駄々をこねてる暇ないよ。ほら、君のストーカーが来た…」


「るせえ!んなことしなくてもぶっ殺してやらあっ!!」


((タイダル・フィスト))


「セイラに負担かけるわけにはいかないし、なるべく"命を大切に"!特に2人は分かってるよね。」


「っは!死神と悪魔の対決って随分おかしな組み合わせだよなあ?」


「悪は滅ぼす、それだけ。」


「全員俺がちゃあんと守るから!」


「キッドとマモルはなんでこんなに別々の道を歩んだんだろうね。」


「ハル、お前はお気楽過ぎんだよ!少しは緊張感持て!来るぞ!」



「号令!てめえらぁ!悪魔を封じろぉぉぉ!!」




《ゴォォォォオアアアアアア!!》



最強の世代と呼ばれる人類最強のパーティーと悪魔の戦闘はわずか数分で決着がついた。




「封印って簡単だね。」


「ふざけんな!この魔法、信じられねぇぐらい魔力使うじゃねえか!」


「でも誰も傷つかなかったから!俺の盾のおかげだから!」


「………。」


「だが、悪魔は脅威の一つでしかない。」


「司令官の言う通りだね。じゃ、向かおうか。」


「ねぇねぇ、なんでハルはリョウを司令官って呼ぶの?実質リーダーはハルだし、戦闘中はナナミが指示するし…」


「マモル、よーく見てごらん。リョウの風格というか…司令官でしょこれ。今度キッチリした眼鏡プレゼントするよ。」


「目は悪くない。」


「ならレンズ無しの。」



人類の危機、世界の危機、そんなことを感じさせないような雰囲気で、最強の世代は魔物が溢れる中エンドラを目指し歩いた。




…………………………………。




《これで…これでイイ。エンドラよ。我々は必ず勝つ。滅ぶのは人間だけだ!あーっはっはっは!》


《ならば、最後の希望とやらを踏み潰してやろう。》


バチチチチ…



「デニス、エンドラ。」


《タクミじゃあないか!どうしたんだ、今になって命が惜しいなら私がお前を人間から変えてやるとも。》


「戦いは終わりにしよう。お互いに、元の住むべき世界で暮らすことが1番だ。」


《何を言う。異世界を望んだのはお前だろう。》


「その間違いを今、正す。」


《デニスよ。》


《…タクミ、すまないが我々と来る以外の答えならば…》


「エンドラよ。」


《わざわざ下等な生き物である人間を助けてやる必要など無かろう。呼び出され、交流を持ち、魔法を与え…人間はどうした?我々が居なくても争いは絶えない。そこまで滅びたいならば手伝ってやると言っている。》


「正しく使える人間もいる。」


バチチ…


《戦うために来た…違うか?》


((サンダー・ネイル))


《タクミ…お別れだ。》



(())イレイズ(())


…パッパッパッ…ドパァァァァ!!



「…………当たらないことは分かっているはずだ。」


《避けると知っているからこそ、"誰か"に当たるよう放ったまでだ。》


「エンドラ…!!」



「はいはい。そこまでー!」



「…ハル。」


《ちっ…勇者か…》


「やっほー、デニス。元気…なんだろうね。」


「私も戦う。」


「良いけど…マモル、タクミ優先で守ってね。」


「待て、私は守ってもらう必要など…」


「号令!」


《お前達を殺せば人間は抵抗する術を無くす。ならば全力で相手をしよう。》


ズ…ズズズ…!



「へぇ〜。あの手足は本体じゃなかったんだ。」


「悪は滅ぼす。」


「キッドと私がデニスを倒す。」


「なら、俺様達がエンドラをぶち殺す。」


「…じゃあ全員守る!」


「マモルのこと、みんな頼りにしてるから安心して。それじゃあ、ナナミ。」


「…魔王エンドラ、並びにデニスを殺せえええええええええ!!!!」




………………………………………………。





「はぁ…ああ…!これで…もぅ…やりきったね。」



ハルは腕時計を見た。

魔法による加工が施されたそれは、"あの"戦闘を終えてなお傷一つ無く時を刻んでいる。



「3時間ぐらい…?いやぁ疲れた。」



「………。」



「タクミ。」



「………。」


「どっちかが消えて無くなるのは回避出来たんだし、そんな顔しないでよ。」


「だが…封印のために呼び出した守護者は皆命を落とした。中には子供も」


「見た目は子供でも、守護者は自分の存在を分かってる。だから来てくれたし、命を払ってでも封印してくれたんだから。」


「……私の身勝手が招いたことだ。」


「もう解決した。どんなに大切に生きても、誰だって転んだりぶつけたりして傷つくよ。今回はその程度が大きかっただけ。」



遠くで治療を受ける人達を眺めながら、ハルはタクミに優しく言葉をかけ続けた。



…………………………………………………。





「キッド、残党狩りを手伝ってほしい。」


「いいよ。」



「待てよ!キッドはともかくリョウ!お前はまだ回復してねえだろ!」



「私に払う命でもっと多くの人が救える。それを優先するべきだ。」


「…ちっ。」



「悪を感じる…向こう。」


「行ってくる。」



「…ったく。おい、マモルは残れ。」


「バレた…そうだね、守らなきゃいけない人がいっぱいいる。盾ボロボロだけど。」



…………………………………………。




《…我々は不滅、この扉はいずれ必ず開く。何度でも、何度でも…あぁ…これこそ私が信じるべき…》


((ジュエル・クローン))


ズゥゥゥゥン…


《この機械を守ることで私の役割は果たされる。その時まで、私が…このマリオが、人間を惑わせましょう。エンドラ様。》



…………………………………………………。




「ふぅ。司令官達も行ったし…パーティーは解散だね。楽しかった。」


「ハル…お前はどこへ行く。」


「ナナミと海に。ねー。」


「…や、やめろ…言いふらすんじゃない。」


「お惚気アピールするとこんなに照れちゃうんだよ。可愛いなぁもう。怒らすと魔王より怖いったい痛い痛い。」


「……私は平和を守る。」


「それは止めない。タクミ。俺達が2度と集まる必要のないように、頑張ってね。」


「あぁ。」


「…………。」


「マモル。私と来てくれ。ギルドを新たに作る。守るための技術や知識が必要だ。」


「うん。…良かった、忘れられたかと思った。」


「お前だけは私の近くに居てもらう。セイラのこともある。」


「守るよ。死んでも。」



多大な犠牲の末、魔王エンドラ、デニスは異世界に送られ封印された。


現実世界に残された魔物の殆どは、キッドとリョウが斧で断ち切り、銃で撃ち抜いた。


ハルとナナミは、遅れた新婚旅行と題し、海に出た。


タクミとマモルは、残った魔術師と共に"本部"と、新たにエリア分けした東京各地にギルドを作った。同じく結界を用意した。これにより、戦闘の中心地となっていた東京から隣県に散って魔物の広がりを防ぐために戦う人間が不要になった。



完全なものとはいかないが、平和が訪れた。





……しばらくの間は。





150話達成!!!


いぇーい!

ドンドン!パフパフ!ワーー!キャァーー!


大事な所を端折りながらの今回の投稿です!笑

完全版が存在する…らしい。


次回はまた本編に戻ります!

見てね!

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