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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その8、突然慌ただしくなったら後半
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讃え、崇めよ




「問題ねぇぇっ!!落ち着けええ!」


ざわつきを静めるためにナナミさんが声を張り上げる。



殆ど避難は終わったみたいで、それぞれ顔馴染みの人達同士でグループになって部屋中散らばって固まってる。




「………………………………………。」


「ナギ君?」


「…………………………………………。」


「ナギ君?」


「あぁ。うん。」



ふと思ったけど…ダークナイトってコストさえ払えれば最強なんだよな。

追加効果でのチート効果、パッシブとして全ステータス上昇が見込めるブラッドユニゾン…


セイラさんとモモと俺。


俺がコストを払うため自傷、効果発動。

セイラさんが回復。

これを繰り返すだけでも相当ヤバい。

そして俺とセイラさんをモモが守れば…!!



「理論上最強パーティーだ…」


「何を考えてるの?」


「え?あ、何でもないよ。」


そう簡単に攻略出来るのかと言われると自信は無いんだけれども。



「ナギ様。ジミー様。」


「デュークさん…分かった。ジミー、写〇眼してほら。行くぞ。」


「ナギ君、私も…」


「……デュークさん、どうする?」


「ヒカリ様、申し訳ありません。」


「ごめん、待っててくれ。」


口パクで後で話すと言ってみた。


…伝わったか微妙だ。



………。




「ナギ、これ〇輪眼じゃないから。あれのがかっこいいけどさ、これはこれで僕気に入ってるから。」


「分かったよ。で、デュークさん。」


「オールマスター様から連絡が途絶えています。捜索隊を向かわせる予定です。」


「それを言うってことは俺達も行けってこと?」


「戦力が足りません。本部を守る人間も、救出する人間も…」


「世界救う暇もないってね。」


「ナギ。」


「…本部の守りにはナナミ様、ヒカリ様…魔法に長けている人間が向いています。結界、遠距離魔法など…魔法強化の魔道具などが用意出来ているのも理由です。」


「ナギ、外の状況を知れるチャンスだよ。」


「………2人とも、あくまでも考えの1つとして聞いてほしい。」



俺はダークナイトの可能性、セイラさんとモモの力を借りることでの戦闘を提案した。



「…………3人…」


「どう思う?ジミー。」


「モモちゃんはどれぐらい皆を守れるの?過信して倒れられたら…まだ子供だよ。…こんな状況だからって子供の犠牲なんてよくないよね。」


「だな。」


「そのセイラさんも、寿命がコストなんでしょ?残りの寿命は?戦死を覚悟していても実はそんなに命が残されていないかも。」


「…あぁ。」


「それをお考えになるということは、ナギ様は」





「誰かがやらなきゃ。」



「ここに居ても皆が生き残れる?」



「たまたまだけど、可能性に気づけたんだ。ゼロじゃないって。俺がエンドラを倒せれば、後はどうにかなるんじゃないの?」


「俺、勇者になって何回も死にそうになった。腕とか切り落とされたり…家族も失った。」


「でも、今が一番怖いんだ。」



「守りたいものがある、単純に死にたくない…色んな理由があるけど。」



「表現出来ない怖さを感じてる。」



「これはここで生き延びても消えない。このままじゃ人間は負けなんだ。」




「ナギ、エンドラについて情報は?」


「…空に手が見えた。手だけで相当大きい。少し透けてて、汚い色してる…手を振り下ろされた街が水飛沫みたいに跳ねてた。」


「全身が出たらかなり大きいんだろうね。」


「それから…これは推測だけど。ヒカリさんが復讐を誓う魔王がエンドラかもしれない。その魔王は、」



「対象の存在を全て消し去る。」


「ヒカリさん…」


「聞いてしまったわ。ごめんなさい。」



「なら、最強パーティー説は崩れるよ。セイラさんとモモちゃんは勇者体質じゃないもんね。消されたらおしまい。」


「……なら、離れた位置で…ここで俺を強化すればいい。考えつく限りの強化を全て…」


「ナギ…」


「ダメよ…嫌。」


「ヒカリさん…」


「誰かが犠牲になるなんて…それもよりによってナギ君なんて…」


「……。」


「わがままでも何でもいいわ。嫌なものは嫌なの!」


「最後の最後まで怯えて身を寄せあって死ぬのか?」


「ナギ君…」


「ヒカリさんのすぐ隣りに居たいのは俺も一緒だよ。皆、自分の大切な人と一緒に…生きてたいんだよ…"未来"を。」


「ナギ…来た。」


「え?」


「"最強のパーティー"。組もうか。」



……………………………………………。




「………………。」



2人の寝息が聞こえる。



それと、足音。



「っはあっ!!」


男が目覚めると最初に右腕に注射器が見えた。


「…何してやがる…!!」


「起きる時間です。」


そういうとフードを被った女は寝ているもう一人にも注射器を刺した。


「…っああぁ!!」



「…シラユキ!!」


「バガさん…ここは」


「服はこれを。外で待っています。」


「待て!お前は誰だっ!」



「……この部屋…私達は一体…」


「服着ろ。あの女に事情を説明してもらうぞ。」




……………………………………。





「……来たか…。」


本部受付ロビーには、俺、ヒカリさん、モモ、ジミー、デュークさん、タロウが居る。


そしてそこに3人増えた。


「お前ら…ここは!?一体どうなってやがる!」


「ここはギルド本部。なんていうか…認められた人間じゃなきゃ存在すら教えてもらえないような場所。」


「…で?なんで集まってる。」


「お前らが寝てる間に人類滅亡の危機がやってきた。というか、ちゃんと治ってる?」


「はい。完治しています。」


「いや、セイラさんを疑ったわけじゃないんだけど。」


「この女が俺達を治した?」


「セイラさんは寿命をコストに勇者を回復出来る。役割もオンリーワン。話進めていい?あんまりおさらいしてる暇ないんだ。」


「…………。」


「よし、今外には最強のラスボスこと、魔王エンドラがいる。デカいし強いまさにラスボス。しかもそれ以外にも強い魔物とかがぶわぁっと…無双ゲームみたいに居ると予想出来る。」


「…んで、勇者5…あぁ…元勇者も含む5人で、パーティーを組む。」


「タロウ…?お前、勇者じゃねえって…」


「ワケありだ。」


「勇者体質が攻略の鍵だ。勇者にしか出来ない。いや、勇者でもキツいというか結構無理。」


「ナギ様、魔王よりも…」


「そうだね。生存者を救出してここに戻る。まずはそれが優先するべき任務だね。」


「分かった。…ヒカリさん、治療師をロビーに集めてくれ。」


「分かったわ。」


「デュークさん、聞いてもいい?」


「はい。」


「今ここで一番偉いのって誰?」


「マスター様です。」


「セイラさんか。マスターシリーズが偉いのな。おっけ。」


「おい、タロウお前…」

「バガ、色々あったんだ。」



「セイラさん…あまりした事ないかもしれないけど、皆に指示を出してくれ。不安になってる皆をまとめてくれ。」


「分かりました。」



「…ふぅ。準備出来た。」


…ジミーは旅行にでも行くのだろうか。


「あのさ、キャリーバッグなんて持って行けるわけないだろ。」


「備えあればなんとや…あ!待って!今オールマスターいないんだよね!?」



ジミーの戦闘準備は、女性のメイク時間よりも遥かに長く、グッダグダだった。



………。



「ジミーさーん、早くしないと人類滅亡なんだけどー?」




「…お待たせ!」



バッグ類は一切無く、代わりに指輪を付けている。


「マリオジミーだな。」


「それならジミーマリオのが語呂はい…マリオ要らないから。」



「シラユキさんは?平気?」


「…ええ。大丈夫です。戦えます。」


「バカはまあ…ね。」


「っは。」


「タロウ…無理すんなよ。」


「私にはこの剣がある。」


「ジミー。」


「一応簡易トイレも持ってく?」


「あのなぁ…よし、行くか。」




ようやく、5人の勇者が揃った。


4勇者+1戦士ね、はいはい分かってるでしょ?お互いに。



「では、まず東エリアに向かってください。オールマスター様の捜索が優先です。その次は西エリアに近づかぬように他のエリアも。」


「私のエリアは…」


「見たら分かる。」



「ナギ、言いたいことがあるんだ。」


「ジミー、トイレは要らねえ。」


「日本よ、これが」


「やめろ!やめろおお!思いっきりアベ〇ジャーズ気分だろお前!」


「僕アイア〇マンポジションだよね。」


「ポジションとか要らねえよ…バカはハ〇クな。」


「それは納得!ナギも分かってるじゃーん。」


「俺がなんだ?」


「行くぞ。」


「しまった、全員元々リーダー枠だから誰がリーダーかで争いになりそう。」


「良いじゃん、皆がリーダーで。臨機応変にね。」




不安な立ち上がり。


勇者による現代の"最強の世代"が結成された。


「アベ〇ジャーズ、出動!」


「やめろジミー!怒られる!大人に!!」


「じゃあユーシャーズだね!」


「……それももうあるんだよ…。」




5人同時に魔法陣に踏み込んだ。


決戦が近いんだな。



………………………………………。



「うわあああ!化け物おおお!」


「きゃあああああああ!!」


「助けてくれええええ!」


「お母さぁぁん!」



逃げ惑う人々。


その悲鳴でパレードを盛り上げている。




無防備な人間を狩り、時には喰らう魔物。


贅沢なご馳走が並ぶ食卓。




空は明るく、そして暗い。


我々の未来そのもの。




《ふふふ…良い光景ですね。後は残りの勇者達を殺せば…》


空を遊覧飛行する黒い雷。


王冠が輝く。



…ッボト。



そして無造作に捨てられる。



その生首は弱々しく虹色の雷を纏っていた。







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