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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その8、突然慌ただしくなったら後半
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荒くれ紳士 part3





「ここが本部なのね…随分と近代的な建物に思えるわ。」


「ある意味、"最新技術"だらけですから。」


「デューク様。」


「こちらはヒカリ様、十分に力があると見て…ん?」


「お察しですね。オールマスター様はナギ様と戦闘中です。」



「ふむ…オールマスター様に話があるのでそちらに案内してもらっても?」


「はい。入室には気をつけてください。8番からどうぞ。」



「ナギ君も来てるの?」


「そのようです…それもオールマスター様と戦闘とは…」


ピシュン!



………。


バチィン!バチイイイン!

ヒュン!ヒュンヒュン!


「これはばかやろう!あれもばかやろう!全部ばかやろうだ!ふざけんなあああっ!」



攻めになったタクミさんの攻撃は避けるという概念が無くなるほどのレベル。

呼吸を忘れて必死に動いてようやく避けてる。



「あと4発、どうした。」


「…ぜぇぇぇ…はぁぁぁぁ…ねぇマジで最強の世代より最強だよね?魔王1人で殺せるよね?」


「いいや。それは出来ない。」


「いや、スパーンは簡単に首を刎ねたよね?」


「スパーンは弱っていた…本来のスパーンなら私も苦戦していただろう。」


「………タクミさんが苦労するの?マジで?」


「お前達だけでもスパーンは殺せたと思わないか?」


「まぁ…うん。正直ね?ちょろかったよ。」


「スパーンのブラッドは人の血を変化させ、そのまま死に導く。ドレインは、人の魔力を吸い取り即座に衰弱させる。主力の魔法2つだけで脅威だった。」


「話を聞く分には強そう。」


「休憩はもういい。始めるぞ。」


「バレたか!龍虎針剣!」



…パタン。


「まだ入れそうにありませんな。」


「あれが人間の動きなの?あんなの、魔法の一つも当てられないわ。」


「ナギ様は速度の重要性に理解があるようで。」


「私だって少しは分かるわ。でも…RPGゲームでは足の速いキャラクターは総じて攻撃力が低い傾向にあるの。防御力の高い敵にはあまり…」


「それもまた一つの見方ですな。…ヒカリ様、戦闘が終わるまで私にフェニックスとの契約についてお聞かせください。」


「そうね…いいわ。魔導師に役割昇格してすぐにフェニックスを求めたの。魔術師では相手にされないと思っていたから。」



……………………………………………。




「我に真炎の導きを!現れよ!フェニックス!!」


キュウウウウウウ…………………ブワァッ!



人の寄り付かない廃工場で描かれた大きな魔法陣から、夜を赤く照らす炎…炎鳥が現れた。



「………あなたがフェニックスなのね…!」


《私を求めたのはお前。》


「ええ。」


《……魔導師よ、私に何を求める。》


「少しでもいいの。あなたの力が欲しい。」


ジュワッ…!


「うっ!!…熱いわ…!」


《私の炎で何を叶える。》


「守りたいの。人間を魔王から。」


《魔導師よ、お前の力では人間はおろか自らを守ることも叶わない。》


「それなら、あなたが私を守って。」


《…………。》


「あなたの力なら、出来るでしょう?」


ジュッ……!


ヒカリが炎鳥に優しく触れるとすぐに手が焼かれ、目を背けたくなるような大火傷を負った。


《触れるな。》


「いいの。だって。あなたが治してくれるもの。」


《死ぬだけだ。》


「信じているわ。」


スッ…ジュゥゥゥゥゥ……!


ヒカリは苦しむどころか、優しい表情のまま炎鳥を抱きしめた。

触れる肌が焼けていく。



《まだ間に合う。離れろ。その美が失われつつある。》


「ありがとう。でも、あなたが必要なの。」


ジュウウウ…!!


「…暖かいわ。」


《もういい。離れろ。》


ズゥッ!!


「うっ……!!」


炎鳥の体が一瞬暗転、すぐに以前よりも明るい炎となった。

それは、先程までの熱さとは比べものにならない。


《……手を差し出せ、契約者よ。》


「ふぅ…認めてくれるのね?」


「…火狩 萌乃。あなたと共に、邪悪を照らし…燃やし尽くす人間の名前よ。」


《契約者よ。このフェニックスの炎を持て。願いは叶うだろう。》


ボワッ。


ヒカリの目の前に拳ほどの大きさの炎の玉が現れた。


「ありがとう…うふふ。ヒカリって呼んでね。フェニックス。」


キュィーーーーーン………




………………………………………。




「次に気がついた時には火傷は全て治っていたわ。痕も残ってないの。」



「それはそれは…何とも。大胆なアプローチですな。」


「そうね。でも、フェニックスの真炎魔法は最近までその片鱗すら見せてくれなかったわ。」


「そうでしたか。」


「きっとレベルが足りないの。まだ47だから…」


「でしたら…ヒカリ様も、オールマスター様と戦ってみては?」


「え?」


「強き者との戦いはレベルだけでなく、経験が得られます。いつか相手にする最強の魔王との戦いに備え…」


バタン。


「ふむ。決断の早いお方だ。」



……。




「遅すぎる!どうした!」


((サンダー・ボルト))



やっべえ!これは被弾しかありえない!どうせ食らうなら…!


「断ち切れえええっ!影斬りっ!!」


バッチイイイイイイイン!!!





……………あれ?痛くない?




「……やったのk…あっつぅい!!!」



俺を囲うようにドーム状に白い炎が展開されていた。

俺が騒いだのと同時に消えた。



「………それは…」


「オールマスター様。突然ですけど、私も参加させてもらえないかしら?」



「ヒカリさん…!?」


「ごめんねナギ君、熱かったわよね?」


「なるほど、今のはヒカリ…お前が」


「え?え?いや、ヒカリさんは何しに来たの?」


「大事な話があって…でも今はすぐに聞いてもらえないって思ったから。」


「参加って…やめといた方がいいんじゃない?」


ジュワッ…!


「あっつぅぅぅぅい!!」


「うふふ。」


ヒカリさんの魔法があったまおかしい威力なんだけど!!

なに!?魔法じゃなくて魔導だからこんなになりましたみたいな!?

リアクション芸人がリアクション諦めて命の心配するレベルだよこれ!!!



「いいだろう。ナギと2人で組んで戦え。」


「ええ。そのつもりよ。」


「…ヒカリさん、味方に誤射だけはやめてね?その威力は死ぬ。」


「ナギ君…始まるわ。」


「ちょっ!確認が!」



「小手調べだ。」


((サンダーボルト))


「待ってえええええ!!」


…と叫んでみたものの、タクミさんが狙ったのはヒカリさんだったりする。



バチイイイイイン!

ガキイイイイイイイイイイン!!



「炎が攻撃を弾く…やはりな。」


「でもまだ基本的な魔法しか使えないの。」


((ボルケーノ・テンペスト))



……とりあえず天井を使うという選択肢が味方に潰された。



「ナギ君、少し休んでてもいいわよ?」


「余裕があるな。これならどうだ。」


バチチチチ…


((サンダー・アヴァランチ))


ズバチチチチチチチ…バリリリリリリリ!!




…本能的にその場から離れた。

防御という発想は間違いじゃ済まない攻撃だった。



雷が大量に連なって、雪崩に見えた。




「……必要なら回復しよう。」



「平気よ?」



「ヒカリさんまさかの無傷!!」



「じゃあ…私の番ね。」



((ブレイズ・スコール))


ゴォォォォォォォォォォッ!!!






「え、待って、死ぬ。」





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