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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その7、結局は中盤が一番楽しい
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緊急事態 part5




((イーヴィル・イーター))


ズバァァァァァン!!!



モモの手刀による一太刀は間に合わなかった。


男は満足気な表情のまま、上半身を分断され即死した。




「ナギ君っ!!!」


「なんで?洗脳されてた?魔王側についてる人間がいるの?」


「……………………………。」


ナギを心配するヒカリ。


すぐに何が起きたのか考えるジミー。


開いた口が塞がらないトモミ。



「モモちゃん!!」

「出来ない。足りない。」


「そんな…」


モモのリザレクションに頼ろうとするも、エネルギーが足りないのかモモは応えない。



「スパーンは…もしかして本当に不死身?」



ガチャ…


「……構えるな。私だ。」


「オールマスター!」


タクミが扉を開けると、ジミーとモモが素早く戦闘態勢に入っていた。



「…ナギに何があった?」


「魂交換の儀式が爆発して、負傷。その後ここで安静にしてたら…」


「その男が刺した。お前達がついていてどうしてこうなる。」


「僕は見舞いだと思った。このギルドの事は詳しくないし。ナギは慕われてるねぇって言って…」


「仕方ない…」


タクミは携帯電話を取り出し部屋を出た。


「ヒカリさん、病院連れてこう?急げばまだ間に合うはず…」


「うぅわぁぁぁぁん!!」

「ヒカリ。」


「ヒカリさん…」


ガチャ。

「…入れ。」


「はい。」



「オールマスター、その人は?」


「見ていろ。この状況でふざけた人間を連れてくるわけがないだろう。」


「ヒカリさん、離れて。」


「ぐぅぅ…っ!」


「随分と精神が弱いな。それだけ脆いといずれは…」


「オールマスターでもそういうのは言っちゃダメです。めちゃくちゃ強くても、どんなに偉くても。」


「始めろ。」


「はい。」



透き通るように白い髪…花のティアラでも着けているのかと思えば、編み込まれた緑色の髪だった。

この女は白い髪に鮮やかな緑色の髪も混ざっている。

その整った顔立ちは、異性だけでなく同性の視線も集めて離さないだろう。


「始めます。」


ブワァァァ…スッスッスッ…


女の周りに医療器具が出現し浮いている。



「これって…」


「お前の知るそれではない。人間ではここまで辿り着けない。」


ジミーはインスタント輝石のテストで治療師に使わせた上位魔法を思い出していた。

が、それをあっさりと否定された。



「神よ…命の運命を変えることをお許しください。」


ピッ…!


女が一言…すると、道具が勝手に動き出しナギの体を…


「これって…手術。」


「だから違うと言っている。」



刺された短剣を抜き、魔力形成された布のような物で抑えるとすぐに止血された。

メスが少しずつ体を切り開き開胸器により開かれた。

女が少しだけ胸を覗き、状態を見ると緑色の糸を垂れた縫い針が裂かれた体を縫合していく。



「早い…あっという間に体内の傷が…元通り?」


「手術ではない。」


「じゃあ何なの?」


「お前達にはまだ早い。」


「治療師を極めてもあれにはならないのは確かなんだよね?」


「そうだ。」


「これって…実は勇者体質でも問題なく治せるってこと?」


「これは"例外"だ。最強の世代を支え続けた…6人目と言っても本来なら差し支えない。」


「そりゃあねぇ…回復キャラ無しで勇者だらけのパーティーとか聞いたことないし。」



「終わりました。」


「そうか。すぐに戻れ。」


「はい。」


「待ってよ!命の恩人の名前ぐらい…」


「行け。」


「…………………………。」

ビュン!



その女は無言で部屋の隅に立ち…消えた。



「どこまで行ったのか知らないけど、長距離ムーヴの詠唱省略って無理でしょ。隠しすぎだって。」


「今はまだだ。ヒカリ。ナギはもうすぐ起きる…もう落ち着け。」


「………はい…ありがとっ…う…ございます…。」


「トモたん?」


「…ひぇ?あ、あぁ…なんか起きてから色々ありすぎて…」

バサッ。


「え?」


「理解が追いつかなくて、気絶か。」


「言っとくけど非戦闘員だからね?」


「だろうな。それで、その男は結局…」


「僕には分からない。」


「ヒカリ。答えろ。」


「…ぐすっ。…その人は何度か見ました。」


「デュークさんのが詳しいんじゃない?」


「だな。私はデュークに話を聞く。」


…バタン。




「でも…どうしてこんなことに…モモちゃん、もう少し警戒よろしく。」


「…分かった。」




…………………………。





「…………ぬぁぁぁぁっ…!!」


寝起きの伸びは気持ちいい。

あ、でも足は気をつけろよ?ふくらはぎが伸びると…


「ぐあああああっ!!!」


「ナギ君!」


「足…足つったぁ!」


「ナギってある意味幸せだよね。」



………。



「つつ……ヒカリさん顔ぐっしゃぐしゃじゃん…どうしたの?」


「そりゃあもうナギがあんなことになったから。」


「え?」


「それ。」


「…………病室に体真っ二つの死体があるってどういうことだよ…!」


「顔は知ってる?」


「あぁ。俺の高速戦闘に憧れてるって声かけられたことあるよ。」


「この男がナギ君の胸に短剣を刺したの。」


「え?俺無傷だけど…」


「オールマスターがどこからともなく美女を連れてきてさ、その人がパパーッと。」


「治したの?」


「魔法を使った手術だと思ったけどそれよりヤバかったよ。まだ秘密なんだって教えてくれなかった。」


「…そっか。スパーンは?」


「ナギが爆発からみんなを守ったあとすぐに殺したよ。」


「そうか……。」


てっきりこの男にスパーンが乗り移ったのかと思ったけど。



「ナギ様、今回はめちゃくちゃお世話になりましたーー!」


「そういえば、トモミさん復活か。ジミー、良かったな。…というかベッドの上で土下座とかやめて!」


「いやいや!こんだけしてもらったら土下座は挨拶程度です!ちゃんと恩返ししますからー!」


「そ、そう?」


「ねえナギ、変な事お願いしたら頭吹き飛ばすよ。」


「あ、そうそう。俺はすでにお前がアウトなのを知ってるんだよジミー。あとで1発殴るからな。」


「え?え?え!?」


「トモミさん、早速いいかな。」


「はい!なんでも仰ってください!!その…そういうお願いなら…2人っきりで電気は消して…」


「ジミーと部屋出てくれ。」


「え?」


「ジミーとギルド内の様子見てきてくれ。ジミー、念のためスパーンが他の誰かに宿ってないか調べてくれ。」


「…うん。ナギはそう思うんだね。」


「あいつは何ていうか…あっさりやられ過ぎだろ。復活効果持ってるとか理由付けてもさ、最強の世代が避けたがったレベルだぞ?」


「分かった。トモたん、行こう。」


「はーい。ナギ様、本当にありがとうございました!」


…バタン。


「ヒカリさん。」


「…え?」


なんか口には出せなくて、ただ両手を広げた…ハグしたくて。


………シーン。



「ダ、ダメ?」


「なに…?」


「あの…ほら…いつもこういう時って…生きてて良かったーってこう……こういう…」

ブンブン…


1人ハグとか恥ずかしすぎ。普通に言えば早かったな。



「あぁ。分かったわ。」


ギュッ…。



「あぁ〜…これこれ。これがあるから大怪我してもポジティブでいられるんだよな。」


「ナギ君?」


「なんでもない。忘れて。」


マインドボイスが口から出てしまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!

恥ずかしくて死にそうwww

ああああああっ!!



「…次からは遠慮なく…何も言わずに抱きしめていいのよ。」


「あ、あ、うん。」


くそっ、モモがガン見してるからなんかこう…変な事考えられないっ!

妄想が膨らまないっ!

……もう…。



「モモもおいで。」

「勇者。」

ギュッ。



待ってましたぐらいの反応の良さ。



2人とも愛おしい。


…ずっと…イッショ。



……………………………。



「ジミーさん。そんなにキョロキョロしたら魔王にバレちゃいますよ?」


「むしろバレた方がいいかも。」


「むむ…難しいこと考えてますね。」



「フォーカス・アイ。」


「うぅ…それ、ミーは苦手です。」


「しっ。…あれだ。」


「え?」


「あそこの…フード被ったやつ。こっそり尾行するよ。」


「分かりましたー…!」









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