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俺達が魔法を使う理由  作者: イイコワルイコ
その7、結局は中盤が一番楽しい
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緊急事態




「……どっちだ…。」


龍虎針剣か秘剣ダークナイトか。


輝石はさっき使ったしステータス強化は見込めない。


ならやっぱり。


「ダークナイト。」



エルは自分の力に自信があった。

だから、あれだけ敵の懐に遠慮なく突っ込んでいける。

そしてそのまま…



シュワッ…


「速いな。」

「ありがと。」


ズバァァン!!


「46。」


「ダークスラッシュ!」


ズバァァァン!!


「97。もっと真面目に攻撃しろ。」



キュッ。


「本気出したら…俺が瀕死になっちゃうから。それとも勇者にも効く回復魔法とか知ってるわけ?」


「残念だが。」


「でもせっかくだしな。2回やられたら覚悟決めるよ。」


「ならば…」


俺が集中してるだけじゃない。


この場に居るギルドの人間皆が静かに見守ってる。



「………………。」


タクミさんは直立。


右足が一歩前に…



ズバァン!


「………見えたのか。」


「勘だよ。」


速さに自信があるからこそ踏み込む。


だから居合斬りで返す。



「なら、次は私の標準速度だ。」


そう言うとタクミさんは20m程歩いて離れた。


「捕まえられるか?」





「………………………っ!」


右肩をポンポンと触られた感触だけが伝わった。


ちゃんとタクミさんを見てた。

ずっと離れた場所で立ったままだ。


分身?残像?



「魔法なんて元から理解出来る力ではない。」



「今の1回ね。」



「構わない。」



また歩いて離れる。



「捕まえてみろ。」




「今だ…。」


シュワッ!



向こうが動き出す瞬間の予想より少し早めにこちらも突っ込む。

俺のためにわざわざ初期位置に戻ってくれるはず。

なら残像に攻撃すれば…



ブオオオオン!!


「外れか。」


「まだ理解を求めている。それと、今のは57。大振りすぎてとても高速とは思えない。」


「そんなにか。」


シュワッ!


これでも自分の中の最速だ。

なるべく動作の全てを小さく省略して、それでいてダメージも出せるように。



「2回目。」


「…………くそ!1個聞いていい?」


「なんだ。」


「タクミさんのレベルは?」


「60。」


「……ふざけんなよ。」


「事実だ。私はレベルの上限を上げてもこれ以上成長が見込めない。」


「…完成してるってこと?」


「完成させてしまった。だな。君なら分かるだろう?」


伸び代を考えず、初期段階で改善出来る点が無くなるほどの完成度に仕上げた。

だからレベル60でストップしてもそれ以上の力がある。


「さて。2回触れた。覚悟を決めろ。」


「分かった。ふぅ…ならちょっと見てて。」



悪魔との戦闘時は死ぬくらいならと思ってやったけど…これエキシビションマッチだしな…



ズブッ……!!



「ナギ君!!」



「正気か。」



「……………っぐぅ!!」


力が抜けそう…いや抜けてるわ。

今にも立ってられなくなってしまいそうだけど。


こうでもしないとね。





「我が怒りを叶えろ!ダークナイト!」


はやく…!!



「今こそひとつに!」


認めさせたい!!



「ブラッドユニゾン!!」




「なるほど。」





「……………我が欲を満たせ。」




ズバッ!


「89。」


「次は一番大きいのだけ報告しろ。」




ズバァズバァズバァズバァ!!

ズバァズバァズバァズバァ!!

ザクザクザクザクザクザクザクザク!

ブシュッ!ザク!スバァァァァン!!




もう"移動"の概念が消えた。


どんなに相手が遠くても一瞬より遥かに速く剣が届くのを感じる。



「ぶっ……。471。私の標準速度に追いついたな。さらに速くなれ。」


「…追加効果、発動。」



もちろん、血は吸ってるわけだしリベンジスラッシュも当ててる。



「30秒間、対象の素早さを自身に上乗せする。」



「ふむ。なら、決着としよう。」





ファッ………………………………!!



風なんてとっくに置いてけぼり。


きっと、光の速さにも届くほどに。





…シュタ。




ビュッ…ドサッ。



「ナギ君!!」


「オールマスター様。」


「ダークナイトか。デューク、良い持ち主を見つけたな。」


ブシャァァッ!!


「これは…!!」


「今回は、私の負けだ。」


「ただいま回復を!」


「自分で出来る。」




「しかし、自分が勝った場合の約束ぐらいしておくべきだったな。私は目的の物を回収する。」




…………………………………………。




「………ああっ!いてて。」


「起きたわね。もう…!!」

ベシッ!


「痛いよ…」


「オールマスター様は結局ジミーさんから指輪を回収していったわ。」


「マジか。情けで置いてってくれるかと期待してたのに。」


「ナギ君、途中から何が起きてたのか全く」


「俺も殆ど理解してない。」


「え?」


「頭で考えようとする時点で遅いって事なんだ。でもそれ以上は本当によく分かんない。」


またやれって言われても間違いなく出来ない。


というか胸にダークナイト刺すのマジで痛いよ?

傍から見たらただの自殺だよ?

血吸わせて、剣と一心同体になってるよーとか言われてもそうは見えないよ?


本当に最後の切り札にしないと。

使わずに負ける方がマシ。


でも…あの速さはもう快感に近い。

負ける気しないもん。

速くなりすぎて周りが時間停止しましたレベルだからね。


「あれが身につけば…。」



タクミさんを師匠に出来ないだろうか。



「今日は家に帰れないわね…。」


「まあこの傷はあんま動けないかも。」


「たまには1人がいい?」


「え、なんかやだそれ。」


「ふふ。じゃあモモちゃん連れて戻ってくるわね。みんなでギルドにお泊まりよ。」


「よかった。うん。」


「じゃあ待っててね。大人しくしてて。」


「はーい…」



ガチャ…


ヒカリさんがムーヴしたらすぐドアが開いた。



「ナギー?」


「ジミーか。」


「指輪取られた。」


「だな。」


「魂交換の儀式が分かったら正式に借りるよ。」


「ジミー、お前の目なんなの?どこの忍者漫画を参考にしたわけ?」


「あー…。言わなきゃダメ?」


「ぜひ。」


「フォーカス・アイだよ。絶対に途切れない集中力、死角が無くなるほど広い視界、その気になれば望遠鏡みたいに星を観察することも出来るぐらい視力も良くなるよ。」


「…それって目に魔力溜めてどうのこうの?」


「発動条件は魔力だけど…」


「なに?」


「これは魔眼。生まれ持った眼と交換した。」


「うぷ。」


「バケツあるよ。」


「…大丈夫、鎖骨らへんで抑えた。」


「手術も大変だったんだ。大手術。」


「俺は世界の為でもそれは遠慮したいかも。」


「でもこれ女の子の谷間覗くと…」


「え、お前エロのために自分の眼を捧げたの?バカなの?」


「うひ。まぁこれはすごく…疲れるから。切り札みたいなものだよ。」


「俺も切り札あるよ。お前よりハイリスクハイリターンのな。」


「僕はとりあえず、急いで魂交換の儀式について知りたい。しばらくここのギルドでお世話になるけどいい?」


「歓迎はしないけどまあ追い出しはしないよ。」


「超冷たい。風邪ひきそう。」


「協力はするからいつでも言えよな。」


「うん。そのつもり。」



バーン!


「ナギにゃーーん!」


「ルナうっさい。」


「見逃したにゃ!ナギにゃんのバトル!」


「現場に居ても見逃してたよどうせ。」


当事者の俺自身、戦闘の流れが分からなかったんだよ?



「あ、猫にゃんだ。」


「にゃ。ジミーにゃん。」


「みんな少し僕に冷たいよね。」


「そんなことないにゃ。飴ちゃんほしいにゃ。」


「たかられてやがる!ぷふっ!」


「ナギー!」



ドカァァァァァァァァァン!!



「「「……………………。」」」



「今のは?」


爆発音。

明らかにレトルト内で。


「み、見てくる?」



「ナギ様!」


「デュークさん!何事!?」




「魔王スパーンが攻め込んで来ました!!」




「………………え?」





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