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神様のメダカ  作者: 袋小路 めいろ
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神様の失敗例(二)

 だが、神である私は、あんな風に頑張っているラファエル君を見ても、少しも偉いとは思わない。神は働かないし、頑張るという概念が無い。真剣に管理している世界に対しては、少しの調整をするだけで、大抵生きている命にお任せである。あなた方の世界の感覚で言えば、近くの場所へ、ちょっとした用事を済ませに行く様なものだろう。怠けているなどと、言ってはいけない。あなた方を創り上げたのは、私達神々なのだ。




 大半の神々は、趣味に近い仕事のやり方をしている。神である私の周りで言えば、破壊神である神母は、最近、ダラダラ破壊する事に熱心であるらしい。

 神々のマイブームは、それぞれの宇宙フラスコも、真剣に管理している世界も、新しくて良い感じにする。あなた方からすれば、悲惨に悲惨を呼ぶ状況の中で、一思いにやってくれと考えてしまうのだろうが、私達神々からすると、ちょっと変わった感じにやりたいなと思う物である。




 あなた方の周りでも、刺激が足りない等言っている生物や刺激ばかり求める生物が居るだろう。神々も、そこは同じである。全ての生物が悲惨に思う事も、ちゃんと気分で計算して行っているのだから、悲観する事は無いのだ。ただ、私から見ても、神母のやり方は少し困る感じの時があるのだが、あなた方では到底抗えないので、受け入れる以外の道は無いのである。




 しかし、違うと言える事もある。命の悲惨さは、全体で見て悲惨であるなら、悲惨である。だが、命の個々で見れば、個体差があるのだ。感じ方に誤差が生じるのだ。それは何故かというと、身体の遺伝子と魂の遺伝子が存在するからである。身体の遺伝子については、解明途中や解明済みの惑星もあるだろうが、魂の遺伝子については、何処も行えてはいないだろう。この魂の遺伝子が、あなた方にとっては意外と重要である。簡単に言えば、運命を司っているからだ。




 神々では、これを、運命遺伝子と呼んでいる。これは、宇宙フラスコ内の命全てに適応される。運が良い悪いが、各惑星で言葉として出てくる理由だろう。

運命遺伝子は、基本的にはバラバラに設定されているのだが、これとは別に、私達神々が必要以上に、直接助ける事がある。生物にとっては奇跡と言える。だが、本当にたまにである。私達神々が働いている事は説明したが、会社へ行って帰って来るだけで、惑星ごとに差はあるが、あなた方の時間軸では、三十年から六十年は経ってしまっているからである。命によって、当たりハズレがあるのはその為だ。




 辺境の惑星の例をあげてみようと思う。ある惑星に住む、惑星内では人もしくは人間と呼ばれている種族が居る。この種族は、神頼みが得意である。

 自らが、窮地に陥ると、必死に神に頼むのである。一言、言っておこうと思う。神は大抵外出中である。

 それでも帰って来るのだから、一定値ではあるが、この惑星も、私が管理する宇宙フラスコの中の惑星として、恩恵を受けている。

 何かと言えば、人もしくは人間という種族として誕生出来た事だ。何故かを話そうと思う。




 神である私が幼少の頃である。神爺が管理していた頃の宇宙フラスコで、神である私が起こしてしまった事である。神爺は、その惑星に誕生した、大型の爬虫類が好きであった。

 毎日、神の目に繋いでは、私と一緒に眺めていたのである。新しい種類が増えると、記録として残していた。神爺が、一番最初に作った宇宙フラスコが、あなた方の存在する宇宙フラスコであった為だ。真剣に管理している世界のコピーのオリジナルだったから、記録が必要だったのだと思う。この事は、引き継ぐ時に初めて聞いた。

 まぁ、その事は置いておこう。




 ある日の事だ。私と神爺は、食事をしていた。神々の食事は、真剣に管理している世界の真似事である。神々は、食事はしなくても問題は無い。だが、この日は真似事の日であった。神父の作った食事を、神の目に繋いだ宇宙フラスコの映像を見ながら、私と神爺で摂取していた。

 私は、ミートボールが好きだった。ただの肉団子なのだが、何と無く好きだったのだ。神爺も分かっていたらしい。たくさん、私の皿へ装ってくれた。神の目の映像を見ながら、それらを口へと運ぶのだ。楽しい時が、暫く経った頃だ。

 私が、最後のミートボールを一口頬張った瞬間に、神爺が神の目の映像を変更した。そこには、大きな口を開けて叫ぶ大型の爬虫類が映し出された。音と共に、私に映像が届くと、私は驚き、ミートボールを口から飛ばしてしまった。それが、運悪く宇宙フラスコの方へ飛ぶと、ミートボールは宇宙フラスコへ吸い込まれた。

 神爺と私は、顔を見合わせた。宇宙フラスコ内で、何かが起こる事は明白だったからだ。神爺は笑顔で言った。「どんな事が起こるのだろうか、楽しみだ」と。

 これで、その場は済んだのだ。




 暫く経ったある日、ある惑星へ隕石が落下した。そうなのだ。あの、大型の爬虫類の映像の惑星へである。私は、一つの種族が滅び行く映像を初めて見た。神爺にとっては、好きだった生物が滅んでいる光景であるが、神爺は記録を取るのに忙しそうであった。「この機能は、付けない方が良いな」とブツブツ言っていたのである。神爺にとって、あれは流行りであっただけなのだと、私はこの時気づいてしまった。この後、唯一言われた事が、「これと同じ様に、手を下してはいけない」であった。私も、実にその通りだと思った。神爺と私は、納得し合い堅く約束した。が、その後にあの回転車を作ってしまったのだが。神爺の事だから、仕方ないと笑ってくれると思う。




 隕石落下後のその惑星の変化は、分かりやすかった。影に隠れていた種族が、繁栄していくのである。結果、人もしくは人間という種族が生まれた。少しではあるが、手助けもした。今思えば、神爺の私に対する教育方針だったのだろう。とても面白い学び方が出来たので、神爺には今は感謝しかない。




 また、ラファエル君が回転車に乗り始めた様だ。あなた方の世界で、また、面白い事になるだろう。神である私には、それが楽しみで仕方ない。楽しみな事と言えば、宇宙フラスコの別バージョンがこの間発売された。魔法が使える世界のバージョンである。「宇宙フラスコ魔法世界編」という商品名で、私も買おうか迷っている。宇宙フラスコの普通バージョンとの通信が出来るからである。これは、非常に面白い事だ。世界にどの様な変化が訪れるのか。もうすぐ、手に入れた友人が私の家に来る。通信をする為である。もうすぐ、あなた方の世界から、誰かが魔法のある世界へと移動する。

 来た様だ、また後で話をしようと思う。



















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