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第三十一話 回復魔法でJ!

「とりあえず治療を施して見ようと思う。だけどこれちょっと色々集中する必要あるからドックさんは出ていって貰えるかな?」

「は? 治療って何を言っているんだあんた? 大体この病を治せるなんて教会ぐらいしか――」

「はいはい、それじゃあちょっと一緒に来てよ色々話も聞きたいしさ」

「は? いやだから何を言って――」

「治療の邪魔になりますからね、お父さんを助けるためです」

「だ、だからおかしな真似をしてるんじゃ!」

「はいはい、じゃあとりあえず外でっと」


 いかにも怪しい村長の息子はあの三人に外に連れ出された。ついでに子供たちも一旦出てはくれた。気を利かしてくれたのかな? やっぱハンターが嫌いなだけだったんだなあいつら。


「さて、これから治療を始めますが大丈夫ですか?」

「ゴホッ、ゴホッ、うむ……お主の肩におるのはカーバンクルじゃろ? カーバンクルはよっぽどの相手でないと懐かない幻獣じゃ。つまりカーバンクルがお主と一緒にいるというだけでお主の心の綺麗さが判るというものじゃ。おまかせしますじゃ」

「クー! クー!」


 流石、判ってる~と言った雰囲気でクーが鳴いた。まあ医者を目指す人間は心が清らかじゃないと駄目だからね。


 というわけで俺はベッドに寝る村長、名前で言ったらソンさんの近くにより、手をかざして回復魔法を試みる。

 診断で寄生蟲の場所は大体判ってるしね。


「一応これはお願いなんですが、これからやることはこの村の秘密にしてもらって宜しいですか? 他の病気の皆さんも治していくつもりですが、そこは村長様の権限でどうか」

「うむ……これだけの病を治すというのだから大変な技術なのだろう。判った、治った暁には村の者によく言っておく」


 大変な技術と言われると魔法でぱぱっとって感じだから申し訳ない気もしないでもないけど、とりあえず言質はとれたな。


「それじゃあ、回復魔法!」


 そして俺は村長のお腹あたりに回復魔法を掛けてやることにする。


「……ほぉ、これはこれは、なんとも心地よく、心地、よく、むぅ!」


 すると、何か村長が、カッ! と目を見開いて、そしてガバリと身体を起こした。


「ふぉおおぉぉおおおぉおおお! なんたる、なんたることじゃーーーー! これはまるで、まるで病がウソのように、しかも精力が、精力が漲ってくるぞーーーー!」


 ……あれ? なにこれ? この爺さん、こんなにムッキムッキだっけ? 肌もテッカテカしてるし、髪の毛の量も増えたような、あれれ~? とりあえず診断してみよう。



ステータス

名前:ソン・チョウ

性別:♂

年齢:42

ジョブ:伝説の超村長

レベル:42

HP:1058/1058

MP:500/500

腕力:485

体力:555

敏捷:365

魔導:486

状態:超良好


魔導スキル

□火魔法□爆裂魔法□剛毛魔法


物理スキル

□村長流格闘術□爆裂拳骨□超裂波空刃乱舞□無限閃烈脚□破邪封魔鉄掌


称号

□かつての栄光を取り戻した村長□元大英雄□超魔導格闘王



 回復しすぎたーーーーーーーーーー! なにこれ! いやいやいやいやいや! どうなってんのこれ! 色々おかしいよ! そもそも年も若返ったしステータスが偉いことになったよ! どうすんのこれ!?


「父さん大丈夫かよ! て、なんじゃこりゃーーーーーーーー!」

「おうドック! わしは見ての通り復活したぞーーーーーー!」

「……いや、復活というか超覚醒してないかこれ?」

「え、これ村長なの?」

「まるで別人ですね……」

「か、かっけぇええぇええ! 村長の爺さんかっけーーーー!」

「え~なんか気持ち悪いよぉ……」


 ムキムキの身体で吠えあげ、ニカッといい笑顔を見せる元村長(いや今も村長だろうけど)に対する評価は様々だ。


「うむ、ヒールといったな。全く素晴らしい力だ。おかげで病がふっとんだばかりかかつての記憶と力が取り戻せたぞ。感謝しよう」

「は、はぁ……」


 すっかり言葉遣いも変わってしまったな。正直ちょっとヤバイことしちゃったかなって気もしないでもないけど、でもまあ、強くなる分にはいいか。


「過ぎたものは仕方ないしね」

「クー!」


 そうだそうだ、とクーも納得してくれた。


「納得出来るかーーーーーー!」


 あ、バカ息子が切れた。


「なんなんだこれは! 一体何をどうしたらこんなことにな――」

「このばかちんが~~~~~~~!」


 村長の破邪封魔鉄掌が息子に炸裂した。技としては両手を掌にして相手に押し付けると光がバーっと溢れて吹っ飛んでく感じだ。容赦ないね。


「全く、命の恩人に向かってなんて口の利き方だ。わしはお前はそんな風に育てた覚えはないぞ!」

「村長、多分聞こえてません」


 完全に気を失っているしな。


「まあ、とりあえずこれで病が治るのは判ってくれたと思うのですが、村の皆を治療する許可を頂いても?」

「うむ、勿論だ! この村に溢れる奇病を治してやってくれ!」


 またいい笑顔で宣言してくれたな。それを聞いていたボックとポインも笑みを溢れさせた。


 まあ何はともあれ先ずはこのふたりの母親の下へいきますか。





 ふたりの家に向かうとベッドに寝かされた母親は衰弱しきっていて苦しみもがいていた。やばいな瘴気が体中を蝕んでいるようだ。


「母さん! 大丈夫だよ! 今この兄ちゃんが助けてくれるから!」

「ママー! お願い、死なないで~!」

「ボック、ポイン、ごめんね、ううぐぅう、お母さん、もう、駄目みたい、だから――」


 身体も骨と皮だけみたいになって急がないとまずいな。なんか最後に子供たちに伝えて死のうとかいう雰囲気まで感じるし。と、いうわけで――


「回復魔法ーーーー!」


 俺が唱えると、ピカーーっと全身に淡い光。そして徐々に光が収束し、顔の血色も一気によくなっていった。



ステータス

名前:ジェイカプ・ボイン

性別:♀

年齢:27

ジョブ:村人

レベル:2

HP:16/16

MP:0/0

腕力:4

体力:3

敏捷:5

魔導:0

状態:ダイナマイトバディ


物理スキル

□調理術□掃除術□洗濯術□収納術


称号

□二児の母親□家事万能


スリーサイズ:B108W60H90


 

 キタコレ! てかここボイン家かよ! なんだよジェイカプボインって! まんまじゃねぇ~か! どうもご馳走様です。

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