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第二話 回復魔法の意外な使い方

 現れたのは三体の犬みたいな顔したバケモノだ。本当に俺ファンタジーみたいな世界に来ちゃったんだな……まあステータスがあるんだから今更だけどね。

 

 そして相手は、どうみても俺に敵意を抱いているよ。歯を剥き出しに独自の言語で威嚇してきている。


 参ったな、でもとりあえずスキルを試してみよう、診断!


ステータス

名前:コボルトソルジャー

性別:♂

レベル:3

HP:32/32

MP:0/0

腕力:16

体力:14

敏捷:11

魔導:0

物理スキル

□斧術


称号

□コボルトの初級斧戦士


ステータス

名前:コボルトマージ

性別:♂

レベル:3

HP:12/12

MP:11/11

腕力:4

体力:5

敏捷:5

魔導:10

魔導スキル

□風魔法


称号

□コボルトの未熟な風魔導士


ステータス

名前:コボルトアーチャー

性別:♂

レベル:3

HP:18/18

MP:0/0

腕力:10

体力:8

敏捷:16

魔導:0

物理スキル

□弓術


称号

□コボルトの初級弓士


 

 おっと出てきた出てきた。う~んなるほどやっぱりというかこの犬顔のはよくRPGとかに出てくるコボルトだったんだな。


 で、戦士と魔法使いと弓使いと――なんかバランスいいな。それにしてもこいつらにもしっかり職業があるんだな驚きだ。


 ステータスと見た目は一致していてソルジャーは斧術というのを持っているだけあって装備品が斧とあと薄汚れた厚手の服、マージは杖とボロいローブ、アーチャーは文字通り弓と貫頭衣というのかな? そんなのを着ている。ついでにアーチャーは腰に巻いてる帯みたいのにナイフも差してるな。


 レベルは3でレベルだけ見る分には俺より上。でも魔導とMPは俺の方が遥かに優れてるね。

 さて、やっぱここは戦うべきなんだろうな……て、よく考えたら俺戦うにしても武器持ってないじゃん!


「ガウゥゥウウ!」


 そんなわけで俺が逡巡していたら、前に出たコボルトが吠えて、斧を片手に突っかかってきた! あぶな! ぶんっといい音して斧が振られる。やべぇ! こんなの喰らったら死ぬぞ! て、今度は横振り――痛い!


 痛い痛い! 脇腹掠った、うわ、めっちゃ血が出てる。なんだよこれ……ズキズキするし、ドバドバ血が出てくるし、こんなの俺死んじゃうじゃん……て、また! 今度は弓が飛んできて俺の肩に、肩に矢が! 畜生とりあえず矢を抜いて――て、脚! 脚痛い! 何これ? なんで脚が切れたの? なんか突然スパッと脚に切り傷が出来たよ!


 やべぇ、この世界やべえ! こんな痛いの流石にこれは死ぬ、なんか頭もクラクラしてきたし――俺、こんなとこで死ぬのか? 死んだと思って別の世界で生き返ったと思ったら、こんなわけのわからないのにやられて……嫌だ! そんなの嫌だ! でも、この怪我じゃ、怪我? そうだ! 


「回復しろ俺の身体!」


 俺は無我夢中でそう叫ぶ。魔法の使い方なんて知らないけど、確か読んでた小説ではイメージが大事と書いてた。だから俺も自分の身体が完治するイメージで叫んだ。

 

 すると俺の身体が一瞬光りに包まれて――痛みが消えた! 傷も全て消えてる。腕も動く脚も動く、よっしゃーーーー! これが回復魔法かマジ万能すぎる。地球の医療技術でもここまでは無理だね。すげー感動。


 そして俺の身体が瞬時にして治ったことで、コボルト達も一瞬動きを止めた。頭に疑問符が浮かんでそうだな。もう倒せると思ったら突然完治されればそれはそうか。


 なら、今のうちに逃げようか? いやレベル差を考えると逃げても追いつかれるかも。それに俺には地の利がない。どこをどう逃げていいかわからないんだ。


 だったらもう戦って勝つしか道がない。でも、どうやって? と、考えてたら矢が飛んできた! あぶな! でも今度はなんとか躱した。矢は俺の背後の幹に当たって止まる。


 それにしても……とりあえず武器がないことには――武器? 

 

・究極の回復魔法

この世の理を曲解し、あらゆるものを望んだ形で回復できる究極の癒やし。その現象が結果的に回復として認識できる形であれば使用者の創造次第でどのような事(再生・復元・蘇生……etc)も可能となる。


 俺は改めて自分が手に入れた力の説明を思い出す。最初見てもスゲーと思ったけど、今思い出してもやはり凄いし、これ、武器にならないか? いや自分でも何言っているのか? て感じだけど、でもその現象が結果的に回復として認識できればいいんだよな?


 ……今射たれた矢、幹にあたってある意味矢は死んだよな? 勢いが殺されると言うし、矢は幹にあたった時点で矢としては死んでいる――つまり、この矢は回復可能!


「俺はその矢を回復するぞーーーー! コボルトーーーー!」


 矢を指さし大声で叫ぶ。そして矢を回復させるイメージ。射たれた矢が回復するということはつまり、矢は相手に向かって戻って行くということだ。これを上手く利用すれば――シュンッ! 


「ワギャン!」


 よっし! 狙い通り! 回復した矢が元の持ち主のところに戻ってくれた! 矢を射った事実も回復するから当然だな。そしてその矢が見事に相手の胸に突き刺さってパタリと倒れて動かなくなった。


 あれ? これで死んだのか? 意外とあっけなかったな。て、今度はまたなんか腕を掠めた! さっきのより傷は浅いけどムカつくな。


 でもこれが何は判ったぞ! きっとあのコボルトマージが使った風魔法だ。風の刃って奴だな。風だからか見えないのが厄介だけど――でもこれだって同じだ! その風魔法を回復!


――スパーーーーーーン!


 うん? なんかコボルトソルジャーの首が飛んだぞ? ああ、俺に突っ込んできた時に回復して戻っていった風魔法の動線上にいたわけね。ご愁傷様。それにしても血がビュンビュン出て、うぇ、なんか結構グロいな。


 でもまあ倒せたからいいか。さて後残ったのはマージ一人だけど、お、なんか風魔法を連射してるぽいな。結構結構。じゃあ俺はそれを全て回復!


「――!?」


 コホルトマージが血みどろになって絶句し、そして絶命した。うん、自分の放った魔法でやられるなんて自業自得だよね~。

 

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