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第十八話 回復魔導士の為の魔装具の選び方

「いらっしゃいませ~魔装具店へようこそ~」


 ……幼女がいた。魔装具店に来たら何か幼女がいた!


「え? なにこれ? 留守番とか?」

「違うわよ。言っておくけど彼女、こう見えて私より全然年上だからね」


 嘘!? このなんかゴスロリ風の服装なクリクリっとした紫瞳が愛らしい、この幼女がエクスより年上!


「大丈夫だよ! お兄さんは何も間違ってないんだからね。だって私は、永遠の十二歳だもん~」


 ツインテールの髪をふりんふりんさせながら幼女が言ってきた。

 でもエクスより実は年上なんだって考えると、急に痛々しく思えてきたぞ。


「ふぅ、まあ永遠の十二歳でもなんでもいいけど、とりあえず彼の買い物を見てあげて欲しいのよね」

「新しいお客さんなら大歓迎だよ! そこの幻獣ちゃんも可愛らしいしね!」

「クゥ?」

 

 クーが小首をかしげて愛らしく鳴いた。こいつはマジで俺の癒やしだせ!


 ちなみにその幼女風店員もクーを撫でようとしたけど警戒されてしょげてた。

 クーへのもふもふはそう簡単には譲れませんよ!


 それにしてもこの町、幼女成分高いな。


 で、クーとのやりとりもそこそこに、とりあえず魔装具とやらを何点か出してもらった。魔装具は宝飾品みたいなものだからか、流石にそう気軽に見れるようにはなってないようだね。盗難防止の為らしく一応ガラスケースに入れて展示されているのもあるけど、それも全商品の中のごくごく一部なようだ。


「初めてということだし説明させて貰うね。うちで、というか大体の魔装具店はそうなんだけど、扱っているのはこの三タイプ、指輪型、腕輪型、そして首飾り型だね」

「ふ~ん、これって違いは見た目だけ?」

「それが違うんだよね~指輪型というのは魔石がはめ込まれたタイプで、魔法の効果が常に装着者に及ぶもの。ただあまり複雑な法程式が必要な効果は込められないからステータス上昇系が主となるんだよ!」


 法程式? また聞きなれない言葉が出てきたな。


「ねえエクス、その法程式って何?」

「え? 貴方魔法使えるのに知らないの? 嘘でしょ? それならどうして魔法が使えるのよ」

「なんとなく」

「……なんとなくって――」


 エクスには呆れられてばかりだな。それで説明を聞いたけど、魔法を使うにはその法程式を構築する必要があるらしい。


 通常はこの法程式を詠唱したり指や杖で記述したりして発動するそうだ。魔装具にはその法程式を記述して魔法の効果を込めてるようだけど、当然記述する物が小さければ小さいほど複雑な効果をあてるのは難しくなる。


 だから指輪には単純な式しか刻めない。ただ魔石は常時込められた効果を発動できる恩恵があるから、結果的にステータス向上系が多くなってるんだとか。


「でもエクスは詠唱なんてしてなかったよね?」

「あれは頭の中で法程式を構築しているのよ。ある程度魔法になれた魔導士なら普段使い慣れてる魔法ぐらいは口にしたり記述したりしなくても使用できるわ」


 それでエクスは、最初俺がエクスと同じ方法で魔法を発動していると思っていたらしいね。

 ただこのやり方はちょっとでも精神が乱れると使用できないから、普段から法程式を頭に叩き込んでおいて瞬時にして発動させるらしい。


 だから使い慣れてるという条件がつくわけね。そうでないなら詠唱の方が、唱えてしまえば発動可能な分失敗が少なくて済むとか。

 

 記述に関して言えば咄嗟の発動には向かないけど、魔法陣なんかで予め法程式を構築しておけばさくっと魔法が発動できると、そんな感じでそれぞれに長所と短所みたいなのがあるってわけだね。


「ねえねえ、続きいいかな?」

「あ、はい」


 なんかぷく~っと頬を膨らませてむくれた感じに言ってきた。見た目だけなら本当可愛いな。


「後は腕輪型ね、指輪型と違って効果を発揮するには魔力を少しでも込める必要があるんだよ~でもその分指輪より複雑な効果が望めるんだよね~」


 ふむふむなるほどね。ちょっと気になることはあるけど、とりあえず残りの話を聞く。


「そして首飾りタイプ。これは聖石がはめ込まれていて、教会の神官なんかの祈りが込められているんだよ~その加護で病気に掛かりづらくなったり、魔法の耐性がついたりとかそういった効果があったりするんだよね~」


 ふむふむなるほどね。


「ちなみに貴方に懐いているクーちゃんの額についている宝石、それはかなり珍しいものなんだよ。魔石と聖石とが混ざってるような凄いものなの。だからそれを狙う盗賊とか結構いそうだから気をつけてね」

 

 ウィンク混じりに軽く言われたけど、色々不安になる話だな。まあ実際変なハンターに狙われてたもんな。でもクーは俺が絶対に渡さない! 


「クー! 俺がお前を一生護るからな!」

「クゥ、クー、クー♪」

 

 クーが俺の肩に降りてきて頬にすりすりしてきた。うい奴め!


「……こういうのも親バカって言うのかしら?」


 何かエクスに呆れられてるけど気にしない。


「さて、以上が魔装具の基本的な説明だけど何か判らなかったことあるかな~?」

「効果は判ったけど、腕輪にその魔石を嵌めたりとかはしないの?」

「あ~それはね、ちゃんとした意味があるんだよ。まず魔石は指に付ける形のほうが効果が馴染みやすいんだよ、聖石に関しては首ね。それで腕輪は魔石も聖石も使えないけど、そのかわり法程式が多く刻めるよう、ミスランみたいな魔法の乗りやすい金属を多めに使用しているの」


 なるほどね。石は効果が出やすい部位に違いがあるってことか。

 でも、だとしたら何にしようかな……。


「う~ん、指輪ならやろうと思えば指の数だけ揃えてステータスを一気に上げたり出来るのかな」

「それは無理ね。魔石はあまり近い位置にあるとお互いの効果が反発したり打ち消したりで意味がなくなるから、右手と左手に一個ずつが限界よ」


 マジか、成金みたいに指輪を嵌めまくって課金野郎みたいな超絶パワーアップとかは無理って事か。


「お客さんはどんな魔装具を探しているのかな?」


 俺が色々考えていると幼女風店員が希望を聞いてきた。確かにある程度どんなのが欲しいか伝えたほうが搾りやすいか。


「とりあえずオーダメイドしてる防具(白衣だけど)が出来上がるまで、防御系として役立つものがいいかな~」

「ふむふむ、なるほど、判ったよ~じゃあね~」


 俺の話を聞いた後、店員が用意してくれたのは指輪と腕輪だった。

 

 それぞれ体力向上の指輪、単純な防御力向上の指輪、魔導向上の指輪、そして発動すればそれなりの攻撃から身を守ってくれる腕輪で物理防御用と魔導防御用とがある。


 体力と防御力に何か差があるのかと思ったけど、体力はステータスにも出ている数値で、勿論走ったりする時のスタミナにも影響するけど、相手の攻撃に耐える要素としても機能してるらしい。


 防御力やついでに言えば攻撃力なんかはステータスとしては表示されないけど、防御力なら体力や腕力と防具の組み合わせ、攻撃力は腕力と武器の組み合わせで決まってくるようだ。


 後はスキルも当然影響してくるけどそこまで触れると膨大な量の話になってくるから割愛で。


 何故防御に腕力が関係してくるのか? と思うところもあるけど、これは盾や剣を使って防ぐ場合に関係しているようだね。それなら納得出来る気がした。


 魔導に関しては攻撃にも防御にも関係してくるらしい。この値が高ければ高いだけ魔法を使った攻撃や相手の魔法に耐える力が強いということになるわけだ。


 ただ、俺はもう魔導に関しては現段階でもかなりの数値だしな。だから指輪に関しては体力向上と敏捷向上を選んだ。


 腕力でないのは俺は盾持ちスタイルじゃないし、使用する武器もナイフだった事。

 ナイフは腕力よりも敏捷値の方が重要だってエクスに教えてもらったからね。

 

 俺がこれから使用予定の武器もナイフ系になるだろうから、敏捷値アップにしておいた。


 後はある程度の攻撃に耐えられる腕輪、これも物理用だね。効果範囲に関しては自分の正面だけだからそこは気をつけないと駄目かな。

 

 まあ回復魔法があるから念の為ってところだけどね。


 これで魔装具に関しては指輪がふたつで三十万。腕輪が一つ二十万で合計五十万オペだった。魔装具って結構高いな……。


 本当は首飾りも気になってたんだけど、なんかこっちは教会の加護もあるからという理由でやたら高かったんだよね。最低でも百万オペするらしいから流石に持ち合わせがない。


 まあ、とりあえずこれだけあれば十分だと思うしね。そんなわけでその足で次は武器屋に向かうことにした。それにしても金がバンバン減っていってる気がするな。

 

 

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