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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

TSしてヤンデレ乙女ゲーム

作者: ササキ=サン

男女両用を目指しましたが、自分はゲイ適性がまだないのでボーイズラブ要素は激薄。タグ詐欺になるかもしれません。

【プロローグ】


ぼーっとベンチに座って、空を眺める。


「....」


空が青い。今日も平和です。


何もない。


特に普段と変わったことはなかった。暇である。


日々の仕事の激務の合間にもらえた休暇をこんな形で消費していいのだろうか。ふと疑問に思ったが、何も考えなくていい時間は楽なので、これならこれでいいかと思った。






そろそろ帰るか。日が暮れ始めたので立ち上がる。


「あ、子ども」


ふと、呟いた。特に何か考えがあったわけではなく、転がったボールを追う子どもの姿に目が吸い寄せられた。


ボールを追った子どもの行き先は道路。


道路。


道路だ。


気づけば自分は地面を蹴っていた。


走る。


地面を思い切り蹴りつけ、より自身の体を前へ進めるための推進力を得る。


ふと視界に見えたのはカーブミラーに映った乗用車。


手を伸ばす。伸ばす。



間に合え。



凄まじいブレーキ音。


ドン、という音がして。ドンッッ!!という音がした。


天地がひっくり変えるような衝撃。バギボギッと、体の中で音が鳴る。


跳ね、ゴロゴロと転がり、自分は路上を転がっていた。と思う。多分。


事実はよく知らないけど、断片的に見えた視覚情報、聴覚情報、そして先ほどから人生で初めて味わう途轍もない痛みから、自分の状態はそんな感じじゃないのだろうかと思った。


これはまずい。本当に痛い。多分このまま死ぬこともあり得るのではないだろうか。


痛い。とても痛い。叫びはしないが、口元がピクピクする。情けないかもしないが、うぎゃーーとか言わないだけ褒めて欲しいような気がしなくもない。いや、やったらそれはそれでコミカルで面白いかもしれない。やってみようか?


それにしても、轢かれたのが乗用車で良かった。トラックだったら即死だったかもしれないし、モザイク処理をしなければいけないような凄い惨状になっていたかもしれない。幸運に感謝である。いや、轢かれた時点で幸運とは言えないか。


視界に、何だか恐慌状態のような感じに陥ってる子供が見えた。


うん、まあ。


しょうがない。もう少し頑張らなくては。


誰かが自分のために死ぬのは、一生残るトラウマで、呪いだ。そこらへんは身を持って実感している自分としては、嘘でも隠蔽はしっかりしなくてはいけない。


見たところこの子どもは幼い。この場を上手く凌げば、思い出は遠い記憶の中....的なやつでトラウマになることは避けられるかもしれない。メイビー。何とかなって欲しいな。


うむ、そのためにはまず立たなくてはな。


よっこらしょ。


いだだだだだだだだ


いや、怯えるな少年よ。ゾンビじゃないからな。


「大丈夫か?」


額から流れてくる血を拭う。ん?拭っても拭っても零れてきやがるぞ。もうちょっと血管の治水工事をしっかりして欲しい。血小板やフィブリンよ、もうちょっと働け。


「大丈夫そうだな、うむ。道路での飛び出しは危険だからこれからはしっかり気をつけるようにな。特に曲がり角にはしっかり気を遣うように。では」


片手をあげてニコリと微笑む。この笑顔の評価は人によって非常に判断が分かれるかもしれないが、個人的には笑っているつもりなので多少引きつってても見逃して欲しい。


スタスタと、血を垂らしながら何とかその場を立ち去る。一歩歩くごとに内蔵とか骨とかが凄い音を立てているが、まだ頑張って欲しい。ほら、延長料金とか色々払うから、今だけは何とか動いてくれよ。まじで。動け。動いてくださいお願いしやす。


祈りは通じたのか、何とか子どもの視界から消えるような場所までこれた。されど、体調は過去最低。げふっ、と口から水鉄砲。赤血球搭載の水である。血液とも言うが。


「ごほっ、きゅ、きゅうしゃ、よばねば...あ、むりごほっ」


視界が白黒。どうやら自分の視界は数十年前の白黒テレビ並にダウングレードしてしまったようだ。というか身体が動かねえ。ドシャッって感じで前のめりに地面に倒れる。顔痛い。気絶したりする人は、気絶したことより、意識を失って顔から倒れた時に与えられる衝撃の方がやばいって言われる理由が分かった気がしました。


うーむ、俺の人生、まじでここまでっぽそう。まあ、病死とか事故死とかじゃなくて子どもを庇っての名誉ある死亡だから、あいつも許してくれるだろう。孤児院...は死んだら遺産全て寄付するように書いた遺書があるから大丈夫。あ、自分死んでもオッケーじゃん。


じゃあ、眠ろう。少し疲れた。ずっと眠ってられるのは、案外魅力的だ。


おやすみ。























【1】


「と、自分の人生は締めくくったんですけど、どうしてまだ続いているんですかねぇ、困惑」


自分が発した声は、二十数年発し続けた聞き慣れたものではない。高い。かなり高い。どう聞き間違えても女の子声ですありがとうございました。


やったぜ、転生したっぽそう。


姿見の前に映る自分の姿を確認しながら、そう思った。


「性別は女ですか。というか転生よりこれは憑依というのが近いかもしれないですね、呆然」


鏡に映る自分の姿は控えめに言っても可愛い。普通に言うとテラ可愛い。ははは、知ってるか、これ、自分なんだぜ。こんな姿になっても自分は存在し続けるようだった。いや本当、どうして生きてるんだか。死んでもよかったのに。


ひとまず、この身体から記憶を思い出せないだろうか。挑戦。なんかこう、脳を意識。むむ。あら、不思議。何だか思ったより簡単にできた。


自然と、生まれた魚が初めから泳ぎ方を知っているように、自分が全然体験したことがないことが自分のことのように思い出せる。


「しかし転生したにしては随分と余裕ですね、自分。自分は自分が思ってるより大物なのかもしれないです。自惚れ」


先ほどから口調がおかしいが、なんなんだろうか。まあ、気にしない。


「さて、これからどうしましょうかね。不安」














【2】


ひとまず状況を整理しよう。


まず第一、自分は転生か憑依をした。


第二、この世界の文化は地球に照らし合わせるとだいたい近世から近代くらいと思われる。記憶から思い出せた風景から、それくらいが目安だろう。どうやら最近になって、北西の方にある島国では革命によって王様が処刑され、議会によって国を治めることになったらしい。ふむ、イギリスであったピューリタン革命に近いものなのかもしれない。


第三に、


「【精霊様、どうか自分に火をお与えください】」


ぼっ、と。自分の手のひらの上に火の玉が出た。


そう、この世界には魔法のようなものがあるのだ。


感覚的には魔力みたいなものがあって、精霊を崇めながらその魔力を精霊に捧げると魔法が発動する、といった感じ。詠唱は自由。精霊様にどうして欲しいか伝わればいいらしい。


これの凄いところは、魔力の扱いがそんなにできなくても、精霊を敬ってさえいれば普通に魔法が使えるところだ。ぱない。なにこの素晴らしい技術。軍事転用とか凄そう。


と思ったが、記憶を探ったところだとそこまで強力な魔法軍事技術はまだ誕生していないらしい。基本的に精霊は武器として扱えるほど高出力な魔法は存在しないらしいのだ。時折傑出した魔法使いが現れる時もあるが、それはいわゆる高位精霊という存在と契約した魔法使いらしい。


精霊について説明しよう。


精霊とは、人の認識だと魔力を使ったら奇跡を起こしてくれる存在らしい。空気中の何処にでもいるらしく、みんなそれに毎日祈りを捧げながら過ごしている。実際いるのかは知らないが、とりあえず人の目には見えない。


また、高位精霊というものもおり、凄いらしい。様々な文献はあるが、詳細はない。ただ、契約者は一人で国を滅ぼせる強さを持てるらしい。やばすぎる。しかし滅多にそういった契約者は現れないので、基本的には関わることはないそうだ。


さて、こういった精霊の事情から、自分が今いる世界の最大宗教は精霊を崇める精霊教というらしい。自分が理解しやすいから魔法という呼称を持って説明しているが、一般的な名称として魔法は精霊法と呼ばれて、それを使うための魔力は奉力と呼ばれているらしい。つまり、外で魔法という呼称を使ったら捕まって宗教裁判にかけられるかもしれないほど、精霊教の権威すごい。


コンコン


ん?


「お嬢様、失礼します」



「....既に起きていらっしゃいましたか。失礼しました。朝食の準備は整っておりますので、お着替えが終わりましたら食堂へお越しください」


そう言うと、入ってきたメイドさんは礼をして、部屋を出て行った。


すごい、メイドさんとか初めて見たよ。


あ、今更ですが自分は王家に次ぐ権力を持つ、公爵家の貴族の御令嬢らしいですよ。




















【ここまでのまとめ】

事故って転生して精霊法(魔法)がある異世界の公爵令嬢に憑依(?)した。以上。


【補足】

主人公が憑依(?)した女の子は孤立主義。人に面倒を見られることを嫌うので、使用人が身支度を手伝わないことは不敬ではありません。
















【3】


『お前って、本当に人間か?』


実は政府が極秘裏に開発したアンドロイドじゃね?


クラスメイトは、以前自分にそういった。感情の起伏が少ない自分の様子に、そう思ったのだろう。


自分は何も言わなかった。


馬鹿じゃねぇのお前、そんなことあるわけないだろ。ただそんな目でクラスメイトを見つめた。


以前悲しいことがあって自分がこうなったのは確かだが、それを暗喩するようなことも、吹聴するようなことも、感傷的に思うことも、一切したくはなかった。


何も語らないし、何にも縋らない。


自分は一人で立っていたかった。
















【4】


異世界やばい。


まず一言、思った。


うちの公爵家がやばい。めちゃくちゃ農民を絞りとってるじゃねぇか。


まさか朝食で農民から生かさず殺さずのちょうど良い塩梅で、富を搾取するコツを今世の父から教えられるとは思わなかった。やべぇ。


公爵家の娘という立場を使って世間の政治体制を調べてみると、まじ絶対王政。地球に比べるとそこまで統治が酷いというわけではなかったが、我が家の統治は他に比べて数倍民に厳しかった。


より調査を進めると、たくさん出てくるダークネス。我が家の治める領土の各市民の扱いをまとめてみよう。


農民:絞る。餓死はさせないが、決して裕福にはさせない。


商人:ちょっと絞る。税金は高いが、治安が良く、意図的に数は少なくしているので競合がない。よって安定して商売ができるらしい。しかし、裕福過ぎるようには絶対にさせない。農民よりはいい生活ができるため、現状に満足するものは多いらしい。


学者・職人:優待しているが、管理が厳しい。貯蓄とかは認められていないらしい。


官僚・軍人:孤児を拾ってきて洗脳教育。忠誠心が高く、腐敗がなく公爵家に狂信的な集団。余裕で自爆テロとかできそうなレベルである。


宗教家:お金の関係。賄賂の送り合い。生活が苦しい民衆の心を宗教で誤魔化すため、強力に癒着している。


ひとまず言いたいことは、やばい。人権?何それ美味しいの?がスローガンな統治スタイルだ。


さらにやばいのが、こんな統治だが上手くいっているのがいっそうやばい。しかも一世紀近く前からこの統治を始め、破綻していないのだ。何というか我が家の先祖はどれも才能の使い方がおかしい。


「お嬢様、疲れていらっしゃるのならマッサージをさせていただきたいのですが、いかがでしょうか」


「いや、いい。気にするな」


ぼーっと考え事をしていると近くにメイドさんがいた。公爵家の使用人ってすごいんだな。


「それでは、お茶はいかがでしょうか?考え事をなさるなら、それに相応しい効能のお茶をお持ち致します」


「...もらう」


「かしこまりました」


メイドさんが優秀過ぎる。記憶によると、あのメイドさんはユーフォルビアさんと言うらしい。記憶曰く、本人はユーと呼んで欲しいと言っていた。ついでにさらっと自分はこの世界特有の言語を喋っているが、これもこの身体から引き出した記憶の一部である。


あ、さらについでで説明すると、今の自分の身体の名前はイリアス=ラインフォードというらしい。格好いい名前だなと思った。


さて、現場整理はさておき、ひとまず自分の今後の身の振り方について考えないとな。












【ユーフォルビアの日記】


お嬢様の様子がおかしい。と少し思いましたが、どうやら少しお疲れのご様子。振る舞い等に乱れはありましたが、疲労故かと。大きな違和感はなかったので、何か辛いことが起こったのだと考察します。


歩行の際の歩幅が今日は少し大きめになっており、表情はいつもより固く、顔は微量の憂いを帯びているように見えました。やはり精神的な何かがあったように思えます。


今日一日のお嬢様の行動を振り返ってみますと、書庫で政治についての調べ物をしていたことや、旦那様の政治論、統治論を聞かされていたことが候補に上がります。


お嬢様は心優しい性格をしていらっしゃるので、農民の生活を改めて憂いているのかもしれません。


お嬢様は高貴な御方。農民程度の生活に心を痛める必要はありません。しかしそれでも農民のことを思いやるのは、まるで神話に聞く太陽神のような寛大な慈悲。改めてお嬢様の素晴らしさに敬服いたしました。






【補足】

ユーフォルビアの日記は本意ではありません。実際の内心は色々な意味でもっと過激です。しかし、もしものことで日記が見られるとまずいので、記載する内容は見られてもあまり問題のないものとなっております。











【5】


大人は、再び学生生活をおくれるとなったら、二度目の生活はどのように過ごすだろうか。


アンケートをとって統計学的にまとめたわけではないから、現代一般の方々がどのような思いを抱くかは知らないが、自分の場合は以前と一切変わらない生活をおくるだろう。


すなわち、ぼっち主義である。


うわぁ、ぼっちとか悲しい奴.....とは思わないで欲しい。かつてイギリスの大英帝国の絶頂期、世界最強の国家であった時代、パクス=ブリタニカにおけるイギリスの立ち位置は、光栄ある孤立と呼ばれ、一切他国との同盟関係を持たなかったのだ。つまり、一人は強いのである。そもそも一人でも生きられる時点でその強さは隔絶していると言えないだろうか。したがって、自分は最強。みなさん自分にひれ伏せてください。


「お嬢様、お茶でございます」


「ありがとう」


ユーフォルビアさんから受け取ったお茶を飲んで一服。美味い。落ち着く。お茶といっても紅茶はあまり飲む習慣はなかったが、ユーフォルビアさんの紅茶は美味しい。できれば緑茶の方が好ましいが、最近紅茶でもいいやと思ってきた。


さて、270度くらいずれた話題を戻そう。


端的に言えば、自分は学園に通うことになった。現在既に寮にスタンバイ。明日からでもすぐに通える。


まるで明日から入学のような物言いになってしまったが、実情はただ単に冬季の長期休暇が終わるだけだった。いや、個人的な心情は入学に近いレベルの出来事なのだが、周りはそうでもない。


およそ12歳〜15歳にかけて貴族の子供たちが通う、社会交流を含めた貴族学校。地球の世界史でも教養というのは特権的な階級が独占するものであったように、この世界もその例に漏れず、教育を受けることそのものが貴族のステータスとなっているのである。


自分からすれば差別だらけで顔が引き攣るような常識が横行するのがこの世界だ。そんな時代の子供と上手くやっていける自信がまったくない。


はぁ。内心でため息をついた。前の世界ではそれなりに目標があり、生きる指針があった。しかし、死んだ今となっては前の世界の生きる指針を守る必要も、自分が守りたいと思ったモノもこの世界にはない。


「お嬢様、大丈夫でございますか?」


「....問題ない」


大丈夫じゃないよ。


自分はどう生きればいいんですかねぇ。















【精霊法メモ by.イリアス】


夜、暇な時間に精霊法の実験をした。結果、恐ろしいことを発見した。


空気中にあった水素と窒素から、アンモニアが作れたのだ。


アンモニア?何がやばいの?と思うかもしれないが、世界を揺るがすくらいやばいので少し聞いて欲しい。


地球の世界史上に、ハーバー・ボッシュ法というものがある。簡単に説明するなら、アンモニアを空気から作り出す方法だ。


アンモニアは加工すれば化学肥料のもとになる。この手法は水と空気と石炭でパンを作り出すとも言われた方法で、当時の農業に革新的な利益をもたらした。


化学肥料を用いないで、自然の肥料だけで作れる穀物の量。これは現代からすればとても少なく、当然食糧が少なければ養える人の数も限られてくるので、マルサスの限界と言われる当時の人口増加の限界というものが作られていた。これをハーバー・ボッシュ法はぶち壊したのだ。


すっごいわかりやすくまとめると、


土地の栄養を使って植物が育つ。


しかし毎年やってると土地の栄養がなくなる(連作障害)。


それじゃあ工夫して土地の栄養を定期的に蓄えよう。


でもこれじゃあやっぱり作れる量に限界があるよ。


食べ物がない。これ以上人を養えないよ(マルサスの限界)。


そうだ、人工的に作った栄養を土地にぶち込めばいいじゃないか。


農作物の生産量アップ。


やったね。人がとっても増えるよ。


といった感じである。ついでにこれにより人類は人口爆発を起こした。つまりアンモニアを簡単に作れるということは、それだけ人類に与える影響が大きいことなのだ。


それに、アンモニアを作れるということはそこから硝酸カリウムも作れ、それを材料に火薬も作れるということである。事実このハーバー・ボッシュ法によって火薬が大量生産できるようになり、第一次世界大戦の戦火がいっそう激しくなったとも言える。


そして恐ろしいことに硝酸カリウムも精霊法で一発で作れるのである。ある意味精霊法は魔法としての便利用品というより、元素を簡単に合成できる錬金術といった側面の方が恐ろしい技術かもしれない。


しかも元素合成にはそんなに奉力を使わない。自分の作った感覚的には、キログラムどころかトン単位でアンモニア等の精製ができそうだ。


一般の人にも少し祈るだけで使える精霊法。


人を集めれば容易に量産できる火薬に、化学肥料。応用すれば金属も精製できるかもしれない。


やばいな。本気でそう思った。




















【6】


空っぽ。


真っ白で、何もない空間。


そこに彼女はいた。


空虚の中心で、彼女は自身を抱えるように丸くなり、静かに眠っている。


イリアス=ラインフォード。


鏡で見た彼女がそこにいた。


彼女に手を伸ばす。


頬に手が触れる。


温かい。そして、触れられた。


なぜか自分にはそれが奇跡のように思えた。


気づけば彼女は目を開いていた。


青く澄んだ、何処か見覚えのある達観したような瞳が、自分を見る。


数秒見つめ合う。


そして、彼女は再び目を閉じた。


「....っ」


気づけば、自分は夢から目覚めていた。




















【7】


どうも、イリアスです。この身体に憑依(?)してから一ヶ月が経ちました。


既に女性としての立ち振る舞いに違和感はなくなり、毎日以前の自分が薄まるといった感覚を実感します。悲しみ。


しかし自分が薄まるとはいえ、思考回路がそこまで劇的に変わっているようなものでもないので、あまり違和感は感じていません。自分とイリアスの考え方、性格は、かなり似ていたのです。


こういった類似点があったゆえに憑依したのか、はたまたは転生であるがゆえに類似点が多いのか。考察のやり甲斐がある命題ですが、今はひとまず置いておきましょう。


とりあえずは、現状をどう切り抜けるかです。


「それでですね、先輩。先輩?聞いてますか」


「はい、聞いていますので続きをどうぞ。促進」


面倒な後輩に絡まれました。いや、自分から絡みにいったと言えなくもないのですが。こんなことになるとは思わなかったのです。


状況を説明すると、


1.日常で転生者っぽい人を見つける。


2.数日ストーカーしてみる。


3.食事中に「醤油が欲しいな...」と言っていたことから、転生者だと確信する。


4.悪い人物ではなさそうなので、接触をはかってみる。


5.転生者さんが泣き崩れる。曰く、心細かったらしい。


6.この世界はヤンデレ乙女ゲームの世界らしい。


どういうことですか。困惑。


現在、ヤンデレ対策会議中。転生者さんはゲームの主人公として転生してしまったゆえに、フラグ回避は必須らしい。回避に失敗すると氷漬けになったり、薬漬けになったり、手足を斬り落とされたり、洗脳されたりするらしい。大変ですねー。


「それでですね、ここだけの話なのですが先輩。私はこの世界に来てから、人の好感度を見ることができる力を手にいれたのです」


「なるほど、それは凄いですね。感嘆」


「私はこれで攻略対象たちの危険度が分かりますので、当面の行動は気を使うことができるんですが....」


ぼそり、と。転生者さんは周りに聞こえないように私の耳元で囁く。


「あのメイドさん、本当に危ないので、気をつけてくださいね」


ここはヤンデレ乙女ゲームの世界ですから、ヤンデレの同性愛者が現れても不思議ではないですよ。


ふむ、言葉からしてユーフォルビアさんの好感度が異常な数値だったようですね。推測。


「そうですか、はい」


メイドさんの好感度は我が家の洗脳教育の結果であって、そんな危ないものでもないと思うんですよね。杞憂だと思います。


「本当に、気をつけてくださいね先輩!あのゲームは選択肢が八つくらいあって、好感度がMAXになったあとで間違った選択をするとすぐヤンデレエンドなんですからね!」


「はい、分かっています。気をつけますよ」


正直、あまり信用できる話ではないですね。転生という大きな出来事が人の精神に与える影響を測りきれない以上、転生者さんが狂ってしまったということも考えられなくはないのですから。


ひとまず、現状は様子見でしょう。ユーフォルビアさんのお茶が飲みたくなってきました。


「それでこれからが一番重要な話なんですが、先輩のお名前、イリアス=ラインフォードで正しいですよね」


「はい、そうですよ」


「やっぱりそうですか....先輩、非常に言いづらいことなんですが、実は先輩はゲームだといつも死んでしまうキャラクターなのです」


「え」


「ゲームにおいての先輩は主人公の強力なお助けキャラで、主人公と非常に仲が良いのですが、それゆえにヤンデレゲームの攻略対象たちは嫉妬心で、先輩を無惨に殺してしまうのです」



どのルートでも。



序盤はイリアス先輩との百合ゲーとまで呼ばれていますからね....。転生者さんは呟きました。


「.....」


「.....」


「自分は急用を思い出しましたので、今日はここら辺で失礼させていただきます。逃走」


「ままま、待ってください先輩!落ち着いてください!」


「落ち着いていますよ。ただ冷静に考えてこの選択なのです。英断」


「ダメですよ!せっかくの同郷なんですよ!?仲良くしましょうよ!価値観が違いすぎてみんなと話を合わせるのが大変なんです!」


「いえまあ、そこは同感なんですが、命に代えられるかと聞かれると少し」


「ええ!?先輩仲良くしましょうよ!私これでもとても強いんですよ!転生したせいか原作主人公よりずっと強くて、高位精霊とも契約できたのです!先輩のことは必ず守り抜きますから、友達になってくださいよ!」


「やだ、告白みたい。赤面」


「赤面してから言ってくださいよ!」


彼女の言うとおり、彼女の力がとても強いせいか、手首を掴まれると腕が一切動かせません。やだ、この子ゴリラ以上の怪力。


「分かりました、先輩。私の力の一端をお見せしましょう」


そう言うと、転生者さんは指を窓の外に向けました。


直後。極太の雷が何十も降り注ぎ、轟音が鳴り響きます。


何これやばい。


「ね、先輩、凄いでしょう!だから友達になりましょう!ね!」


「待ってください。私実は前世は男性でして」


「大丈夫です!性別なんて飾りですよ!だから友達に、いえ、親友に!」


「ん?飾り?え?は、はぁ、はい、分かりました」


不吉な発言がありましたが、ここで断ったら転生者さんのいうヤンデレさんに殺されるより、転生者さんに先に殺されそうな気がしたので、つい了承してしまいました。転生者さんの目が混乱ゆえかグルグルと混沌とした感じで、まだ会ったことがないヤンデレさんより、どちらかというと彼女の方がヤンデレなのではないかと思えました。


「やった、先輩!これからよろしくお願いしますね!」


ぱぁっ、と花が咲いたように笑う転生者さん。花は花でも、禍々しい花的な。彼岸花みたいな、そんな感じの笑みでした。


そんな強い力があるなら、別にヤンデレなんか怖くはないでしょうに。


.....面倒なことになりました。悲嘆。









【補足】

転生者さんは転生の際の死亡時の混乱、前世へのホームシック、今世の価値観の違い等が積み重なって、精神が不安定になっています。


【原作設定】

ヤンデレ乙女ゲームにおいて、主人公は偶然原作イリアスと仲良くなり、イリアスが主人公をパーティーに招待したりしたところから、原作では攻略対象との出会いが始まっている。なお、原作イリアスと現実イリアスでは性格が大きく違う模様。









【おまけ】


「お嬢様、お困りならあの狂人を始末しますが、いかがでしょうか」


「い、いえ。結構よ」
















【8】


『原作で攻略対象(ヤンデレ)として出てくるのは、一人目が隣国の帝国の皇太子で、病むと国力を使ってこの国を滅ぼされ、謎の培養液のようなものに一生漬けられます。


二人目が、なんだかよく分からない悪魔的強さをもつ人物で、病むと山を消し飛ばすくらいの腕力と、精霊法に頼らず氷を操る力で、一生氷漬けにされます。


三人目は国家を2〜3コほど牛耳れる途轍もない大富豪で、病むと陰謀に嵌められ、手足を切り落とされ、死ぬまで飼われます。


四人目は高位精霊使いで、病むと精霊法で洗脳され、穴だらけの記憶に疑問を持ちながらその人の伴侶として一生をおくることになります』


「.....無理です」


部屋の中で、イリアスは呟いた。


机の上に広げられている紙の上に書かれているのは、原子爆弾の設計図。


他にも、近代兵器や現代兵器の様々な設計図があった。


(生産設備等、整備するまでにかかる人材、費用、時間。どれも転生者さんのいうシナリオには到底間に合わない)


イリアスは物憂げに呟いた。


「...やるなら、精霊法の可能性に賭けるしかありませんね」


一番は転生者さんの自力回避が望ましいのですが、いざという時の手はうっておくべきでしょう。イリアスは思考し、領地の近代化と精霊法での効率化、この世界の父親、母親への説得、鉱山や油田といった地下資源の調査、確保など、様々なことの計画を紙に書き始めた。







【おまけ】


「というわけで、いざという時のために、あなたの精霊法でウランの鉱脈を見つけれないですか?期待」


「いやなんで原子爆弾を作れるのか私は貴方に小一時間ほど問い詰めたいんですけど!?」


「日本は色々な制限のために核は保有していませんが、作れないというわけでもないので、必要があればすぐにでも生産できるように、そういった知識や技術を持つ人は日本にも存在するんですよ」


「予想以上に先輩凄い人だった!?」

















【補足メモ・転生者さん(マリア=ラィプツィヒ)について】

イリアスはぼっちを拗らせ過ぎて未だに名前を聞くことができず、向こうには原作知識より名前を知られているという状況。自己紹介=名前を知る手段という固定観念とコミュ障ゆえにテンパってる思考のせいで、第三者に名前を聞くという案が思い浮かばない。

彼女自身前世は至って平凡な女の子と自認しており、また精神性も普通であると思ってる。























【ユーフォルビアの思い出】


『お嬢様。ここは私が賊人を引きつけますので、お嬢様はそのうちにお逃げください』


ラインフォード家に仕え、捧げるそれが私の全て。


『だめ。そんなの許さない』


しかし、その言葉にお嬢様は今まで見たことがないほどお怒りなさった。


『あなたが死ぬなら、私も死ぬ。本気』


訳がわからなかった。なぜ、お嬢様は私が死んだら死んでしまうのだろうか。


分からない。


『ユーフォルビア』


分からない。


『二人で、帰るよ』


今でも、その答えは見つからない。


ただ、


「? どうしたの?」


「いえ、何でもありません。お嬢様」


4年と6ヶ月、14日の9時間13分ほど前のあの日から、私はお嬢様(・・・)にのみ、仕えている。





















【9】


とある日。


学校の昼休み、自分は転生者さんのお誘いを断り、一人で散歩をしていました。


一人最高。


心が落ち着きます。周りに人がいない空間を確保して訪れる、安心できる時間。


ふぅ、と。息を吐き出しました。リラックス。リフレッシュ。幸せです。


ぞわっと、急に嫌な予感しました。そして、気づけば第六感のようなものが自分の安心できる時間は崩れたのだと伝えてくれてます。


「ストーカーはいけない行為だと思うのです。ストーカーをする人の大半はゴミのように性根が腐った奴というのが相場だと思うのですが、あなたはどう思いますか?」


転生者さんが貴方も私にしたよね!?というツッコミを入れてくれそうな気がしますが、そこはスルーでお願いします。


「驚いた。気配は一切出していなかったはずなんだけどな。よくわかったね、君って実は凄い人?」


がさっ、と藪から現れたのは男。多分学生でしょう。って藪から....完全に変態ストーカーじゃないですか。


「質問に答えましょうかストーカーさん。質問を無視しておいて自分の質問は答えてもらおうなんて虫が良過ぎますよ。無視なだけに」







「答えるのが嫌なら帰ってください。むしろ帰ってください。答えなくて良いので帰りましょう。はい、帰りました」


「......」


「......」


「....何で帰らないんですか?」


「...君は、よく個性的って言われないかい?」


「よく、ですか。言われませんね。よく、は。なぜなら自分は人と話すことが少ないので、個性的と言われる機会自体がもともとないのですよ。誇り」


「いや、そんなことを誇られても」


「そんなこと?ほぉ、私の誇りをそんなこと、ですか。よろしい、ならば戦争です。第一あなたは一目見た時、いえ、存在を感知した時から気に入らなかったのです。その綺麗な顔をぶっ飛ばしてやりますよ」


周りの精霊に祈りを込めます。この人はあれです、何というか生理的に受け付けません。この人の前にいると自分の最も大切なものを土足で踏みにじられている気がするのです。視界に入らないで欲しい。


「お嬢様」


「おっと、危ない」


唐突に男にナイフの雨が降り注ぎました。驚いたことに、男はそのナイフを素手で叩き落としましたが、よく見ると膝と肩にナイフが刺さっていました。あ、これは痛そうです。おっと、危ない。と余裕ぶってナイフが刺さってる。だめだ...笑っちゃいけない。


「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」


「え、ええ。特に何もされてはいない」


「そうですか...よかったです。あそこまで嫌悪を露わになさるお嬢様は、初めてでしたから...」


そういったユーフォルビアさんの目は、いつもの無表情と違って心配気な色を浮かべていました。何だか、珍しいものを見れた気がします。


「大丈夫。変なことはされてない」


言ってて思いました。あれ、自分はどうして初対面の男にここまで大きな嫌悪感を感じるのでしょうか。


「お嬢様、少し移動しますね」


「? 分かった。頼む」


直後、視界がグニャリと曲がり、気づいたら寮の自分の部屋の玄関にいました。....何これ。


「空間転移です、お嬢様」


「そ、そう」


さ、最近のメイドって空間転移ができるんですか....。異世界ってすごいと思いました。
















「不思議な子だ」


男は呟いた。


「非常に、興味深いね」


そして、男も消えた。















【おまけ】


「あ、先輩に隠しキャラがいるっていうこと忘れてた」


あれ、けっこうまずいかも。私隠しキャラの詳細知らない。


マリア=ラィプツィヒ(転生者さん)は、密かに冷や汗を流した。











【補足メモ】

イリアスの個性的な口調、感情を表す単語を最後に付け足すのは、無表情ゆえに分かりづらいだろう自身の感情を伝えるために、イリアス本人が考えた喋り方です。
























【10】


「先輩。いいですか、あれが帝国の皇太子です」


ヒソヒソと転生者さんは囁き、たくさんの人に囲まれている男性を指差しました。


「なるほど、次どうぞ」


「他人事みたいに...もうちょっと危機感をもってくださいよ」


「本当に他人事....いえ何でもないです。貴方と私は大親友です。一生お友達ですよ愛してます」


「そうですか!私もですよ!」


どうしてこうなった。


「では、先輩。次にあれが悪魔的強さを持つ人です」


転生者さんが指差した男性は学園のパーティーの中で、腕組みをして壁に背を預けて目を瞑り、壁の花となっていました。まあ、花かどうかは人次第で意見が分かれると思いますが。自分はどちらかというとエリマキトカゲ的なものかなと。謎でしたね、すみません。


「何ですかあれ」


「いえ、私にもよく分かりません」


「孤独な俺かっこいいー、とでも思ってるのでしょうか。わざわざぼっちを見せつけるならこんなとこに来なければいいのに」


「ひどいブーメランを見ました」


「いえ、自分は気取らず人の目にも留まらない健全なぼっちなので」


もしかしたら知り合いに強制連行され、知人が誘ったその人しかいない中で、知り合いは他の人と話しており、手持ち無沙汰で暇している、という状況も思い浮かびました。それなら親近感が湧くんですけどね。自分がそんな状況になったらこれ幸いと帰宅するのですが。


「そ、そうですか」


こほん、と転生者さんは咳払いをしました。


「次に、あれがとても凄い大富豪です」


転生者さんはなんか凄い高そうな服を着た男性を指差しました。


「あの指輪についてる宝石、地球にはなさそうな鉱物ですが、どこで取れるんでしょうね」


青白い光を放つ宝石。この世界の鉱物は現在研究中ですが、あのようなものは初めて見ました。絶対凄い性質持ってそうですよ。調べたいです。


「先輩、もうちょっと色気を....。ってあれ?そういえば先輩の前世は男性って言ってたから、健全なのかな?」


「次いきましょう、次」


転生者さんをせかす。早く終わらせましょう。この世界の料理って意外と美味しそうなんですよね。


「何というか露骨ですね先輩。まあいいです、では最後にあれが高位精霊....」


「やぁ、また会ったね」


気持ち悪い感覚。あの時の男ですか。


「ユーフォルビア」


「はい、お嬢様」


何処からか唐突にユーフォルビアさんが現れます。


「えっ、ちょっ」


ナイフが放たれる。男はやばいと感じたのか逃げていきました。


「流石」


「光栄です」


ユーフォルビアさんはお辞儀をして、再び何処かに消え去った。何だか、ユーフォルビアさんがいれば何とかなる気がしました。


「何だか凄い理不尽を見た気がします」













【補足メモ】

高位精霊使い「誠に遺憾である」


【補足メモその2】

隠しキャラ(あの男)

一応本編の攻略対象。しかし転生者さんはそこまでプレイしていないのでこの人物について知らなかった。人の心を読み、そこから人心を巧みに操ることに長ける。


【補足メモその3】

原作は卒業までが共通ルート。卒業以降は個別ルートに移行します。





















【エピローグ】


それから数年後、ラインフォード家公爵領は未曾有の発展をとげ、独立国として成立し、近くの貴族の領土を飲み込んで膨張。さらに戦争を仕掛けてきた帝国を撃退し、さらに逆侵攻を仕掛けて首都を陥落し、皇族を捕らえた。


ラインフォード公爵領はラインフォード共和国として変わり、人類史最高の統治者として語られる、ラインフォード共和国初代大統領イリアス=ラインフォードはかく語る。


「マリアが馬鹿をしなければこんなこともする必要はなかったのです。怨恨」


彼女の伝説は様々なものがあり、邪悪な高位精霊使い、人に擬態した悪魔を打ち滅ぼしたり、強大な悪徳商人を商戦の末に破るなど、万能の天才として知られている。


彼女はかく語る。


「戦略は自分がたてましたけど、だいたいはユーとマリアがやりました。あの人たちはやばいです」


彼女が提唱した様々な概念。人権思想や経済原理、科学法則や精霊規則は今も様々な学問の基礎とされ、人類が滅びない限り彼女の名前が忘れ去られることはないだろう。







【補足メモ】

イリアスの中の人の前世は凄い人。本人の考察では死んでも忘れたくない思い出があるから、記憶力が上がったんじゃない?と考えている絶対記憶能力を持ち、人間ウィキペディア状態。色々と機密が大きい職についていたため、様々な知識を持っている。


なお、孤児院出身であり、その孤児院に遺産寄付を約束している。政府には裏切り防止のため、その孤児院は軽い人質状態。人質としての価値を高めるため、孤児院に通うことを推奨されており、本人もそこに住む子供を可愛がっていた。

異世界の小説で、たまに何処までリアルに書けばいいのか分からなくなります。貨幣経済、民衆心理、魔法の成り立ち、歴史、民度などなどなど。現実と違ったもう一つの世界を違和感なく作り上げるのって、とても難しいと思いました。

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