4.遊園地デート?(4)
燃えていく。燃え落ち、燃え尽きていく。
香り高い木が音を立て、炭に変わる。
香木の香りと、焔の匂いと、そして血の臭い。
ただの死肉となったものは、骨すら残さず、悪意ある炎に焼かれていく――。
不思議な静寂がそこにはあった。
炎が弾ける音、そして建物が崩れる音で、決して穏やかといえるような場面ではないのに、
何故か、そこは静かであった。
「・・・もう諦めろ。貴様はよくやった」
彼の人は血にまみれ、荒い息の中尚その手に武器を携えていた。
たとえ最早握力すら残っていなくても。彼は、諦めようとはしなかった。
彼が刃の先を上げようとした瞬間、再度その肩を凶器が貫く。その反動で身体は壁に打ち付けられる。肺が破れ、血を吐きながらも、その人間は立ち上がった。
「貴様は所詮人間だ。どうあがいても、我らには敵わん」
心臓に向けられる槍。その切れ味ゆえ、乾いた血すら残らない刃。
苦しみから解放するために相手に死を与える。それはある意味、最高級の慈悲だろう。
「疲れたろう。もう眠れ。永遠にな」
貫かれるその瞬間――彼は笑った。それは間違いの無い、勝者の笑みであった。
光の爆発が起こる。
流血と共に飛ぶ首級。
そして、また、静寂。
それは、悲しいほど穏やかなひと時であった。