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僕らの星空  作者:
1/1

君と出会った星空

君に、支えられていた。

失ってから気付いた。

ずっと、側にいたのに、

何故、私は気付けなかったのか。


君に、恋をしていたことを。



「君が、好きだ」





高校一年生になった私は、充実した毎日を過ごしていた。入学したての時は、初めてのことがいっぱいで、とても新鮮だった。


「おはよう!蓮!」

藤崎 蓮。私の名前だ。

蓮「おはよう」

私に挨拶をしてきたこの子、野村 美咲。

茶髪で癖っ毛のあるポニーテールの女の子。

何かと話しかけてくる。友達?というものなのだろうか。私にはよくわからない。


美咲「蓮さんや、今日も来てますよ?」

はぁ…またか…

数日前から何かと話しかけてくる人物が美咲さん以外にもう一人。

「おっはよー!」

この男。佐々木 紘だ。

紘「蓮、今日こそ一緒に帰ろう」

蓮「嫌です」



私は人間関係が苦手だ。

友達も出来たことなかった。というか、自分自身必要としてなかったからだ。


友達というものは、特に女子というものはめんどくさかった。

常にグループで行動するという事が私はめんどうだった。移動時間も帰りも、トイレでさえついてくる。1人でいける。


無理して友達とか作らなかったし、恋愛なんてものも興味もない。


恋なんて、するわけない。

そうやって、決めつけた。


紘「人気の少ないとこは怖いんだぞ。俺がいれば怖くないぞ。」

蓮「…」

紘「無視すんなぁ!」



紘と出会ったのは、数日前の…あの日の夜。


星がたくさん見える場所


お父さんが、星を見るのが好きだったので、付き添いにいっていた。私も、星は綺麗で見るのが好きだった。

お父さん「飲み物買ってくるから、ちょっとここで待っててね!」


そう言って飲み物を買いに行ったお父さん。

いつも通り、色々買い込んでるようだ。

遅くなるなこれは。


そんなことを思いながら、空を見上げた。

満天の星空。とても綺麗だ。

私は思った事をそのまま声に…


「綺麗だなぁ」

「綺麗だなぁ」


私の声に被せてきた彼。

黒髪で、私と同じくらいの男の子。

顔は整っていて、ちょっと女子から人気がありそうな感じ。

驚いた顔で私の顔をじっと見ている。

顔怖い。


そして彼は、こう言った。


紘「…これが一目惚れか!」

蓮「はい…?」



彼は同じ高校の、同じクラスだった事もあり、その日から紘に付きまとわれる日々が始まってしまったのだ。



蓮「何故私に付きまとってくるんですか」

紘「一緒にいたいから」

蓮「何で」

紘「理由なんかない、一緒にいたいからでいいだろ」

蓮「はぁ…邪魔だけはしないでね」

美咲「ま、まぁまぁ、皆で帰りましょ!」



友達というものがいなかったので、こうやって誰かと学校の帰り道を歩いたことはない。


美咲「じゃあ私こっちだから、また明日!」

紘「おーう」

蓮「また明日」



この男、家まで付いて来る気か?

紘「なぁ、蓮」

蓮「何?」

紘「甘い物好きか?」

蓮「まぁ、好きだけど」

紘「そ、そうか」

蓮「?」


紘は私を送ったあと、スキップしながら帰っていった。変な男ではあるが、ストーカーみたいな危険人物ではないようだ。



そして、その日から私へ貢物が送られるようになった。


美咲「今日はドーナッツですかぁ。昨日はケーキだったかな?羨ましいよー!」

蓮「はぁ…」


一昨日はマカロン。その前はシュークリーム。またその前はロールケーキ。さすがに毎日貰われるのは…いろんな意味で辛い。


紘「うまいか?」

蓮「美味しい。」

紘「そうか!」

彼は満面の笑みだ。

蓮「紘、私昨日なんて言ったか覚えてる?」

紘「え?んー忘れた」

蓮「じゃあもう一度言う。もう貢物を持ってくるなわかった?」

紘「嫌だ」

真顔だと…こ、この男…腹が立つ。


美咲「お二人仲がいいよね〜」

蓮「どこが…」

紘「俺、蓮に一目惚れしたからな」

蓮「!?」

美咲「そ、そんな事があったの!蓮!私に話してくれてもよかったのに!」


あ〜もう、美咲さん目がキラキラしてるし。

恋バナというものを期待しているのだろう。


そして放課後、三人で帰り、紘に家まで送ってもらうのが、日常になっていった。

私にとってそれは、とても新鮮だった。


彼は私に一目惚れをしたといっていたけれど、正直あまり本気にしていない。


私は黒髪ロングで、顔は整ってるがそんなモテるほどの顔ではなく、普通だ。

性格的にも恋愛に縁もなかったし、興味もない。何故私に一目惚れしたのかはわからないけど…


私がこの男を、紘を好きになる事はない。


紘「俺は蓮の友達にも恋人にもなるんだ」

蓮「そういうのってどっちかじゃないと駄目なんじゃないの?」

紘「んーそっか。じゃあ恋人希望で」

蓮「無理だから」

紘「ち、ちくしょう」

美咲「紘君、先輩が呼んでるよー」

紘「ん?あーおうわかった」


美咲「紘君、運動神経いいから部活の先輩によく声かけられるみたいだね」

蓮「ふーん」

美咲「きょ、興味なし!?部活入っちゃったら、一緒に帰れませんよ?」

蓮「別に1人で帰れる」

美咲「う、ううう…紘君と蓮をくっつけちゃおう作戦が…」

蓮「え?なんて?」

美咲「なななんでもありませんよ?」



今まで毎日、一人で帰っていた。

私はどうってことない。

もう子供じゃないんだし、一人で帰れる。



放課後、紘はどうやら運動部の体験入部に行ってるようだ。


美咲「紘君今日は一緒に帰れないのかなぁ」

蓮「じゃあ私帰るね」

美咲「え!まっ、私も一緒に帰ります!」



今日は美咲さんと二人で帰った。

途中で美咲さんと別れて、いつもの帰り道を一人で歩いていた。


久しぶりに一人で帰る。

何か、物足りないような気がした。


いつも、紘がどうでもいいような話をしていた。テレビで見たこと、最近食べた美味しいもの、物知りな所を自慢したり、好きな物、嫌いな物の話。そして時々歌ったり。


結構鬱陶しかった。

特に興味もなかったし。



けど、今日は紘はいない。

うるさいのがいなくて、静かで…

やっと一人で帰れて、いいはず…なのに



今日、私は初めて、一人で帰るのが寂しいと思う気持ちがわかった。


私は、三人で帰って紘と帰り道を歩くのが、心地いいと思い始めていたんだ。


紘のたわいない話が、どうでもいいと、鬱陶しいと思う反面、好きだったんだ。

紘と話すのが、楽しかったんだ。


寂しいと、言ってしまいそうになった時、



紘「蓮!」


紘が走ってきた。


蓮「紘。走ってきたの?」

紘「あたりまえだ」

蓮「部活入るの?」

紘「断った」

蓮「入ればいいのに。運動神経いいんだし」

紘「特に興味ないし。それに」

蓮「?」

紘「俺は蓮を一人にしたりしないよ」

紘はそう言って笑った。


蓮「あっそ」

紘「おう。そういえばさ、さっき野良猫見つけたんだ。すっげぇ可愛かった」

蓮「そうなんだ」

紘「でさぁ」

蓮「うん」



また紘のたわいない話が始まった。

少し、ほっとしてる自分がいた。


これから、紘とどうなっていくのかわからないけど、友達認定はしてやろう。



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