闘病履歴93
もどかしい不可視不可解の力の法則性の源泉は、そうなっているから、そうなっているのだと、霊媒師は言った。
霊媒師が言う。
「生き霊が複数いれば、悪霊に対しての物理的な作用は期待出来るでしょうね」
電話を耳に充てながら拓郎君が言う。
「それはやはり力の法則性の細部に渡る、力の重複による結果なのでしょうか?」
霊媒師が答える。
「簡明に言えば力の総合力でしょうね」
拓郎君が尋ねる。
「何故生き霊が複数いると、物理的な作用を生じるのかには非常に興味がありますが、力の総合力の源とは何でしょうか?」
「拓郎さんは気功をものしますよね。気は練れば物質化するのですが、練る際単数の術者よりも、複数の熟練した術者がいた方がより強固な物質化作用はなされるわけです。逆に言えばその強固に練られた気の塊を、普通の人間は触れられないし、目で見る事も出来ないわけです」
拓郎君が再度尋ねる。
「その神秘的な力の由来は、と言うか、何故そうなっているのですか?」
「気を練り、それを心眼で見る事の出来る術者にとっては気は物質的な存在なのですが、術者ではない普通の人間にとってはそれは不可視不可解な物であり、とてもではないが物質的な存在ではないと言った不条理でもどかしい面が、由来となっていますね。何故そうなっているのかと問われても、冥界は何で出来ているのかの神秘に問い掛けるのと同質で、そうなっているから、そうなっているという返事しか出来ませんが」




