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闘病履歴87
やるしかありませんと、黒が言った。
黒が尋ねる。
「彼ら悪霊はこの緑がかった水のような世界でも、我々とは違い行動の自由はあるわけですね?」
生き霊が答える。
「それは…無い…そこまでの力は…無いが…我々よりは力強く…動ける…わけだ」
満を持したように黒が言った。
「それならば彼女の夢の中で一度闘いを挑むというのは駄目でしょうか?」
黒に背を向けたまま生き霊が尋ねる。
「二人…でか?」
生き霊の背中を凝視しながら黒が答える。
「そうです。二人で闘いを挑み、駄目ならば仲間を連れて来て、勝つまで闘ってみるしかないという事ですね?」
生き霊が背後にいる黒を労うように忠告する。
「力…の差は歴然として…いるぞ…それでも闘う…のか?」
黒が答える。
「死ぬことは無いし駄目元ならば、彼女への情けを武器に闘いを挑めば何とかなると思いますが、どうでしょうか?」
生き霊が言う。
「あなた方の本体は…悪霊…の恰好の憑依対象に…なるぞ…それでも…いいのか?」
黒が答えた。
「やるしかありません」




