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闘病履歴86

逃げながら陣取り合戦をするしかないのだと、生き霊は言った。

動きを制限されながらも、心の声で黒が尋ねる。






「これで彼女が目を覚ますまで、あの悪霊は彼女の夢を占拠するのですね?」





やはり動きを制限されつつ生き霊が答える。




「そうだ…彼女の心を不安と絶望に誘い…自殺へと駆り立てるように…夢を占拠するのだ」





重々しい口調で黒が再度尋ねる。





「ならば、あの悪霊が出て行った後、再び夢に入って行き、生きる希望の夢を植え付けるのですね?」





生き霊が答える。





「そうだ…あいつら悪霊は時間の縛りで冥界に戻る…必要があるからな…その隙をついて…不安や絶望感を…希望に染め…変えて行く…しかないのだ」




黒が言う。





「夢の中では行動の制限は無いし、闘う事は可能ではないのですか。それともやはり今は逃げるしか無いのですか?」




生き霊が答える。





「力…の差が…あり過ぎるのだ…だから今は逃げるしかない…逃げながら陣取り合戦をするしか無い…のだ」

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