闘病履歴70
リスクは低い方がいいに決まっていると、真華は言った。
真華が言う。
「自分自身の夢。相手の夢。その中間形態を幽体離脱して移動する夢見術のやり方は、いずれにしろ未経験な事であり、その夢の移動や幽体離脱の形にも、やはり危険が伴い、私自身の生命の危険性を孕んでいるのならば、何処にいても危険性が高いのは変わりなく、だったら幽体離脱する意味はなく、攻撃は最大の防御理論は間違っていると思うのよ」
拓郎君が言う。
「それは一理あるよね。自分自身の夢も彼女の夢も曖昧模糊で同質のものならば、そこでの区別はつかなくなる可能性が高まるし。あちらの世界に幽体離脱して行き大きな危険があるのならば、いずれにしろ命懸けは変わらないしね。だったら説得するにしても、自分自身の夢の中で迎え打った方が、外部要素として訪れるかもしれない最大級のリスクを回避出来るわけだしね」
真華が頷いた。
「そうそう。どうせ夢は曖昧模糊として同質、変幻自在で見分けがつかず、幽体離脱した自覚をも実感出来ない可能性があり、危険性が高まるならば、そして夢見術の中でも情けが一番大切と言うのならば、自分自身の夢もあちらの世界への幽体離脱も、彼女の夢も皆危険性があるのは同じだと思うんだよ。だったら慣れていない幽体離脱なんかしないで、私自身の夢で彼女の生き霊を迎え説得する方がいいじゃない」
拓郎君が答える。
「つまり情けさえ失わなければ、彼女を説得するのにリスクは最小限である方が良いという理屈だね」
真華が頷き答える。
「自分の陣地から飛び出して行ったって、何が待っているか分からないと言うのならば、自分の陣地の方がいいに決まっているし。同じような説得をするにしても、リスクは低い方がいい決まっているしね」
拓郎が言った。
「いずれにしろ彼女の生き霊と協力して彼女を説得するのがベストならば、生き霊を仲間にするのは肝心な事だから、ここはそれに集中するしかないわけか」
真華が頷き言った。
「情けを失わずにね」




