闘病履歴7
Mは止められない間食を口に運び続けた。
自分に持っていないものを真華は持っている。
華やかな自己同一性障害。
Mの目には真華の自己同一性障害は華やかなものに映った。
自分に自信が無いので、恋をした事もなく、人の目に止まらないようにひっそりと生きて来た。
女を棄てているわけではないのだが、Mは自分の劣等感を持て余し、男性と話しをする事も出来なかった。
その分食べる事に傾倒してしまい、身体は醜く太るばかりで、自身の劣等感を肥大化させて行くばかりだ。
思春期の頃虐めに遭遇し心を病んだ。
逃げ場所は家庭だけであり、Mは狂ったように勉強に打ち込み、根暗なエリート街道を邁進した。
そんな中、鬱病が昂進し、自己同一性障害に悩まされ、通院の日々を送り、回復。
大学に入学した後も通院は続いていて、そんなMにとっては、真華の自己同一性障害は華やかなものにしか映らなかったわけだ。
精神病に華やかなものも、地味なものもないのだが、Mは精神病独特の感性で、真華の精神病を華やかなものとして、激しく憎悪したのだ。
孤独な自分と、そうでない真華の対比は、妬みと激しい憎悪を限りなく増大化させて行くものでしかなかった。
ストーカー化して行く自分にストーカーの意識が無い状況。
Mはため息をつき、止められない間食を口に運び続けた。