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闘病履歴67
よく分からないという答えしか言えないと、生き霊は言った。
黒が尋ねる。
「あなたは私達の説得を聞いてくれて、既に彼女の見る夢で親の愛情を伝えていてくれたのですね?」
生き霊が答える。
「…そうだ」
息をつかせず白が尋ねる。
「それじゃ、どうして私達を脅し続けたのですか?」
生き霊が答える。
「憑依…すると…そうなってしまうのだ…許して欲しい」
第三の目が恐縮して言う。
「それはしょうがないですよね。憑依経験が無いのだから。はい」
生き霊がもう一度言う。
「思い通りに動けない…のだ…許してくれ」
頷くような間を置き黒が尋ねた。
「彼女の病は深いと言いましたが、彼女の心と言うか無意識に悪霊が憑依して、病を悪化させているのですか、それとも彼女の心自体が想像以上に深く病んでしまっているのですか?」
生き霊が答える。
「私は…思い通りに動けないばかりか…言葉もろくに言えない…不完全な存在であり…その質問に対しては…よく分からないという答えしか言えない」




