闘病履歴5
真華の精神構造はビル構造と似ている?
真華は拓郎君と契りを結んではいない。
真華の精神構造は重層構造複雑怪奇なので、拓郎君も敢えて肉体関係を結んではいない節がある。
使命感。
拓郎君は真華をタオに誘う使命感の本に接触を図っているのだ。
だが白真華はそれを由としていない。
肉体関係をも含めて男と付き合うのは、白真華の方なのだ。
だから生臭くなく高尚なる存在である拓郎君は白真華の目がねには適わないのだ。
拓郎君もスケベではあるのだが、互いの精神構造の微妙な一線を保持するべく、真華とはもちつもたれつの兄妹のような関係をキープしているわけだ。
真華は男女間の乱痴気騒ぎ、痴情の縺れを嫌う。
男遊びの結果、女の生き霊に憑依されるのなんて、以っての外と考えている。
真華は自分の精神構造を制作よろしく組み立てて来たのだ。
細やかに、或いは大胆に。
その構造は緻密に建てられたビル構造と似ている。
神経や運動機能をバランスよく保持する為に、真華の心は自己同一性障害を巧に操りながら機能している。
そのバランスの上に真華の存在は成り立っているわけだ。
その組み立てを外部の存在に破壊、修正されるのを真華はとにかく忌み嫌う。
だから男遊びも、細心の注意を払い、乱痴気騒ぎを回避するべく目論んでいる節があるのだ。
だから。
真華の神経は立ち、細やかに注意深く外の世界へと張り巡らされている。
脆弱に或いはしたたかに。