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闘病履歴49

負けられない戦い。

一進一退の攻防が続く中、真華は再度霊媒師との接触を図った。




霊媒師が告げる。





「効果は確かに有りますから、続行あるのみです。心の病は深く、彼女の攻撃は生きたい欲求の裏返しなのです。その攻撃性が強ければ強い程に、生きたいという欲求も強まるのです」





真華が青ざめる。





「ちょっと待って下さい。あの落下が鎮まることが、説得の効果を顕しているのではないのですか?」





霊媒師が答える。





「鎮まるのは話しを聞く為の間合いにしか過ぎません。これからは落下ばかりではなく、様々な意味での恐怖のイメージを見せる事が予測出来ますが、それは彼女の助かりたいという願望の強い顕れと捉らえてよいと思います」





拓郎君が尋ねる。





「つまり我が儘な子供の、力づくのおねだりみたいなものでしょうか?」





霊媒師が頷いた。





「そう見てもいいと思います」





真華が歎く。





「ちょっと待ってよ。それじゃ私の方の身が持たないよ。あの生々しい恐怖は到底慣れるものじゃないし。これからもっとエスカレートしたら、私死んでしまうじゃない?」




霊媒師が言う。





「彼女がこれで助かるという実感が湧くまで、こちらも命を燃やし堪えるしかないのです」




真華が訝る。





「命燃やすのはいいけど、命なくなるのは絶対私嫌だし」




霊媒師が改まった口調で言う。





「生き霊とて、心霊現象的に言えば霊魂には変わりないのです。例えば地縛霊は己が地縛から抜けて自由になりたいから、人間を殺すのですが、それをこのケースに当て嵌めると、自分の肉体が助かりたいから、攻撃する相手を殺すという衝動は同一のものと見てよいと思います。それは身勝手な欲求そのものなのですが、自分が助かりたいという欲求には変わりないのです。そしてもう一つ言えば…」





一旦言葉を切り、間を置いて霊媒師が続ける。




「この戦いは、マカロンさんの、負ければ自分の命が無い、不可避な命懸けの人助けなのです。ですから負けるわけには絶対にいかないのです」

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